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【キャプション】


プレイ概要 ※ネタバレ注意


プレイの種類:騎乗位、間接キス、耳舐め、手コキ、テーブルの下で足コキ、玉責め、足の匂い責め、太ももの匂い責め、太もも呼吸管理、生足コキ寸止め+おねだり射精、膝コキ、キス誘惑、キス責め、ベロキス責め、太ももコキ、ちんカリ、吐息責め、玉揉み、ちんキス、ペロフェラ、匂い責め、耳舐め手コキ、玉キス、玉舐め、ハーモニカフェラ、焦らしフェラ、ディープスロート、好き好き囁き責め、太ももリフト、ぱふぱふ、呼吸管理、スロー手コキ、素股、後頭部踏みつけ、唾吐き、騎乗位セックス


ジャンルの種類:逆NTR、寸止め、焦らし、調教、誘惑、色仕掛け、マゾバレ、格差、クローゼット内密室、連続射精、浮気、ハッピーエンド


##P1 裏切り続けた結果@導入、馬乗りになられた状態で責められる


##P2 出会い@妹・紗良とのファーストコンタクト、妙に距離の近い義妹


##P3 婚約者との夜@綾乃との男性主導のセックス


##P4 義妹の指摘@妹の紗良に夫婦の営みを指摘される


##P5 距離感@紗良の誘惑、間接キス


##P6 罠@紗良の部屋で紗良と二人きり、耳舐め、服の上から陰茎を掌で撫でられる、生手コキ、マゾバレ


##P7 昨晩の記憶@会社での葛藤、紗良のからかい、食卓のテーブルの下で足で誘惑、玉責め、テーブルの下で生足コキ、寸止め


##P8 家具の移動@足誘惑、脅されて足の汗を拭かされる、感じる格差、紗良の生足の感触、漂う足の匂い、足の匂いの確認、太ももの匂いの確認を迫られる、見下されて両足で挟まれる、太ももに顔を埋めて声を我慢させられる、太ももフェロモン深呼吸、太ももに顔を埋めさせられ両手を拘束されたまま足コキされる、生足コキ、寸止め、浮気誘惑、足で射精、足での快楽に溺れる


##P9 行為の最中に……@綾乃とのセックス中に紗良のことを思い出す


##P10 紗良と二人きりになるということ@ラフな格好の紗良を意識してしまう、綾乃とのセックスの不満を指摘されてしまう、壁際でキスの練習煽り、膝コキ誘惑、キス誘惑、1回だけのキス練習、2回目のキス練習誘惑、綾乃の突然の帰宅、二人でクローゼットの中に隠れる、紗良の抱きつき、キス要求脅し、紗良のベロキス反撃責め、紗良のキスの前に裏切りの快楽に溺れる、太もも勃起確認、キスの自己嫌悪、紗良に受け入れられる、太ももで挟み込まれてコかれる、紗良に太ももでコかれながら背徳感を刺激される、下着越しの手での勃起確認、生の手の感触、生太ももコキ、気持ちよくしてもらうことをお願いさせられる、太ももコキおねだり、密着太ももコキ、寸止め、射精のおねだり強要、密着されてキスされながら太ももコキで射精させられる、キスしたまま太ももで連続射精させられ搾り取られる


##P11 クローゼットを出た後のこと@幕間


##P12 禁欲@婚約者が席を外した瞬間に言い寄られる、キス誘惑、キスのからかい、囁き責め、ちんカリ誘惑、吐息責め、玉揉み、おねだりされていたのに立場逆転しておねだりさせられる、ちんキス、裏筋を吸われる、ペロフェラ、寸止め


##P13 婚約者のドレス選び@婚約者が試着している最中の匂い責め、ちん撫で、試着室の前で責められる、耳舐め、脱ぎたてのカーディガンでの匂い責め、婚約者にバレそうな状況で責められる、耳舐め手コキ、寸止め


**サンプルここまで**

**ここからご支援者様向け**


##P14 裏切りのご褒美@密室で玉責め、玉キス、玉舐め、吐息責め、寸止めちんキス、ちんキスをおねだりさせられる、裏筋食み、フェラ誘惑、デートの約束をさせられる代わりに咥えてもらう、焦らしフェラ、好きと言わされる、激しいフェラ抜き、精飲、連続射精、お掃除フェラ、デート確約


##P15 水族館デート♡@恋人同士のキス、勃起命令、ペアリング購入のため手で誘惑される、カフェデート中の誘惑でラブホへ行こうと言わされる


##P16 ラブホ♡@エレベーター内好き好きキス責め、太ももリフト


##P17 ラブホで……@キスの後馬乗りに、婚約指輪を口で奪われておっぱいに封印される、抵抗を勃起を握られただけで封じられる、脱衣する紗良の身体、セックスへのいざない、乳首責め、太もも押し付け、ぱふぱふ、呼吸管理、おっぱいフェロモン責め、好き好き囁き洗脳耳舐め手コキ、寸止め、好きと言わされる、スロー手コキ、嘘の『好き』がバレる、挿入誘惑、太ももで挟んで寸止め、挿入懇願、素股、射精命令


##P18 ペアリングの影響@サク抜き手コキ


##P19 ペアリングの呪い@ダイジェスト(手コキ、フェラ、足責め、太ももセックス)、綾乃との行為の最中に紗良を思い出してしまう、綾乃との行為の後トイレに駆け込んでしまう


##P20 快楽の果てに@二人でお留守番、急に冷たい紗良、唾吐き、紗良を求めてしまう、土下座、後頭部踏みつけ、二人の部屋で浮気、だいしゅきホールドされてキス責め、騎乗位ストリップショー、騎乗位挿入、動かない名器責め、中出し誘惑、中出し


##P21 エピローグ@結局どうなったか


##P21 エピローグその後@いつものリビングで


【完】



********************


【ボリューム】

・文字数:無料公開分合わせて約24万文字

・AI生成挿絵:表紙差分含めて116枚

 ※ただし、無料公開分には挿絵30枚までの登録です。(pixiv上の制約のためご了承下さい)

・AI生成動画:なし


********************

表紙





**********************************

##P12 禁欲@婚約者が席を外した瞬間に言い寄られる、キス誘惑、キスのからかい、囁き責め、ちんカリ誘惑、吐息責め、玉揉み、おねだりされていたのに立場逆転しておねだりさせられる、ちんキス、裏筋を吸われる、ペロフェラ、寸止め


翌日──。

天気は晴れ。

湿度は低く空気は乾燥していて、初夏の陽射しというにはまだ少し早いような爽やかさがあった。

しかし俺の心には湿った熱がこびりついたままだった。

昨晩綾乃が席を外している間に、紗良に口づけられた感触。

まるでマーキングするかのように、熱烈でかつ優しく食まれたせいで、今もなお股間に残るのは解放されなかった熱の疼き。

そして今日、綾乃と一緒に紗良を連れて、式場へ向かっているという事実──。


………


行きがけの車内。


「悠真さん、こっちの道で合ってるよね?」


助手席に座った綾乃が、スマホの地図とフロントガラスの向こうを交互に見ながら尋ねてくる。

何度も下見に訪れたはずの式場であったが、未だに綾乃は道を把握しきっていないらしく、自信なさげに眉を下げて見せる。


「あぁ、ここで曲がればすぐだよ」

「よかった。思ったより早く着きそうだね」


綾乃は嬉しそうに笑い、膝の上に置いていたバッグを抱き直していた。


今日のために少しだけ気合いを入れたのだろう。

淡い色のブラウスに膝丈のフレアスカート。

肩口で整えられた髪からは、朝に使ったシャンプーの穏やかな香りが漂っている。


こうして隣に座る綾乃を見ていると、これからこの人と本当に結婚するのだという実感が少しずつ込み上げてくる。

いつか大勢の人たちの前で夫婦になることを誓う──。

つい先日まで何も疑うことなく描いていた幸福な未来。

だが今は、その白く清らかな未来のすぐ傍らに、落としきれない染みのような記憶がこびりついている。


「楽しみだなぁ」


綾乃が呟く。


「何が?」

「ドレスに決まってるじゃないの~。実際に着てみたら写真で見てた時とは全然違うんだろうな~って」


「そんなものか?」

「似合わなかったらどうしよう」


「そんなわけないだろ」


思わず即答した俺。

同時に綾乃が目を丸くした。

それからゆっくりと頬を赤く染める。


「……まだ見てもないのに?」

「見なくてもわかるよ。綾乃なら何を着ても似合う」


「もう……悠真さんは時折そうやって……♡」


口では困ったように言いながら、綾乃は嬉しそうに窓の外へ顔を向けた。

その横顔を見て胸の奥が温かくなる。

それと同時にじくじくと苦しくなる。


この人を裏切っている──。


そんな当たり前の事実が、今さら胸へと突き刺さり、抜けないトゲのようにずきずきと疼いていた。

思わずハンドルを握る手へ力を込める。


「──いいなぁ、お姉ちゃん」


後部座席から間延びした声が聞こえた。

ルームミラー越しに視線を向ける。

後部座席でシートベルトをしっかり締めた紗良が窓側へ身体を預け、スマホを片手に流れていく街並みを眺めていた。

薄手のカーディガンの下には、身体の線を拾う白いトップス。

短いスカートから伸びた素足を組んで、時折手持ち無沙汰のように膝を揺らす。

何事もなかったかのように澄ました顔で座っている彼女が、昨晩俺をあれほど弄んだ女と、とてもではないが同一人物には見えなかった。


「何がいいの?」


綾乃が振り返る。


「そんなに褒めてもらえて。あたしなんか彼氏もいないし、ウェディングドレスなんていつ着られるかわかんないも~ん」

「紗良ならすぐにいい人が見つかるでしょ」


「そうかなぁ」

「そうよ。もう少し落ち着きさえすればね」


「出た。お姉ちゃんのお説教」


紗良が頬を膨らませる。

姉妹らしい、いつもの何気ないやり取り。

だが俺はその会話を聞きながら妙な違和感を覚えていた。

紗良がこちらを一切見てくれないのだ。

昨日の約束を持ち出すわけでもなく、意味深な笑みを浮かべることもなく、俺を困らせるような言葉を投げかけてくることもない。

それどころか、式場へ向かう車へ乗ってから一度もまともに目が合っていなかった。

本来ならその方がいいことに間違いはない。

何もされない。

何も起こらない。

綾乃と一緒に普通にドレスを選んで帰ってくる……それがあるべき姿。


なのに、運転を続けるうちに、俺は何度もルームミラーを確認してしまっていた。


紗良が何をしているのか。

どんな顔をしているのか。

こちらを見ていないか。


気づけば後部座席の様子ばかりが気になっている。


「──悠真さん?」


突然、綾乃に呼ばれてビクリと震える。


「な、何?」

「さっきからミラーばっかり見てるけど……後ろの車、何か変なの?」


「いや……安全確認してただけだよ」

「そう?」


綾乃は不思議そうに首を傾げた。

その直後。

ルームミラーの中で、紗良と目が合う。


「……ッ」


ほんの一瞬。

紗良はスマホから顔を上げ、ミラー越しにじっと俺を見ていた。

こちらが気づいた途端、その大きな瞳が楽しげに細められる。

当然、語られる言葉はない。

声を出すわけでも、目配せをするわけでもない。

ただ、唇をすぼめて、ちゅっと軽く息を吹き出すように動かす。

たったのそれだけ。

だが、それだけで昨日の記憶が鮮明に蘇る。


顔を寄せてくる紗良。

肉竿の間近で窄められた唇。

触れそうで触れない距離を保ちながら、延々と吹きかけられた湿った吐息。

最後にようやく与えられた、柔らかな口づけ。

下腹部に熱が集まりかけ、慌てて前方へ意識を戻す。


「……」


バレていたのだ。

俺が何度も紗良を確認していたことを。

紗良の様子が気になって仕方なかったことを。

全部、気づかれていた。


「どうしたの、お義兄さん?」


背後からあっけらかんとした声が届く。


「さっきから落ち着かないみたいですけど?」

「べ、別に……」


「運転、緊張してるんですか?」

「何度も走ってる道だから緊張なんか……」


「ふぅん」


それきり紗良は何も言わなかった。

再びスマホへ視線を落とし、細い指で画面を滑らせ始める。


この車内で俺だけが動揺していた。

紗良は昨日のことなど、もう忘れてしまったかのように平然としている。

その態度に安堵する一方で、胸のどこかがざわついていた。


俺は何を期待している──。


式場へ着いたら、紗良が何かシてくれるとでも思っているのか?

昨日言っていた『続き』を……果たされるべき約束のように、心待ちにしているとでもいうのか?


違う。


そんなはずはない。

そんなはずないんだ……ッ。


「悠真さん、次の信号を右だよ」

「あぁ、わかってる」


ウインカーを出し大通りから並木道へ入る。


高い建物が減り、道の両側に整えられた樹木が並び始める。

その先に目的地である式場が見えてくる。


白い壁と大きなガラス窓で構成された、明るく開放的な建物。

敷地の奥には尖塔を備えたチャペルがあり、青空を背景にして白い輪郭をくっきりと浮かび上がらせていた。


「わぁ……!」


綾乃が感嘆の声を漏らす。


「写真で見るよりやっぱり綺麗……」

「ほんとだな」


「紗良も見て。私と悠真さんの式のチャペル、あれだよ!」

「うん。すごいね~」


紗良も窓越しに建物を眺めていた。

その横顔には昨日までの意地悪な笑みはなかった。

純粋に姉の晴れ舞台を楽しみにしている妹の顔。

だから余計にわからなくなる。

紗良は本当に綾乃のことを大切に思っている。

幸せになってほしいと願っている。

その気持ちに嘘はない。

嘘はないはず……。

それなのにどうして俺に……。

どうして姉の婚約者である俺へ、あれほど躊躇なく触れられるのか──。


駐車場の案内表示に従い車を地下へ進める。

薄暗い駐車場へ入ると、フロントガラスを照らしていた陽射しが途切れた。

代わりに等間隔に並んだ照明が、車内を明るくしたり暗くしたりしながら後方へ流れていく。

空いている区画を見つけ車を停める。

エンジンを切った途端、車内が静まり返った。


「着いたね」


綾乃がシートベルトを外しながら微笑む。


「あぁ」

「なんか急に緊張してきたかも」


「ドレスを着るだけだろ」

「悠真さんに見られると思うと緊張するの」


「……楽しみにしてるよ」


そう答えると綾乃はまた嬉しそうに笑った。

ドアを開けて車外へ出る。

俺が運転席のドアを閉めた時、反対側から降りた紗良と目が合った。

今度は鏡越しではない。

正面から。

誰にも遮られない距離で。


「……」


紗良は何も言わなかった。

ただ俺の横を通り過ぎる直前、足を一瞬だけ止める。

肩が触れそうな距離。


「お義兄さん」


綾乃には届かないほど、小さな小さな声。


「楽しみですね……♡」


鼓膜を震わせる囁き。

その言葉だけなら妹として何もおかしくない。

だが紗良は俺から離れる直前に、ほんの少しだけ唇を舐めた。

湿った舌先が桃色のリップをなぞる。


──ちゅぱ……♡ れろぉ……♡


俺が息を飲んだ時には、紗良はもう綾乃の方へ駆け寄っていた。


「お姉ちゃん、行こっ! 予約時間ギリギリになっちゃうよ」

「紗良が朝からのんびり準備してたんでしょ~~?」


「え~、あたしのせい!?」


二人の明るい声が駐車場に響く。

俺はその後ろを歩きながら、知らず知らずのうちに拳を握り締めていた。


『楽しみですね』


それはどういう意味だったのか──。

結局答えのわからないまま、俺は二人のあとを追って式場の入口をくぐった。


………


──ウィーン。


自動扉が開いた瞬間、外とは異なる涼やかな空気が肌を包んだ。

高い天井。

白を基調とした壁。

磨き上げられた床に反射する柔らかな照明。

受付の奥には季節の花が大きく飾られ、華やかでありながらも落ち着いた香りが漂っている。

休日ということもあり、ロビーには何組かの男女がいた。

担当者とパンフレットを囲むカップル。

両親らしき年配の男女と一緒に歩く二人。

壁際に設置されたソファでは、ドレス姿の写真を見ながら幸せそうに笑い合う男女もいる。

誰もがこれから始まる人生を楽しみにしているように見えた。

そんな場所へ、俺はどんな顔をして入っていけばいいのだろうか。


「白百合様、お待ちしておりました」


受付へ近づくと、品のよいスーツを着た女性スタッフが笑顔で迎えてくれた。


「本日ご案内を担当いたします、衣装スタッフの宮原です。どうぞよろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」


綾乃が丁寧に頭を下げる。

俺もそれに倣った。


「本日は妹も一緒なんですけど……大丈夫でしょうか?」

「もちろんでございます。ご家族様にも、ぜひご覧いただければと思います」


「よかったね、紗良」

「うん。楽しみ~」


紗良は姉の腕へ抱きつきながら、嬉しそうに式場の内部を見回した。


「それでは衣装サロンへご案内いたします」


スタッフのあとに続き、長い廊下を歩く。


壁には実際にこの式場で挙式した夫婦の写真がコメント付きで並べられていた。

純白のドレス。

黒いタキシード。

花びらの舞う中で微笑み合う新郎新婦。

その一枚一枚を、綾乃は足を止めそうになるほど熱心に眺めている。


「悠真さん、見て? こっちのブーケのデザインも綺麗~~」

「あぁ」


「こういう淡い色もいいよね~~」

「お姉ちゃん、白いドレスならもう少し色のあるブーケでもいいんじゃない?」


「そうかな?」

「うん。お姉ちゃんは肌が白いし、華やかな色も似合うと思う」


姉妹は楽しそうに話しながら歩いていく。

俺は少し後ろから二人の背中を眺めていた。

綾乃の未来を真剣に考える紗良。

姉の美しさを誰よりも知り、似合うものを選ぼうとする妹。

その姿だけ見れば、どこにでもいる仲のよい姉妹だ。

これまでの出来事など存在しなかったかのように──。


やがて廊下の先にガラス張りの大きな扉が現れた。


扉の向こうには何着ものウェディングドレスが並んでいる。


レースやシルク、そして繊細な刺繍。

柔らかな照明に照らされた純白の衣装が、まるで雪原のように視界を埋め尽くしていた。


「こちらが衣装サロンになります」


扉が開くと同時に、綾乃の口から感嘆の息が漏れていた。


「わぁ……」


スタッフに促され綾乃が一歩踏み入れる。

その瞳は子供のように輝いていた。


「すごい……こんなにたくさんあるんですね」

「はい。本日は事前に伺ったご希望に合わせて、何着か候補をご用意しております。もちろん、他に気になるものがございましたら追加でお試しいただけますよ」


「ありがとうございます」


綾乃は並んだドレスを見ながら、ゆっくりと奥へ進んでいく。

俺もその背中を追いかけようとした。


その時。


──さわっ……♡


隣を歩いていた紗良の指先が、ほんの一瞬だけ俺の手の甲へ触れた。

偶然を装うような、僅かな接触。

反射的に振り向く。


「……」


紗良はまるで素知らぬ顔でドレスを眺めていた。

だが、その唇には微かな笑みが浮かんでいる。


「お義兄さん」


顔を向けないまま小さく囁く。


「……やっぱり楽しみですね?」


何が──。


喉から言葉が出かけたものの、ついぞ聞くことはできなかった。

目の前では綾乃が最初のドレスをスタッフから見せてもらっている。

ドレスを持ち上げたスタッフが、ドレスの裾を大きくたなびかせた。


「まずはこちらのプリンセスタイプをご覧ください。胸元は繊細なレースで覆われており、バストラインは控えめな立体感。ウエストはスッキリと締めていますので、メリハリのあるシルエットとなります。スカート部分はシフォン素材を幾重にも重ねてふんわりと広がり、裾には小さなビジューを散りばめております。全体的に柔らかく、上品な印象を与える一着です」


綾乃はそのドレスをまじまじと見つめ、少し首を傾げた。


「すごく素敵ですね……でも、私には少し可愛すぎませんか?」

「そのようなことはありません。綾乃様の雰囲気によく合うと思いますよ」


スタッフが微笑みながら答えると、綾乃も少し乗り気になったようだった。


「これ……ちょっと着てみたいです……!」

「もちろんご案内できます。試着室はこちらになります」


スタッフの案内でドレスがいくつか吊るされたスペースへ移動する。

二人のあとについていく俺と紗良。

入り口以外の三方向をミラーで覆われた試着ルームの前で、綾乃が靴を脱ぎ、スタッフとともに準備を整え始める。

紗良はドレスの裾を手にとって、興味津々に見ていた。


「すごいね〜。こうして見ると、お姉ちゃんも結婚かぁ」

「うん。なんだか私も実感が湧いてきた……かも……」


「大丈夫? 別に今日決めなくていいんだからね? 迷ったり悩んだりしたら、いつでも相談して? あたしはいつでも相談に乗るよ」

「ありがとう。でもどれか一つに選ばなきゃ。今日は楽しみにしてたし」


「うん。お姉ちゃんが納得できるドレス、きっと見つかるよ~!」

「ふふっ、ありがと」


そう言って笑う綾乃が、スタッフと共にカーテンの向こうへと消えていく。

俺はその後ろで何か言葉をかけようと思ったけれど、何を言えばいいのかわからなかった。


綾乃は綺麗だ。

純白のドレスを纏えば、きっと誰よりも美しい花嫁になるだろう。

その事実が何故か今は少し重苦しく感じる。


「お義兄さ~ん、ちょっと来てくださ~い」


紗良の声がした。

試着室の前の待合スペース。

その一角に置かれた、さもふかふかそうなソファに腰掛けた紗良が手を振っていた。

ドレスを選ぶ姉を待つ間、暇を持て余しているのだろう。


白を基調とした淡い色のサマーニット。

薄手のカーディガンが素肌を隠すように羽織られ、膝から20センチは離れているであろう丈のミニスカートから白磁のような滑らかな脚を惜しげもなくさらけ出している。

椅子に座りながらも太ももから爪先までが完璧に均衡の取れたプロポーションを保っているのを見る限り、紗良の体型はモデル顔負けと言っても過言ではない。

しかし、その姿は聖なる場所のそれとは対極にある生々しい女の、男ウケ間違いなしの身体でもあった。



「な、なんだよ……」


わざと少し低い声を出す。

内心の動揺が悟られないように。


「ん〜? 呼んだだけですよぉ♡」


紗良は無邪気な顔で笑う。


「だって、お義兄さん? そこでぼーっと立ってるのもなんだし〜? こっち来て座れば? お姉ちゃん、ドレス着せてもらうのに時間かかるみたいだし~……?」

「……」


試着室のカーテンの向こう側。

綾乃が宮原さんと一緒にドレスの調整を始めている声が聞こえてくる。


「ね? まだ時間かかりそうだし~……? あたし退屈だよ~」


そう言って紗良はソファの背もたれに身体を預け、大きく伸びをする。

サマーニット越しの豊かな膨らみが強調され、真っ直ぐに伸ばされた長い脚が桃色のペディキュアの揃った爪先までピンと伸びる。

無防備に見せられた女体にゴクリと唾を飲み込んだ。


「別に疲れてるわけじゃないし……」


必死で冷静さを取り繕おうとする。

紗良はそんな俺の努力を面白そうに眺めながら、『まぁまぁそう言わずに~』とソファをポンポンと叩いた。


──誘われている。


その事実に身体の芯が火照り始める。

カーテン越しとはいえ綾乃がいるのだ。

だが、昨日の続きを期待していたことも事実で……。


「……座ればいいんだろ」


俺は観念して歩み寄った。

紗良の隣。

距離感ゼロの、紗良の空間に──。


「ほら〜~、やっぱり来てくれると思ってましたよ~?」


そう言って紗良は笑う。

朗らかに。

それこそ、仲睦まじさの感じられる、兄妹とでも言うかの如く。


「……綾乃が出てくるまでの少しだけな。それに……下手に近いと怪しまれるだろうから……」


ソファの端に浅く腰を下ろす。

適度に距離をとりたいという魂胆で紗良に釘を刺す。

今の俺と紗良の位置関係であればまだ誤魔化しが効くように思う。


「それにしても……今日は暑いですね~~……♡」


セルフうちわのようにパタパタと掌で仰ぎながら、羽織っていた薄手のカーディガンを脱ぐ。

露わになった素肌。

剥き出しの肩の部分には薄っすらと汗が滲み、額には一滴の雫が光っていた。

その汗は照明の光を受けて煌めいており、白磁のような陶器肌がしっとりと濡れる様は異様なまでに扇情的であった。


「ッ……♡」


甘いシャンプーの匂いに混じって、ツンと鼻をつく酸っぱい汗の匂いが届く。

シャンプーとフルーツが混じったような、若い女特有の芳香。

手放しでいい匂いと形容できるわけではないが、どこか雄の獣欲を刺激するような、雌の匂い──。


「──持っててくれます?」

「え? あっ? あぁッ……♡」


少しぼーっとしていた俺の手に、紗良が自身の脱いだカーディガンを手渡してきたのだ。

慌てて受け取ったカーディガンの内側から一気に猛烈な雌の香りが湧き上がってきて、鼻腔を刺激する。


この匂いは危険だ──ッ♡


理性が警鐘をかき鳴らす。

先日、クローゼットの暗闇に充満していた匂い。

それよりもっと前、紗良の太ももに顔を埋めた時に嗅いだ匂い──。


一瞬で股間が熱を持つ。

条件付けられていたのだ。

この匂いを嗅ぐだけで、勃起してしまうように。

脳裏に焼き付いた快楽の記憶が、匂いをきっかけに蘇るように──。


太ももの肉感。

唇の柔らかさ。

そして昨晩の、性器へのキス──。


「ぁっ……♡」

「ふふっ♡ どうしました?♡」


「ッ……別に……」


慌ててカーディガンを膝の上に置いて距離を取る。

しかし鼻腔に入り込んだ紗良の匂いは簡単に消えてはくれず、身体の奥底で燻ぶる劣情の燃料になっていく。


あまりに強い匂い。


理性は蝕まれ、思考力は低下。

その代わりに、股間には血流が集まっていく──。


「お義兄さん?」


紗良の声音に含まれる蠱惑的な響きが俺の名を呼ぶ。

俺の心の弱い部分を暴き、操ろうとする声色。


「……な、何だ」


カーディガンを持つ手に汗が滲む。

声が震えている。

これが恐怖からなのか快楽に対する期待なのか、俺自身にもわからない。


「や〜……なんだかとっても大事そ~~にあたしのカーディガンを抱えてるので〜……」


『んーー』と紗良が伸びをする。

剥き出しとなった脇から、ふわっと匂いが漂ってくる。

甘く、そして少し酸っぱく、若い雌の体臭。

それは明らかに人為的な香りなどではなく、女の身体から湧き出した蒸れた香りそのまま。


──とくんっ……♡


「いや……別に……お前が持っていってって言ったから……」

「ふぅ~ん……♡」


やばい。


血の気が引く。


「どうしてあたしの顔を見て目を逸らすんです?」

「ッ……♡」


鋭い。


「しかも変な汗までかいてますよ?♡」


返答に窮し、乾いた咳払いをしてごまかす。


「ま、まあ汗ぐらい誰だって──」

「嗅ぎたかったら別に嗅いでもいいですよー♡」


「ッッ♡」


言い訳をあっさりと遮りれた。

しかも、それだけでなくわよりによってそんなこと……!


「あたしの匂い……好きでしょ?」

「なッ……!」


「この前もいっぱい嗅いでましたもんね〜♡ 太ももの匂いとか……お股の匂いとか……♡」


脳裏に焼き付いている光景。

紗良の太ももに顔を埋めさせられ、舐めるように匂いを嗅がされながら、足で射精させてもらった記憶。

その時の匂いと今鼻をくすぐる匂いが混ざり合い、腰の奥がドクンと脈打った。


「い、今は……その話は……」

「はいはい♡ 今はお姉ちゃんの晴れ舞台ですもんね~」


紗良は屈託のない笑顔で頷く。

そしてふいに身体を寄せてきた。


「でもさ〜? お義兄さん……♡」


耳元に吐息がかかる距離。

甘く湿った空気が耳の穴を弄ぶ。


「んっ……♡」

「お姉ちゃんの匂いより……あたしの匂いの方が……好きですよね?♡」


「ッ……♡」

「嘘つかなくてもわかりますよ〜?♡ だってほら……♡」


紗良の手が膝の上のカーディガン越しに俺の手に触れる。


「また……こんなになっちゃってる……♡」


その指先は迷うことなく、俺の膝の上から股間へと移動し、脹らみ始めた中心部へと触れた。


──さわっ……♡


「ッ……♡ な、何を……ッ♡」

「しー♡ 大きな声出さないでくださいよ〜? お姉ちゃんに聞こえちゃいますから〜♡」


カーテンの向こう側。

かすかに綾乃の声が聞こえる。

宮原さんと話しているようだ。


声を出してはいけない。

バレてはいけない。


そう思うのに、紗良の指先が布越しに愛撫を始めると、喉の奥から変な声が漏れそうになる。


「ふふっ……♡ お義兄さん、昨日の続き……シたくなっちゃいました?♡」

「ち、違ッ……! こ、これは……ッ♡」


「違わないですよね?♡ だって……♡」


布越しに肉竿の形をなぞる指先が、先端のあたりで円を描くように動く。


──くるり……♡ くるり……♡


「昨日あたしのお口でいっぱいいっぱい気持ちよくなったのに、結局出せませんでしたし?♡」


図星を突かれ息が詰まる。

昨日の夜。

紗良の唇によって与えられた快楽。

幾度となく寸止めされ、出せないまま放置された熱。

それが今もまだ下腹部に燻っていることを……紗良はわかっている。


「可哀想なお義兄さん……♡ ずっと我慢してたんでしょ?♡」


耳元に吐息がかかる。


「さ、紗良ッッ♡♡ こ、こんなところでぇッッ♡♡」

「こーゆーところだからいいんじゃないですか〜?♡ ほら、それよりも……いいんですか? 声我慢しなくて……♡ カーテンの向こうのお姉ちゃんに聞こえちゃいますよー?♡」


クスクスと笑う紗良の手が股間の中心部を優しく包み込む。

手中に収めた獲物を愛でるような、慈しむような手つきで布越しに形をなぞる。


──さわさわ……♡ さわさわ……♡


「ん"ッッ……♡ くッ……♡」


股間の中心に血液が集まる。

下着の中で肉竿が急速に勢力を拡大していく。


「あはっ♡ また大きくなっちゃった……♡ やっぱりお義兄さん、あたしにいじめられるのが好きなんですね〜?♡」

「ッ……♡」


否定しなきゃいけないのに、否定できない。


「昨日あたしの唇でいっぱいいっぱい気持ちよくなったから……またしてほしいって……♡」

「ち、違──……♡」


「違わないですよね?♡ お義兄さん?」


耳元の吐息がふいに熱を持つ。


「んっ……♡」


唇が耳の縁に触れた。


──ちゅっ……♡



「ッッッ……♡♡♡」


耳の裏側を舐め上げられて。

尖った舌先がくるりと回り、穴の方へと入り込んでくる。


──れろっ……♡


「んッ♡ あッ……♡ さ、紗良っ……♡」

「しー♡ お姉ちゃんに聞こえちゃいますよ〜?♡」


穴の中を奥の方へと蠢く舌が掻き回す。

耳穴の内側に生えた産毛を、ぬるついた筋繊維が押し潰し、びっしりと敷き詰められた味蕾のツブツブが、ぞりぞりと快楽神経を舐っていく音が頭蓋の中に響き渡る。


──ぬぢゅぢゅぢゅぢゅ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ ぁッ……♡」


耳の奥へ送り込まれる唾液の粘り気。

人間の体温。

生々しく脈打つ肉の塊。

それら全てが鼓膜を直接震わせ、脳髄へと快楽信号を送り込んでくる。


(だめだ……これ以上は……)


強く拒絶しなければならない。

今すぐ紗良を突き飛ばし、立ち上がってこの場から離れなければならない。

しかし紗良は、俺の苦悶など全く気にも留めず、耳の中へと舌を侵入させたまま激しく掻き回し始めた。


──んぢゅんぢゅんぢゅッ♡♡♡ ぬぽぬぽぬぽッッ♡♡♡


「ん"お"ッッ……♡♡♡ ん"う"ぅ"……♡♡♡」


口から漏れる声はもはや言葉の形を為していない。

それでも紗良は舌での蹂躙を辞めてはくれなかった。

耳の内側の神経に直接吸い付くような粘膜と粘膜の摩擦音、唾液の混ざり合う湿り気の音。

俺の耳を犯す音だけが生々しく反響し、全身を粟立たせ、耳の外側を撫でる紗良の紗良の鼻息が、生々しい距離感を伝えてくる。

それに加えて紗良は手中に収めた肉竿の先端あたりを、指の腹で執拗にくすぐり続けていた。


──くにくにくに……♡ くにくにくに……♡


「んッ♡ あッ♡ ん"ッ♡ あ"ッ……♡」


声を殺そうとすればするほど、変に裏返った情けない声となって喉から押し出される。

いよいよ強く拒絶しなければならない。

乱暴を働いてはいけないなどと言っている場合ではない。

今すぐ本当に紗良を突き飛ばしてでも立ち上がって、紗良という女の生み出す快楽沼から抜け出さなければ──ッ♡


「……ほら、さっきから声が漏れちゃってますよ? あたしのカーディガンで口を塞いだ方がいいんじゃないですか?♡


口を塞ぐ?

カーディガンで?


意味がわからなかった。

この状況でそんなことをすればどうなるか。

布越しとはいえ、紗良の匂いが染み付いたカーディガンを口に当てるということは、俺が自分から匂いを嗅ごうとしていることと同じ。

ただ手に取っただけでふわりと香った紗良の匂い。

それを直接口元に当てれば、呼吸のたびに肺の奥底まで紗良を吸い込むことになる。


違う。


これは俺が嗅ごうとしてるんじゃない。

声を漏らさないためだ。

綾乃にバレないためだ。

だから仕方がないんだ。

頭の中に次々と理由が浮かんでくる。

だがその全てが言い訳に過ぎないのだと頭のどこかで理解していた。


「ッ……♡」


震える手で膝の上のカーディガンを持ち上げる。

躊躇いながらも口元に当てた瞬間、濃縮された紗良の匂いが鼻腔から脳髄まで直撃する。


「ん"ッッッ♡♡♡」


──むわ……♡♡♡


世界が甘酸っぱい匂いに塗り潰された。

カーディガンの生地越しに紗良の体温を感じ、一呼吸ごとに肺胞のひとつひとつに紗良を吸い込んでいく。

布地にしみ込んだ汗の匂い。

微かに漂う甘い体臭。

紗良という女の生み出す芳香。

その全てが鼻腔を通じて頭の中へと流れ込み、紗良という女の匂いを脳回路に刻み込んでいく。


──すんすん……♡ すんすん……♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡」


我慢できない。

匂いを嗅がないと呼吸ができない状況の中で、深く息を吸えば吸うほど、ますます匂いが脳を侵食し、身体の芯を桃色に染め上げていく。

理性を溶かし、綾乃への恋慕を一時的に焼却するほどの強烈なフェロモンの暴力。

まるで紗良という女に足りない酸素を求めて喘ぐ亡者のように、俺は鼻呼吸を繰り返し、彼女を体内へと取り込んでいた。


「ふふ……♡ いいですねぇ……♡」


吐息と共に侵食してくるしっとりと艶めいた言葉。

紗良が喋っている間のみ、舌のうねりはなりを潜め、代わりに吐き出された紗良の声が鼓膜を震わせる。


「お義兄さんの脳みそ、ぜーんぶあたしで染まってく感じ……♡」


その言葉の意味が喉の奥まで浸透し、身体の芯まで響いてくる。

女の匂いを直に嗅いでいるせいで、甘い毒霧のような芳香に全身を侵食されていた。

そこに俺の意思が介在する余地はなかった。

紗良という女が鼻の穴を介して中枢神経を支配し、肉体を桃色の快楽で執拗に塗り潰していく。


このままではいけない。

このままではいいわけがない。

警鐘を鳴らす理性が徐々に正気を取り戻していく。

カーディガンを握る力に力がこもる。


「……んッ♡」


だが、紗良は俺の抗いを許さなかった。

俺がカーディガンを鼻から離そうとした瞬間に、紗良は自らの舌を穴の中へゆっくりと差し込み、最奥にある神経を吸い上げるかのように舌をうねらせたのだ。


──ちゅぱぁ……♡ れろぉ……♡ ぢゅるぢゅるぢゅる……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡」


破壊的な刺激が耳の穴から全身を駆け抜ける。

しかし紗良は一切の抵抗すら許さないとでも囁くように、今度は舌の腹を耳の凹凸の上からべったりと押し付け、全体を味わうようにゆっくりと舐め始めた。


「ん"っ……♡ さ、紗良……ッ♡ そ、そんなに……ッ♡」


──んぢゅっ……♡ れろぉ……♡ にゅぷっ……♡


「んっ……♡ あ"ッ……♡」


身体中の力が抜けていく。

強いて言えば、下半身だけが生意気にも強靭な勃起を紗良の手の中で誇示し主張している以外は、俺の身体は紗良の甘い快楽による支配に再び委ねられていた。


全てを舐め取っていくかのような耳舐めに全身の力が抜け、俺は口元を再び強くカーディガンで塞ぐより他なかった。


──すんすん……♡ すんすん……♡


耳の中をねっとりと嫐る粘膜。

俺は変な声を漏らしながら紗良のカーディガンを口に当て、濃厚な女の匂いを吸い込み続けてしまっていた。

すると、体の芯からむくむくと湧き出してくるのは背徳のスリルと淫猥な劣情。

手の中のカーディガンは、カーテンの向こうの綾乃の存在と、その匂いと対極にある女の証であり、カーディガンに染み込んだ匂いは、洗濯用洗剤のそれではなく、紗良の部屋の空気そのもの。

甘く、すえたような、若い女特有の体臭。

シャンプーの芳香に混じった女の汗の匂い──。


「──悠真さん? 聞こえてる?」


カーテンの向こうから綾乃の声が聞こえた。

近い。

非常に近い。

空気を通じて伝わってくる優しい声。


「さっきから反応ないなーって思って……もしかして、そこにいない?」


いつから声をかけられているのだろうか。

綾乃の声には多少の不安が混じっているようだった。


声を出そうとする。

しかし俺の口が開く瞬間を見計らうかの如く、紗良の手が強く肉竿を握り締めた。


──ぎゅっ……♡


「ッ……♡」


声が出ない。

反応できない。


「悠真さん?」


綾乃が再び俺の名を呼ぶ。

名前を呼ばれるたびに、罪悪感が胸をチクチクと痛めつける。

俺は今、綾乃のすぐ傍で……その妹に耳を舐められ、妹の匂いを嗅がされ、柔らかな手によって股間を触られている──。


「ん、お姉ちゃん、あたし達はここにいるよー」

「あ、紗良。悠真さんも一緒?」


「はーい♡ お義兄さんも一緒に待機中で〜す♡」

「そっか、よかった。てっきり出て行っちゃったのかと思って……何も反応なかったから……」


「あはは~、お義兄さん、もしかしてドレスの話に興味ないとかー? ……なんてね♡」

「えー? 悠真さん、私せっかく楽しみにしてたのにー?」


綾乃の明るい声がカーテンの向こうから聞こえてくる。

俺の名前。

俺を呼ぶ声。

何も知らずに、俺を信頼してくれている声。


「……あ、あぁ……たっ……楽しみ……ッ♡」

「悠真さん? 声小さくない? 何か言った?」


「お義兄さーん? ちゃんとお姉ちゃんに答えてあげてくださいよ〜♡」

「ッ……♡」


紗良の手が股間を揉みしだき、耳の中で舌が蠢く。



──ぢゅぢゅぢゅ……♡ にちゃにちゃ……♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡」


紗良は俺が綾乃へ返答に窮しているのを楽しんでいるようだった。

耳の中をねっとりと嫐り、緩慢に往復する粘膜の感触に全身が震える。

一方で紗良の手は執拗に布越しの肉竿をいじり続け、強弱のリズムを刻みながら愛撫を加え続けていて。


──ぬぢゅっ……♡ ぢゅるっ……♡ ぬちゅぬちゅぬちゅ……♡


──さわさわ……♡ さわさわ……♡ くにくに……♡ くにくに……♡


「悠真さん? どうしたの? 具合悪い?」

「あ、あぁ……ッ♡ ご、ごめんッ……♡ だ、大丈夫ッ……♡ だから……ッ♡」


「そう? なんだか声が震えてるみたいだけど……」


紗良の手が布越しの亀頭部分を摘み上げ、指の腹でカリの溝を優しく撫で擦る。

肉竿の弱いところを熟知した的確な愛撫。

布越しでありながら、確かな快感が腰を砕き、声を裏返らせていく。



「ん"ッ……♡(き、気づかれる……ッ)」

「ふふっ♡ 大丈夫? お義兄さん……♡」


「ッ……♡」

「ほら……ちゃんとお姉ちゃんに返事してあげてくださいよ〜♡」


紗良の囁きに促される。

声を出さなきゃいけない。

綾乃にちゃんと返事をしなきゃいけない。


なのに紗良は……紗良は……ッ♡


しっとりと柔らかなリップスタンプを耳の凹凸に押し付けながら、執拗に耳の穴を舐っていた。


「か、考え事してて……ッ♡」

「考え事? 結婚式の?」


「あ、あぁッ……♡ そんなところ……ッ♡」

「嘘つき〜……♡」


「ッ……♡」


紗良が俺の耳元で小さく笑った。

吐息が耳の穴に流し込まれる。


「考えてたのは……お姉ちゃんのことじゃないですよね?♡」


図星。

紗良の甘酸っぱい匂い。

紗良の柔らかな身体の感触。

紗良の淫靡な手つき。

今、頭の中で大きなウェイトを占めているのは……紗良の方だ。


「っ……♡」


否定しなきゃいけない。

否定しなきゃいけないのに……。

肉竿を包み込む紗良の手が、先端をいじるのをやめて今度は緩やかに上下に動き始める。


──しこ……♡ しこ……♡ しこ……♡


「ぁ……♡ あ……♡」


声が出る。

抑えきれない吐息が漏れる。


「ふふ……♡ また声が出ちゃってますよ?♡」

「やっ……♡ やめ……ッ♡」


「やめませんよ? お義兄さんが気持ちよくなっちゃってる限りは……♡」


──しこ……♡ しこ……♡ しこ……♡


布越しの摩擦。

緩やかな手つき。

ただただ丹念な上下運動によって確実に快楽が高まっていく。


「ほら、お口はちゃんと塞いでてくださいね?♡ 声出しちゃったら、さすがのお姉ちゃんでも気づいちゃいますよ〜?♡」


──ぬぢゅぢゅぢゅ……♡ ぬぽぬぽぬぽ……♡


──しこ……♡ しこ……♡ しこ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ ん"あ"ッ……♡♡♡」


全身に甘い痺れが走る。

呼吸は浅く、心拍は速く。

そして肉竿は硬く反り返り、紗良の手の中で早くも限界を訴える。


昨日、寸止めされた熱が再び首をもたげ始める。

身体の芯から湧き上がってくる背徳感とスリル。

分厚いカーテンを一枚隔てた向こうで、婚約者の妹に耳を舐められ、匂いを嗅がされ、股間をまさぐられているという淫猥な事実が、俺を追い込んでいく。


「ねぇ、悠真さんはどんな感じのタキシードにしたいと思ってるのー?」

「ッ……♡ た、タキシード……ッ♡」


「そう。やっぱり白? それともちょっと落ち着いたシルバーっぽい感じー?」


紗良の手がふいに止まる。

肉竿を握り締めていた掌が離れた。

ほっとしたのも束の間、指先がファスナーの金具に触れ、おもむろに下ろし始めた。


──ジ〜〜〜……♡


「やっ……♡ そ、それは……ッ♡」

「しー♡」


あっという間にファスナーが下ろされ、下着の布地が露わになる。

カーテンの向こう側で話す綾乃の声が遠く聞こえる。

再び『悠真さん?』と名前が呼ばれた。


「あ、あぁ……♡ し、白……かな……ッ♡」

「白か〜。やっぱり王道だね〜。確かに今試着させてもらってるこの衣装もパールホワイトだから多分悠真さんも白の方が合うんだろうけど、私が少し落ち着いたオフホワイトのドレスとかにしたら、悠真さんも落ち着いたグレーみたいなシルバーも似合うかも……? とか思っちゃって〜」


綾乃の無邪気な声が聞こえてくる。

しかし意識は完全に紗良の手に囚われていた。

ファスナーを開けた紗良の手が、今度は下着の中へと滑り込んでくる。


「ッ……♡ やっ……♡」


勃起し限界まで張り詰めた肉竿。

下着の中で窮屈さを訴えながら布地を押し上げていた。

その生々しい膨らみを、紗良の細くしなやかな指が直接掴み取った。


──ぎゅむっ……♡


「ん"ッ……♡♡♡」


布地の拘束から解放された肉竿を再び拘束したのは、紗良の柔らかな掌だった。

肉を舐めるように、滑らかな手のひらが張り付く。

指先が脈打つ硬度と温度を確かめるように、優しく何度か握り直す。


──にぎにぎ……♡


「んッ……♡ くッ……♡」


快感の波が腰から脳天を突き抜け、思わずカーディガンを握る力が強くなる。

紗良のカーディガンがなければ間違いなく甘い悲鳴が口から漏れていた。

女の匂いと手コキの刺激による二重の追い込み。

身体の芯からドクンドクンと脈打ち、股間に集まった熱が掌に包まれて逃げ場を失っていく。


「……ふふっ♡ お義兄さん? ……返事♡」


紗良の囁き声に我に返る。


「……あ"ッ♡ あ"ぁ……♡ に、似合う……かもな……ッ♡♡」

「よかった〜♡ じゃあ、ドレスに合わせて悠真さんのタキシードの色も考えようね〜」


綾乃はカーテンの向こう側で明るく笑っているようだった。

何も疑うことをせず。


「はい、悠真様、もうしばらくお待ちくださいねー。お衣装の調整が終わりましたら、ドレス姿をお見せしますのでー。綾乃様は美人さんなので、きっととってもお綺麗ですよ? ふふっ」

「もう〜、宮原さんったらお上手なんですから〜!」


「いえいえ、事実をお伝えしてるだけですよー?」

「あはは、じゃあ悠真さん、ドレス姿見るの楽しみにしててね〜!」


──にゅく……♡ にゅく……♡ にゅく……♡


「ッッ♡♡♡ お"ッ♡ お"ぉッ♡」


肉竿を握り締めた紗良の手が、上下にゆっくりと動き出す。

しっかりと根元から握り込みつつカリの段差部分に指が差し掛かった瞬間、握力を調節し。

ただただ単調な上下の動きにならないようにと、五本の細長い指の腹がバラバラと不規則に蠢き、性感を際限なく高めていく紗良の手淫。


「お姉ちゃんがすぐそばにいるのに、その妹のあたしのお手々でちんちんいじめられちゃうの、きもちぃですかぁ〜……?♡」


──にゅく……♡ にゅく……♡ にゅく……♡


そこへ、紗良の甘い誘惑の言葉が耳の中をしっとりと侵入し、鼓膜を震わせば、脳髄に甘美な毒が浸透していく。


「ん"ッ……♡ ッ……♡」


俺はカーディガンを口元に強く押し当てる。

女の匂いに塗り潰されながら、紗良の手の中でのたうつ肉竿に与えられる直接の愛撫に翻弄される。


──にゅち……♡ にゅち……♡ にゅち……♡


「お義兄さん? 返事♡」

「ッ……♡ あ、あぁ……♡ き、きも……♡ ち……ッ♡」


「ん〜? 聞こえなーい♡」

「あ"ぁぁぁぁ……ッッ♡♡♡ き、きもち……ッ♡ いぃ……ッ♡♡♡」


「なにそれ〜? きもちいいの〜?♡」

「ん"……♡ う"……♡」


「じゃ〜、もっときもちよくしてあげるね〜……? ん〜……れぇ〜……♡」


──ぬぷぬぷぬぷ……♡


耳元に寄せられた紗良の唇。

その隙間からぬるりと這い出てきた真っ赤な舌が、穴の中へと差し入れられていく。


「ッ……♡ あ"ッ……♡♡♡」


──ねぢゅねぢゅねぢゅ……♡ ぬぢゅぬぢゅぬぢゅ……♡


「あ"ッ……♡ ん"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡」


ぬめりを帯びた舌肉が、耳の最奥を目指してねじ込まれ。

嬉しそうに笑った紗良が、耳の神経を掻き出すかの如く、舌先で抽挿を開始する。


──ぢゅ、んぢゅ、にぢゅ、ぬぢゅ♡


鼓膜を震わす淫靡な水音。

俺は最早抵抗も拒絶も忘れ、紗良のカーディガンに口を埋めて、甘い匂いを吸い込みながら耳の穴を犯され続けた──。


カーテンの向こうで綾乃の楽しげな声が響いている。


何も知らない。

何も疑っていない。


純粋に結婚式を楽しみにしている、俺の愛する人。


そのすぐ傍で、俺は婚約者の妹が紡ぐ快楽の沼に沈んでいた。


カーディガンから漂う甘酸っぱい香り。

掌の中で脈打つ淫らな硬直。

耳の穴を侵食する粘膜の蠢き。


全てが重なり合い、俺の理性を一欠片ずつ剥ぎ取っていく。


──ぬぢゅ……♡ ぬぢゅ……♡ ぬぢゅ……♡


──にゅく……♡ にゅく……♡ にゅく……♡


「悠真さーん? もう少しでドレス見せられるかも〜……!」


──ぬぢゅぢゅぢゅ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ あ"ッ……♡♡♡」

「悠真さん? いないの?」

「ほら、お姉ちゃんにちゃんと応えてあげて下さいよ〜? あたしのお手々がいくら気持ちよくても、きちんと夫婦としての務めを果たさないと〜?♡」


──にゅくにゅくにゅくにゅく……♡

──れろぉ〜〜〜……♡ ぬぷぬぷぬぷ……♡


「ッ……♡ あ、あぁ……♡ た、楽しみに……してるッ♡♡♡」


カーテンの向こうから綾乃の声が届くたびに、紗良の愛撫の激しさは増していく。

耳の穴の中で蠢く舌が一際激しく動くと同時に、

掌の中で脈打つ肉竿を握りしめる掌の力が強まり、上下の動きが速くなっていく。


「ッ……♡ くッ……♡ ん"ッ……♡♡」


声を出すまいと必死で耐えるが、与えられる快感は強烈で、俺の全存在を快楽に向かわせようと容赦がない。

全身の神経が耳と股間に集中する。

綾乃の声が届くたび背徳感が増す。

紗良の誘惑が深まるたび理性が削がれる。

甘い快楽の沼。

そこへ沈んでいく俺の全身。

俺はもう……抗えなかった。


「ん"ッ……♡ ん"ッ……♡ ん"あ"ッ……♡♡♡」


──にゅくっ……♡ にゅくっ……♡ にゅくっ……♡


──ぢゅぢゅぢゅぢゅ……♡ ぬちゅぬちゅぬちゅ……♡


「さ、紗良ッッ♡ も、もうッッ♡♡」

「ん〜〜〜?♡ もう? もうどうしたんですか〜?♡」


耳元で悪戯っぽく弾んだ声。


「だ、だめだ……ッ♡ もう……限界……ッ♡♡」

「限界って? どこが限界なんですか〜?♡」


紗良の手が肉竿を握り締める力を強めた。


──ぎゅむっ……♡


「ッ……♡♡」

「あたしの手が気持ちよすぎて限界? それとも〜……♡」


そのまま竿を扱き、容赦なく絞り上げて。


「お姉ちゃんにバレちゃうかもしれないスリルが限界?♡」

「ッ……♡ ち、ちが……♡」


「じゃあ〜? なぁに〜?♡」


──にゅくっ……♡ にゅくっ……♡ にゅくっ……♡


「だ、だからぁッッ♡♡♡ で、出るッッ♡♡♡ 出るからぁッッ♡♡♡」

「あはっ……♡ 最低〜……♡ こんなところで出そうになっちゃうんだ……♡」


「だ、だってぇッッ♡ お前がぁッッ♡ そ、そんなことぉッッ♡♡」

「あたしが? あたしが何ですか〜?♡」


「あ、煽るからぁッッ♡♡ で、出ちゃう……ッッ♡♡」

「あたしのせい? またそうやって自分は悪くないってことにしたいんですか〜?♡」


「ッ……♡」

「わかりました♡ じゃあやめてあげますよ〜?♡」


──すっ……♡


紗良の手が肉竿から離れる。

耳の穴から舌が引かれ、カーディガン越しに鼻を撫でるような吐息だけが残る。

留められていた刺激が失われたことによる喪失感。

中途半端に煽られた熱が解放されず、股間の奥にどす黒く燻り続けていく。


「や……♡ やめ……♡ な、なんでぇ……♡」

「だってお義兄さんがあたしのせいだって言うから〜♡」


「っ……♡」

「『違う、俺のせいなんだ〜〜』って言ってくれたら、続けてあげたのに〜♡」


「ッ……♡ い、いやっ……♡ ぅ……ぁ……ち、ちが……♡」

「ん〜……? どうしたんですか? サイテーなお義兄さん?♡」


昨日から続く一連の寸止めによる精神的苦痛。

限界まで高められた射精の衝動は今にも弾けそうになっていた。

だが紗良の手が離れたことで刺激が停止し、焦燥感だけが全身を駆け巡っていく。

あまりに残酷な仕打ち。

腰の奥が悲鳴を上げる。

このままでは終われない、終われるはずがない。

ここまで追い込んでおいて放置するなんて……そんな……そんな……ッッ。


「……お、俺のっ……♡ せ、せいだッッ♡♡」

「ん〜〜?♡ 何ですか〜? 聞こえなーい♡」


「俺のせいだッッ♡♡ 全部、俺が……悪いんだッッ♡♡♡ 俺が……紗良に……シてほしいって……お、おねだりしたからッッ♡♡♡ ……だからお願いだッッ♡♡♡ 出るまで続けてぇッッ♡♡♡」

「ふふっ♡ 上手におねだりできました〜……♡ だけど、もう時間切れみたいですよ〜……?」


「え……♡?」


紗良のその言葉のすぐ後に、目の前のカーテンの向こう側がにわかに騒がしくなる。

綾乃だ。

綾乃の試着が終わり、姿を現そうとしているのだ。


──まずい。


下半身には丸出しの竿が。

下着の隙間からはみ出して、ファスナーは全開のまま。

ズボンの中から堂々と主張したまま、グロテスクなそれがビクビクと震えている。

到底普通の状態ではない。

しかし、とてもではないが、すぐに正せるものでもない。


「あ"ッ……♡ ま、待って……♡ まだ……♡」

「あはっ♡ もうお姉ちゃん来ちゃいますね〜♡」


素早く離れた紗良。

俺の手からカーディガンを奪い去り、元のように肩へ羽織ると、何食わぬ顔でソファに座り直した。


「なっ……♡ 紗良……♡ こ、これ……♡」

「さぁ? 何のことですか〜?」


「あっ……くっ……うぅ……ッ」


パニックだ。

必死に肉竿をパンツの中へと押し込み、ファスナーを上げようとするが、硬く張り詰めたそれは言うことを聞かない。

狭いパンツの中で暴れまわる肉竿。

パンパンに張り詰めたパンツの生地がきつく食い込む。

それでもなんとかファスナーを上げつつズボンの上から何度も強く押さえつけてやると、なんとか元の位置へと戻すことに成功したのは、カーテンが開かれる直前だった。


──ガサガサ……。


カーテンが開く。

ゆっくりと。

白いレースが舞うように裾を広げて、純白の衣装が淡い光の中から現れる。


「──悠真さん……♡」

「……ッ♡」


思考が止まった。

美しかった。

本当に、美しかった。

白い光に包まれながら、綾乃はそこに立っていた。

真っ白なドレス。

純白のウェディングドレス。

光を浴びて淡く輝きながら、まるで聖女のように佇んでいる。


「お待たせ! 悠真さん……どうかな?」

「あ……♡」


言葉が出ない。


純白の花嫁。

その姿は圧倒的に美しかった。

光の中に立つ綾乃。

ドレスのレースが淡く煌めき、広がるスカートが光を反射して輝いている。


誰よりも愛しいはずの人が、永遠を誓う姿でそこにいる──。

本来なら胸が張り裂けるほどの愛おしさと幸福を感じるはずだった。


だが今、俺の全身を満たしているのは、幸福ではなかった。

焦燥感。

行き場を失った下半身の熱。

限界まで昂り寸止めされた、行き場のない欲望。


何か言葉を発しなきゃ──そう焦る俺よりも先に、立ち上がった紗良が黄色い歓声を上げた。


「きゃーーーー! お姉ちゃん、綺麗〜〜〜〜〜〜♡」


俺の視線を遮るように、俺と綾乃の間に立った紗良。

その手に握られたスマホの画面を俺に向けてくる。

綾乃には見えない位置。


「すっごいすっごい! お姉ちゃん、白雪姫みたい〜〜〜♡」

「もう……紗良ったら、大げさだよ〜……」


綾乃のドレス姿より、その画面に表示された文字に釘付けになってしまう。

だってそこには、そこには……──。

………

……

…

##P13 婚約者のドレス選び@婚約者が試着している最中の匂い責め、ちん撫で、試着室の前で責められる、耳舐め、脱ぎたてのカーディガンでの匂い責め、婚約者にバレそうな状況で責められる、耳舐め手コキ、寸止め


スタッフに案内されたのは、披露宴会場の奥まった場所にある一室だった。


「こちらが新郎新婦様の控室でございます」


重厚な木製の扉が開かれる。

広々とした空間。

中央にはふかふかのソファが配置され、壁際には大きな鏡とドレッサー。

天井から吊り下げられたシャンデリアが、部屋全体を柔らかなオレンジ色に染めている。


「綾乃様がエステのご利用中、こちらでお待ちいただけます。ご自由にお過ごしくださいませ」

「はーい、ありがとうございま~す」


紗良が明るく返事をする。


「それでは、何かございましたら内線でお知らせください」


スタッフが一礼し、扉が閉められる。

パタンという軽い音を最後に、部屋の中は静寂に包まれた。

二人分の呼吸音だけが聞こえる静けさ。


「……ふぅ」


ソファに腰掛けた紗良が、わざとらしく息を吐く。


「やっと二人きりになれましたね、お義兄さん」


その言葉だけで心臓が跳ねた。

先ほどスマホの画面で俺にだけ見せられたあのメッセージ。


『二人きりになれたらお口で抜いてあげるよ〜♡』


試着室の前であれだけ焦らされ、寸止めされた身としては、その言葉の意味が頭から離れなかった。


「……あぁ」

「あれ? もしかして期待してました?」


期待していないと言えば嘘になる。

しかし、はいそうですと素直に認めることもできない。

俺はただ黙って、紗良の次の言葉を待った。


「そんな怖い顔しないでくださいよ〜? あたし、お義兄さんにご褒美あげるって言ったじゃないですか」


紗良はソファから立ち上がると、つかつかと俺の前まで歩み寄ってきた。


「それに……さっきは途中で終わっちゃいましたしね?」

「ッ……♡」


「お姉ちゃんのドレス姿、とっても綺麗でしたね〜」


突然、綾乃の話を持ち出されて戸惑う俺。

しかし紗良は何事もなかったかのように淡々と口を開く。


「それなのに……お義兄さんったら、あの時……」


紗良の指先が俺のズボンの前面をそっと撫で上げた。

柔らかな指先が膨らみの上を滑り、裏筋のあたりを軽く引っ掻く。

子猫の顎下をくすぐるような手つきに思わず腰が浮いてしまう。


「こんなに大きくしちゃって……♡ 私のお姉ちゃんが一生懸命綺麗にしてもらったのに、目の前で他の女に……しかもあたしにシてもらうことしか考えられなくなってたなんて……♡」



その声には咎めるような響きは一切なかった。

むしろ愉しげで、嬉しそうで……それ以上に妖艶だった。


「お義兄さん、お姉ちゃんとのドレス姿、ちゃんと忘れないでくださいねー?」


そう言いながらも紗良の目は俺のズボンのファスナーの金属部へと向けられていた。

俺は頷くことも謝ることもできず、ただ息を飲み続ける。

非現実なことが起ころうとしているのに、紗良があまりにも当たり前のようにするもんだから、おかしいことの境界線が曖昧になってくる。


「まだこんなに硬いし……♡」


ベルトの金具にかかる紗良の手。

カチャカチャという金属の鳴る音が妙に生々しく耳に残る。


「えっちなことするために来たわけじゃないんですよ〜? 式場見学ですし……」


そんな建前を口にしながらも、その指先は既にファスナーを捉えていて。


「……ッ♡ 紗良……ここだと……」

「ここだと?」


「その……誰が来るか……」

「来ませんよ。当分は。さっきの人も言ってたじゃないですか。お姉ちゃんのエステが終わるまではご自由にって」


「じ、自由ったってっ……!」

「それとも、誰かに見られたいんですか? お姉ちゃんの妹に、こんなことされてるところ」


「そんなわけ……ッ」

「じゃあ、いいじゃないですか」


紗良は悪戯っぽく笑うと、ゆっくりとその場に膝をついた。


「……ッ!」


見下ろす形になった紗良の姿に、思わず息を飲む。

白いブラウスから覗く鎖骨。

短いスカートから伸びる太もも、白くてムチムチと張った脚。

そして何より、俺の股間を見上げる大きな瞳。




「これから、昨日のご褒美の続きをしてあげますね……♡」


──ジー……♡


指に摘まれたファスナーが下ろされる。


「あっ……♡」

「ふふ……♡ もうこんなに濡らして……♡」


下着の上からでもわかるほど、先走りで湿った染みが広がっていた。

紗良は指の腹でその染みをなぞりながら、クスクスと笑う。


「ずっと我慢してたんですね〜……♡ えらいですよ〜……♡」


そう言って紗良は、下着越しの先端にそっと唇を落とした。

その動きに迷いなんてものはない。

拒絶する間もない。


──ちゅっ……♡


「ん"ッ……♡♡」


布越しに伝わる唇の感触と温もり。

それだけで、腰が砕けそうになる。


「いい子いい子……♡ 苦しかったね〜……でも……まだ出しちゃダメですからね?♡ お義兄さんの射精はあたしがお世話してあげるんですから〜……♡ クスっ」


そのまま『脱がせますね』と呟いた紗良が、俺のスラックスと下着を一緒くたに、ゆっくりと膝まで下ろした。

そして、改めて飛び出してきたものを見て、目を細める。


「うわぁ……♡ もうこんなにもおっきくなってる……♡」


肉竿に突き刺さる紗良の視線。


「お姉ちゃんのドレス姿見てる下でこんなにしちゃって……サイテーですね?♡」

「……ッ♡」


紗良の声の振動が、生暖かい吐息の空気の動きが、張り詰めた肉竿の先端を撫でる。


「昨日はここにキスしただけで終わっちゃいましたけど……今日はもっと……♡」


唇が触れるほどの距離まで顔が近づく。

柔らかそうな唇。

鼻先をかすめる紗良の匂い。


「いっぱいお世話してあげますからね……♡ あたしがちゃんと、お義兄さんのわるいの、ぜーんぶ吸い出してあげますから〜……♡」


一通り竿に語り掛けた紗良が、まずは肉竿の根元にある陰嚢に手を伸ばす。


「まずはたまたまさんを気持ちよくしてあげますね……♡ いつも我慢ばっかりさせてごめんね〜……って……♡」


──むにゅ……♡


「お"っ……♡」


掌に二つの睾丸を乗せられた瞬間、温かい紗良の熱が伝わってくる。

そのまま玉袋を汗ばんだ掌で優しく包み込まれ、指の腹でゆっくりと揉み解されていく。

張り詰めていたものが、少しずつ解されていくような感覚。


「きもちぃ……?♡」

「あっ……♡ うっ……♡」


「さすがにタプタプ……♡ いっぱい溜まってますね〜……♡ お義兄さんのせーし……♡」


紗良の指先が精巣の表面を転がすように愛撫する。

優しく、丁寧に、まるで赤子をあやすような手つきで揉み解し続ける。


「ん"ッ……♡ くッ……♡ さ、紗良……♡」

「ふふ……やっぱりここは男の子の弱点なんですね〜♡」



──ころころ……♡ くにゅくにゅ……♡


「あ"ッ……♡ ♡ ♡」


陰嚢の皮膚を擦る紗良の指先。

表面の皺と皺が指によって引き伸ばされて、指紋の凹凸が敏感な皮膚を擦り、熱と疼きを与えてくる。

睾丸そのものを包み込む掌の温もりが、『こんなところで射精していいわけがない』という正論を溶かしていく。


「お義兄さんのこと、もっといっぱい知りたいです〜♡ 弱いとこも、きもちぃとこも、ぜーんぶ……♡」

「さ、紗良……ッ♡」


「お姉ちゃんには見せないような顔も、声も……出しちゃっていいですよ……♡」


紗良は玉袋を揉む手を止めないまま、今度は顔を近づけてきた。

そして、睾丸の表面にそっと唇を押し当てる。


──ちゅっ……♡


「ひぁっ……♡♡」

「たまたまさんにも、ちゅーしてあげます……♡」


──ちゅっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅ……♡


柔らかな唇が、敏感になった陰嚢の表面に吸い付く。

そして、ちゅぱちゅぱと甘く音を立てながら、紗良はその感触を楽しむように、何度も口づけを繰り返した。

紗良の唇が、睾丸にくっついては離れるたびに、ヌルヌルとした感触が睾丸に移っていく。

背筋がジンジンと痺れていく。



「ん"っ……♡ さ、紗良……そこ……♡」

「ここがいいんですか……?♡」


──ぢゅるっ……♡


今度は、玉袋の皺を伸ばすように、舌全体で舐め上げられる。

生暖かくて、ぬるぬるでざらざらの舌の感触が、敏感な部分を這いずり回る。


──ぢゅるぅ……♡ れろぉ……♡


「あ"あ"っ……♡♡♡」

「ふふ……かわいい声……♡ もっとしてほしい?」


「……うっ……♡」

「してほしいなら、ちゃんと言ってくださいよ?」


紗良が睾丸を責める手を止め、俺を見上げてくる。

吸い込まれそうなほど大きな瞳が収められた目の部分は、弓なりに細められ、艶やかな唇は唾液で濡れていっそう淫らに輝いていて。

半開きの口からだらんと垂れ下がった長い舌が、何もない空中をゆっくりと一回舐め上げた。

そんなエロい催促に、散々お預けにされた俺が抗えるはずがない。


「……して、ほしい……」

「何を?」


「……もっと……」

「もっと、何を?」


「たまを……もっと、舐めて……ほしい……ッ♡」

「はい、よく言えました……♡」


紗良は満足そうに微笑むと、再び陰嚢に顔を埋めた。


──ぢゅるるるっ……♡ ぢゅぷっ……♡ れろれろぉ……♡


先ほどよりも更に激しく、ねっとりと、睾丸全体を唾液で濡らしながら、舌を這わせていく。

時折、口に含んで吸い上げられたり、舌で転がされたりするたびに、腰の奥がきゅうっと締まるような快感が走る。


「あ"っ……♡ やば……っ♡ それ、出る……ッ♡」

「ん〜? もう出ちゃいそう? でもダメですよ? まだおちんちんさんには何もしてないのに……♡」


陰嚢から口を離した紗良が笑いながら、今度は天に向かってそそり立つ肉竿へと視線を移した。


「お待たせしました、おちんちんさん……♡」


ひくひくと震える竿に語り掛けた彼女はまず、顔を近づけ、その匂いを嗅ぐように、鼻先をすり寄せてきた。


「ん〜……♡ おとこのひとのにおい……♡」


鼻から息を吸い込み、うっとりと目を閉じる紗良。

すんすんと鼻を鳴らし、俺の男を嗅ぐ姿を目の当たりにして、股間がますます熱くなる。


「お義兄さんの匂い……♡ すき……♡」


好きと言われていい気のしない男なんていない。

殊更、紗良のような誰もが羨む美少女に言い寄られ、あまつさえ男としての勲章の匂いが好きとまで言われて仕舞えば、湧き上がる劣情は理性のタガを外しかねない勢いとなる。


その香りは……あくまで綾乃の夫になる男の香り。


それを……俺は……紗良に嗅がせているのだ。

しかしてその禁断の香りを嗅ぐことに、紗良は確かな優越と所有の悦びを噛み締めているようで。


「……で、でも……」

「ん?♡」


「それ……それ以上は……ッ♡」

「ん〜……?♡」


──ふぅ〜……♡


唇が触れるか触れないか。

肉竿に熱っぽい吐息がかかる。

先端から根元へ。

根元から先端へ。

ゆっくりと。


「あ"ッ……♡ くッ……♡」

「あははっ♡ 女の子の吐息にも勝てないくらいの抵抗なら、大人しくした方がいいんじゃないですか?♡」


紗良の唇が窄まる。

これはキスだ。

キスの形だ。

紗良がペニスにキスをしようとしているのだ。


「ねぇ……、どうして欲しい……?♡」


──ふぅ〜……♡


なんで今更そんなことを聞くんだ……ッ♡


「ッ……♡」


答えられない。

いや、答える必要なんてないはずだ。

ただキスしてくれればいい。

その唇を押し付けてくれればいい。

それだけでいいのに。


──ちゅっ……♡


「ん"ッ……♡」


触れた。

柔らかな唇が、カリの溝に触れた。

ほんの少し。

触れただけ。

それだけで背筋が焼けるような快感が走る。



だが、紗良の唇はすぐに離れてしまう。


──ぬちゃっ……♡


「あッ……♡」


離れる。

唇が離れる。

触れたかと思えば、すぐに離れてしまった。

もっと触れてほしい。

もっと強く触れてほしい。

そう思った瞬間には、紗良の顔は届かないところで俺を見上げていた。


「ふふ……♡ 反応すごいですね〜♡」


紗良が笑う。

唇が触れるか触れないかの距離で、俺を見上げながら。


「もっとシてほしいんですか?♡」

「……ッ♡」


「シてほしいんなら、ちゃんと言ってくださいよ?♡」


また近づく。

唇が近づく。

カリのすぐそばまで。

息がかかる距離まで。

唇の熱が感じられる距離まで。


──ふぅ……♡


「んッ……♡」


吐息がかかる。

生暖かい湿気が、敏感な先端を撫でる。

それだけで腰が揺れる。

触れてほしい。

早く触れてほしい──。


だが、思惑に反して、紗良の唇はまた離れていく。


「あぁ……♡」


届かない。

唇が届かない。

もどかしい。

ただキスしてくれればいいだけなのに。

それなのに、紗良はまるで俺の反応を楽しむかのように、近づいては離れてを繰り返す。


「お義兄さん……♡」

「……♡」


「おちんちんさん勝手に震えて……あたしの唇におねだりしてますよ?♡」

「……♡♡」


「ほら、先っぽからあま〜い汁が溢れてきて……♡ あたしの唇で拭いてあげないと……♡」


また近づく。

そして今度は少し長く触れる。


──ちゅっ……♡ ちゅっ……♡


「ん"ッ……♡♡」


二度、三度と軽く啄まれた。

亀頭の先端を、柔らかなリップで何度も吸うようにキスされる。

強烈な快感。

だけど紗良はすぐにまた顔を離してしまう。


「どうですか?♡ きもちぃですか?♡」

「あ……♡ う……♡」


「もっとシてほしい?♡」


するりと手が伸びて、竿の根元を軽く握られる。

指先が裏筋をなぞりながら、唇を一番敏感な場所へと導いていく。


「ここ……♡ お義兄さんの一番弱いとこ……♡」


紗良の唇が、カリと裏筋の境目──包皮小帯の上へと近づいた。

一番敏感で、一番気持ちがいい場所。

そんなところに吸い付かれたら──。

そう思った瞬間、期待で肉竿がビクンと跳ねた。


だが……。


唇がピタリと静止する。

あと数ミリというところ。

触れない。

触れてくれない。


「あッ……♡ な……♡」


なんで。

なんでキスしてくれないんだ。

そこまで来て、どうして止まるんだ。

自分勝手な欲求で頭の中が埋め尽くされる。

紗良の唇が欲しくて欲しくてたまらない。


「ふふっ……♡ お義兄さん……♡」

「……♡」


「動いちゃダメですよ?♡」


紗良の目が笑う。

触れるか触れないかの距離を保ったまま、俺の弱点をじっと見つめながら。


「あたしからはキスしてあげませんよ?」

「……ッ♡」


「お義兄さんが、シてほしいって言わないと……♡」


言え。

言わなきゃいけない。

でも、そんなこと……。

婚約者の妹に、ペニスへのキスを懇願するなんて……。


だが、紗良の唇は待ってくれない。

ゆっくりと離れていく。


「あ……♡ まっ……♡」


待って。

待ってくれ。

行かないで。


俺の腰が勝手に動く。

紗良の唇を追って、肉竿の先を伸ばすように腰が震える。

止められない。

触れたい。

触れたいのに、届かない。


「ふふ……♡ かわいい……♡ お義兄さん、腰動いてますよ?♡」

「……ッ♡」


「そんなにあたしの唇にキスしてほしいんですか?♡」


また近づく。

今度はさっきよりも近く。

包皮小帯のすぐそばまで。


──ふぅ……♡


「あ"ッ……♡♡」


吐息がかかる。

弱点に直接。

唇の熱が伝わる。

あと少し。

あとほんの少しで触れる。


だが、触れてくれない。


「ん〜……♡ ここ、すごく熱くなってますね〜♡」

「……ッッ♡」


「お義兄さん、ここ弱いんでしょ?♡ お姉ちゃんに聞かせられないような声、出しちゃうとこ……♡」


言葉とともに、紗良の唇がゆっくりと動く。

左右に。

弱点を避け、カリの溝をなぞっていく。


──ぬち……♡ ぬちゅ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡」


唇が触れるか触れないかの絶妙な距離で、ふわふわでぬるぬるの膨らみにカリの溝をなぞられる。

あからさまな接触ではない。

なのに、この焦らしさが俺を狂わせる。


触れてほしい。

触れてほしい。

どうか触れてほしい。


「言ってくださいよ……♡」

「……♡」


「キスしてほしいって……♡」


紗良の目が俺を見上げる。

挑発的で、享楽的で、それでいてどこまでも甘く、深い瞳。


「お義兄さんの弱いところに……ちゅ〜〜って、シてほしいって……♡」


馬鹿げた提案だった。

しかし同時に限界でもあった。

焦らされ続けた臨界点。

爆発しそうな理性。


「……キス……♡」

「ん? 聞こえな〜い♡」


「……キスして……♡」

「どこに?♡」


「……そこ……♡ 弱いとこ……♡」

「ここですか?」


唇が近づく。

弱点のすぐそばまで。


「ここに……キスしてほしいんですか?♡」

「あ、あぁ……♡ ほしい……♡」


「へぇ〜〜〜〜……ここにシてほしいんだ?」


紗良が笑う。

そして──。


──ちゅっ……♡


「ん"ッッ……♡♡♡」


触れた。

ようやく触れた。

紗良の唇が裏筋とカリとの合流地点に触れた。

柔らかくて、温かくて、唾液で濡れてぬるついた唇が、一番敏感な場所に押し付けられる。


──ちゅぅ……♡ ちゅぱ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡」


そのまま紗良は吸うように何度か唇を開いては閉じ、包皮小帯を優しく喰んでいく。


──ちゅぱっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅぱっ……♡


「ん"お"ッ……♡♡♡ さ、紗良ッ……♡♡♡」


余りの快感に言葉にならない声が漏れる。

昨日のちんキスはただ触れるだけの軽いものだった。

しかし今は違う。

吸われている。

唇の肉感で敏感な包皮小帯を揉みしだかれている。

それがもたらす快感は強烈で、脳みそに直接吸い付かれているかのような快楽を伴っていた。


──んちゅっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅ……♡


紗良は唇を離さない。

弱いところを吸い上げるように、執拗かつねっとりとキスを続ける。


──ちゅぱっ……♡ ちゅぱ……♡ ぢゅっ……♡


「ッ……♡♡ くッ……♡♡♡」


吸われる。

粘膜ごと吸い上げられるような感触。

ビクビクと震える俺を見上げ、薄目で紗良が笑う。

舌先が唇の隙間から覗いて。


──れろっ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」


今度は舌が触れた。

包皮小帯を、ざらついた舌の表面が撫で上げたのだ。

それだけで視界が白やむ。

腰の奥が熱くなる。


──れろぉ……♡ れろぉ……♡ ちゅぱっ……♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ ♡ ♡」


紗良は執拗にそこばかりを責め始めた。

舌で舐めつつ唇で吸い、時折ハムハムと唇を上下に。

強弱をつけながらの集中口撃。


「ん"ッ……♡ だ、だめ……♡ そこ……♡」

「んちゅっ……♡ ここがいいんでしょ? お義兄さんの、んはぁ♡ ちゅっ♡ いちばん……れろぉ……♡ はぁ……♡ きもちいいとこ……♡ ちゅぅぅ……♡」


「ん"ぁぁぁぁ……♡♡♡」


頭がおかしくなりそうだった。

紗良が口づけながら喋ることで、その振動が肉竿へと伝わり、新たな快感を生んでいく。

さらに紗良は、まるで極上の甘味でも舐めるかのように舌の腹を押し付けて、美味しそうに舐めるものだから男としてはたまらない。


──れろっ♡ れろっ♡ れろっ♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"あ"ッ……♡♡♡」


ただ舐められているだけではない。

紗良は舌の腹で男がより感じるを探り、舌の表面にびっしりと敷き詰められた味蕾のツブツブが、敏感な神経を無数に刺激するようにして舐め回していく。

その執拗な舌の動きが、数多の快楽信号を肉竿から脳天へと送り込んでいく。


俺の声はもう言葉の形を成していない。

他人の前では到底見せられない惨めな雄の声が、喉の奥から勝手に溢れ出していく。


──れろぉ……♡ ちゅぱっ……♡ れろっ……♡


紗良は笑みを浮かべていた。

俺が苦しげに悶えているのを見て、嬉しそうに目を細めていた。

そんな目で見つめられると余計に我慢が効かなくなって──。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡ も、もう……♡」

「もう? もう何ですか?」


──ぬちゃっ……♡


離れていく唇。

途端に全身を襲う喪失感。

触れてほしくてたまらない場所から、温もりが消え失せる。


「あ……♡ いかないで……♡」


口から思わず漏れた声はか細く、頼りないものだった。

それを聞いた紗良が俺を見上げる。

細められた目。

歪んだ唇。

余裕たっぷりの表情。

自分の唇に一人の大人が夢中になっていることの愉悦。


「ふふっ……♡ 何、いかないでって……♡」

「……ッ♡」


「お義兄さん、そんなにあたしの唇と離れ離れになるの嫌だった?♡」

「……♡」


「もっとあたしにキスしてほしいんですか?♡」

「……ッ……あ、ぁ……♡」


言えない。

言いたくない。

でも、言わなきゃ触れてくれない。

触れてほしい。

触れてほしいから……。


「……キス……♡ してぇ……♡」

「あはは、いいですよ?」


笑った紗良が顔をずらす。

最も弱い部分から今度は竿の根元、玉の部分へ。

今すぐにでも精を吐き出したくて、必死に浮き上がった睾丸。

今度はそこへ──。


──ちゅ……♡


「んッ……♡♡♡」


唇が落ちる。

そしてそのまま。


──ぬりゅぅ〜……♡


唇が這う。

玉袋から裏筋のラインへ、ぬるりと唇が這っていく。

硬く芯の通った竿の表面、浮いた青筋──血管を、ふわふわでぬるついた唇がちょうど挟み込むように、ゆっくりと這い上っていく。


──はむ……♡ はむ……♡ ちゅ……♡ ちゅっ……♡ ぬりゅぅ〜……♡


「あッ……♡ あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」


接触は浅い。

だけど敏感になった竿は、自身の歪な凹凸に合わせて淫らに形を変える柔らかな唇の感触をつぶさに拾う。

丁寧なキス。

先端から根元まで、張り巡らされた血管の一つ一つが、無数の唇に同時に吸い付かれるような錯覚に見舞われる。


──ちゅっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅぅ……♡


「……ッ♡♡♡」


──ちゅぱっ……♡ んふぅ……♡


そしてようやく戻ってくる。

紗良に植え付けられた弱点。

ここが最も男の気持ちがいい場所だと教えられた、カリと裏筋の集合地点。

そのすぐそばで、紗良の唇がまた止まる。


──ふぅ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


吐息がかかる。

昨晩と同じ、さっきと同じ。

肉竿の間近で窄められた唇。

触れそうで触れない距離を保ちながら、湿った吐息が吹きかけられる。

先端から溢れた先走りが、紗良の吐息の熱で温められ、竿の表面を滴っていく。


「……あぁぁ……♡♡♡」


腰が勝手に揺れる。

紗良の唇へ。

触れたい。

触れてほしい。

このまま吸い付いてほしい。

本能が紗良を求めて、腰を揺らす。

止められない。


「どうしました?」

「き、キス……♡」


「キス? さっきしましたよ?」

「もっと……♡」


「もっと?」


紗良が笑う。

意地悪な笑み。

触れるか触れないかの距離で、俺の欲望を弄ぶ。


「ここに……ですか?♡」


唇を窄める。

弱点の目の前で。

上唇と下唇をむにむにと

動かす。

キスの形。

ちゅっと吸い付く仕草。

それが俺の目の前で行われている。


「あ"ッ……♡♡♡」


肉竿が跳ねる。

紗良の唇へ向かって。

吸い付いてほしくて。

キスしてほしくて。

腰が勝手に動く。


「はぁ……♡ はぁ……♡」


呼吸が荒い。

汗が滲む。

全身の神経が股間に集中している。

紗良の唇だけが世界の全てになっていく。



「さ、紗良ぁ……ッ♡」

「ん〜……?」


「キス……してぇ……ッ♡」

「キスだけでいいんですか〜?」


「えっ……♡ あっ……♡ やっ……♡」

「ふふっ……じゃあ……♡」


──ちゅぱぁっ……♡


「ん"お"ッ……♡♡♡」


唇が触れる。

ただ触れるだけじゃない。

唇と唇の間に、裏筋が挟まれる形で強く吸い上げられた。


──ぢゅぱっ……♡ ぢゅぱっ……♡ ぢゅぱぁっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


ふわふわの唇で裏筋を挟み込んだまま、紗良の顔が上下に動く。

そういう動画でしか見たことのない動き。

いわゆるハーモニカフェラという類の口淫。

唾液のぬめりを纏った唇が、裏筋をぬるぬると扱き上げる。

そして。


「んふっ……もう一回ちゅーしちゃおーっと……♡」


──ぢゅぱっ……♡ ちゅぅぅぅ……♡


「ああぁぁぁ……♡♡♡」


ふわふわの粘膜が、また弱点に触れた。

横向きになった唇が押し付けられ、ゆっくりと吸い出されるように吸われていく。

弱い部分を唇で包み込まれて、はむはむと下唇の柔らかな肉で何度も、何度も。


──ちゅぱっ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅ……♡


「ん"ッ……♡ お゙ッ……♡」


根元を握っていた手が離れ、掌で肉竿が支えられる。

ビクビクと震えることで幾らか快感が逸れていたのに、紗良の掌が竿の震えの軌道上に現れ、震えを抑制することで、逃げ場を失った肉竿に快楽のみが叩き込まれる。


──はむ……♡ はむ……♡ ちゅぱ……♡


「あ゙ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡ そ、そんなとこ……♡」


唇が包む。

上下の唇を開閉し甘えるように啄み、繰り返し裏筋へと吸い付いてくる。

柔らかくも弾力のある唇。

それがまるで生き物のように蠢いて、肉竿を丹念に味わっていく。


──はむ……♡ はむ……♡

──ちゅぷ……♡ ぬちゅ……♡


「ん"っ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡ も、もう……♡♡♡」


限界が近い。

昨日からの焦らしの責めで限界まで高められた射精感が、腰の奥で暴れ始めている。


「んふふ……♡ 限界……ですか?♡」

「あ"ッ……♡ 限界……♡ 限界だ……♡」


「じゃあ……♡」


──ぬちゃっ……♡


また離れた。

唇が離れた。

またしても。


「あッ……♡ なっ……♡」

「だって、もうイキたいんですよね? なら、いいのかなー? あたしに咥えてもらわなくて……♡」


「ッ……♡♡♡」


咥える。

そうだ。

咥えてほしい。

唇で触れてほしいだけじゃない。

温かい口の中に包み込んでほしい。

吸い上げてほしい。

搾り取ってほしい。


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「はい?」


「……咥えて……♡」

「ん〜?」


「お口で……♡ おねがい……♡」

「ふふっ……♡ かわい〜……♡」


紗良の目が細められる。

勝利を確信したような目。

俺の全てを手に入れた女の目。

しかし、婚約者の妹は思っている以上に貪欲だった。

咥えてほしいという俺の懇願だけでは足りないらしい。


「ただ咥えるだけじゃつまんないですよ〜?」

「ッ……♡」


「もっと気持ちよくなりたいんでしょ?」

「あ……♡ あぁ……♡」


「だったら、約束して欲しいな〜……♡」

「や、約束……?」


「はい、そうです♡ 約束です♡ デートのお約束♡」

「え……」


「今度の日曜……や、平日お休みとってもらってもいいですけど、お姉ちゃんには内緒で、二人きりで会ってください♡」

「さ、紗良と……?」


「はい♡ あたしと♡」

「そ、そんなの……♡」


「約束してくれたら、気持ちよくシてあげます♡ あたしのお口で、いっぱい気持ちよく搾り取ってあげますし、デートの時だって……んふっ♡」

「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」


「お姉ちゃんに内緒のデート♡ 約束、してくれますよね?♡」

「あ"ッ……♡ く……♡」


紗良の大きく開いた口が近づく。

口という暗い洞穴の奥で真っ赤な舌がうねうねと蠢き、口蓋から垂れ下がった唾液が洞穴内部にキラキラと銀糸を滴らせ。

見ているだけで、口腔内部の熱と粘膜が肉竿を扱き上げる感触が想像できてしまうようだった。

紗良みたいな可愛らしい女の子が、大口を開き、ペニスを咥え込もうとしているなんて。

姉の婚約者のペニスを口の中へ頬張ろうとしているなんて、俺の中の倫理観は既にぐちゃぐちゃだった。




だけど……だけど……俺は……俺は……ッ♡♡♡


俺は、その温かくて熱くて、ぬるぬるで、ざらざらの舌や粘膜で、ぎゅうっと包まれて搾り出されたいと熱望し、切実な思いで紗良の口に吸い込まれんとしている。


「約束、してくれますよね?♡」

「あ"ぁ……♡ は、はい……♡ 約束……します……♡♡」


「えらいです……♡ じゃ、約束、守ってくださいね〜……♡」


──はぁぁぁ〜……♡


口が迫る。

肉竿の直上まで。

大きく開き、一息に飲み込まんと、真っ赤で淫らな洞穴がその入り口を俺に見せつけるように近づいてくる。


「ん"ッ……♡♡♡」


口腔内の生暖かい空気が肉竿の表面を撫でた。

湿り気を帯び、仄かに果実のような甘い香りのする呼気。

キスの味、紗良の唾液の匂い。

そして湿った熱気。

それが肉竿に向かって吐き出される。

肉竿の先端が口腔内の温度に触れたか触れないかのところで。


「はぁむ……♡」


──ぱくり……♡♡♡


「あ"ッッッ……♡♡♡」


咥えられた。

温かい口内に肉竿が飲み込まれた。

濡れた粘膜が、竿全体を包み込む。

唾液のぬめり。

舌の蠢き。

生々しい口腔の感触。



「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡」

「ん〜〜〜……♡」


全てが包まれる。

弱く感じやすい部分も、硬く張り詰めた部分も、全部が紗良の口の中に収められてしまう。

たまらない快感。

脳が溶け出すようなような悦楽。


だが──。


動かない。


「……んふっ?♡」


紗良は咥えたまま動かない。

口の中でただただ包容し、目線だけを送ってくる。

行き場のない熱が口内に閉じ込められ、動きがないため摩擦も起きず、広がるのはどこまでも焦れったい快楽のみ。

それ以上の刺激が来ず、当然射精には至れそうにもない。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん〜?♡」


問いかけるような目、試すような目つき。

さも不思議そうに見上げるだけで、紗良は何もしない。

口に含んでいるだけ。

咥えているだけ。

舌の動きもなければ、頭を動かす気配もない。

動画で見るような熱烈な口淫の気配はどこにもなかった。


ただ、肉竿が紗良の口内の体温に晒され、内壁の生々しい熱に包まれ、口中の湿り気で優しく包まれている。

それだけ。

動かない。

ただ包まれている。

絶妙な安らぎと、どうしようもない焦燥感が同時に押し寄せてくる。


「さ、紗良……♡」

「んふ……?♡」


「動いて……♡」

「ん〜?♡」


「お口で……♡ して……♡」

「んふふ……♡」


唇が微かに歪み、口内の空気が動く。

それだけで肉竿が震える。

だが、紗良の頭は動かない。

動かないまま、俺を見上げてくる。


「お口でシて……って何ですか〜?♡」

「ッ……♡」


「ちゃんと言ってくださいよ?♡」

「……♡」


「じゃないと、動きませんよ〜?♡」

「あ"ッ……♡」


「ほら……♡」


紗良が少しだけ頬を窄める。

口内に軽い吸引圧が発生し、肉竿の先端が優しく吸い上げられる。


──ちゅぽ……♡


「ん"ッ……♡♡♡」

「ね?♡ 動いてほしいなら……♡」


「おねだり……♡ してください……♡」

「ッ……♡」


「あたしのお口で……♡ 気持ちよくしてほしいって……♡ ちゃんと……♡ おねだり……♡」


──ちゅぽ……♡ ちゅぽ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ さ、紗良の……♡」

「ん〜?♡」


「お口で……♡ 気持ちよく……♡ して……♡」

「して?」


「してください……♡」


精一杯の言葉。

しかし紗良は動かなかった。

むしろ何か考え事をするように、口の中の肉竿を味わうように、舌先で先走りを転がしただけだった。


──れろぉ……♡


「へぇ……♡ 言えちゃいましたね……♡」


口に含んだまま紗良が笑う。

喉の奥が振動し、その振動が肉竿に伝わる。

くぐもった声。

だが、その意味ははっきりとわかった。


「お義兄さん、お姉ちゃんに内緒であたしとデートするって……約束しちゃいましたね〜?♡」

「ん"ッ……♡♡」


「お姉ちゃん、知ったら悲しむでしょうねぇ〜……♡ せっかくお義兄さんと結婚するっていうのに〜……♡」

「あ"ッ……♡♡」


「でも、知らなくていいんですよ〜?♡ ずっと知らなくて……♡」

「さ、紗良……♡」


「あたしとお義兄さんの秘密……♡ お姉ちゃんには言わないって……♡」

「ッ♡♡」


「約束……ですよ?♡」


──ぢゅぽッ♡


そして、紗良の頭がゆっくりと動き出す。


──ぬぷ……♡


「ん"ッ……♡♡」


動いた。

やっと動いてくれた。

ゆっくりと、だが。

紗良は肉竿を唇の輪で締め付けながら、口内から抜き出すように顔を離す。

柔らかな紗良の唇が、肉竿の凹凸を締め付けながらゆっくりと引き抜かれていく。

口の中に生々しい吸引力が生じ、張り詰めた血管の一本一本を唇が擦り上げていく。


「あ"あ"あ"ぁぁぁぁ……♡♡♡」


腰が抜けそうな快楽。

魂ごと引っこ抜かれてしまいそうな心地。

そのまま今度は口腔内へと再び迎え入れられるものとばかり思っていたが、紗良はカリの溝に唇の輪を引っ掛けたまま、その場で小刻みに頭を動かし始めた。

もちろん、緩慢な速度で。

先端を咥えたまま唇の肉の輪がぬぷぬぷと行き来する。

柔らかくてぬるついた唇がカリの段差を何度も何度も捲り上げれば、背筋がピンと張り詰めて。

裏筋の集合地点である包皮小帯を口の奥から舌でかき出されてしまえば、痺れるような快感が断続的に駆け抜けていく。

目の前がちかちかする。


──ぬぷぬぷ……♡ ぬぷぬぷ……♡ ちゅぽ……♡ ちゅぽ……♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡」


紗良は咥えたまま俺を見上げる。

薄目を開け、愉しそうに。

先端を舐め回し、唇で吸い上げ、舌でからかう。

視線が交錯する度に、背徳感と征服感とが混ざり合い、息をするのも忘れてしまう。


「んふふ……♡ おいし〜……♡」

「ッ♡♡」


「お義兄さんの……んちゅっ♡ あま〜いの……んちゅっ♡ いっぱい……れろぉ……♡ 出てきてますよ?♡」

「さ、紗良……♡」


「んちゅっ……♡ ここ……れろっ♡ すごく……んちゅっ♡ 熱くなってる……れろっ♡」

「あ"ッ……♡ くッ……♡」


「ふふっ♡ もっと……んちゅっ♡ 気持ちよくなってくださいね~♡ ちゅぱぁっ……♡」


哀れな肉竿は、紗良の口腔内で完璧にコントロールされていた。

出したくて出したくて堪らないのに、紗良の口が与える快楽はあまりに繊細で、優しく、口淫は確実に気持ちがいいものの、射精には至らない絶妙なラインを保っていた。


もどかしい。

もっと激しく扱いてほしい。

強く吸ってほしい。

もっと気持ちよくなりたい。


全身でそう訴えているはずなのに、紗良の頭の動きは相変わらずゆっくりで、もどかしく、焦れったい。


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡ もっと……♡」

「んふふ……♡ もっと? もっと何ですか〜?♡」


唇を窄めての浅いストロークは止まらない。

カリの段差を優しく、ねっとりと、何度も往復する。

その間に紗良は、舌先で尿道口をチロチロと舐めては、出てきた先走りを啜り取っていく。


──れろっ……♡ ちゅっ……♡ れろぉ……♡


「ん"ッ……♡♡♡ も、もっと……♡ き、きもちよく……♡」

「ん〜♡ きもちよく〜?」


「お、お口で……♡ きもちよくしてぇぇッッ……♡♡♡」


叫びにも似た悲鳴を上げる俺を見上げ、紗良の目が弓なりに歪んでいく。


「じゃ、あたしのこと、好きって言ってくれたら〜♡」

「えッ……♡」


「あたしのこと、好きって言ってくれたら、気持ちよくしてあげま〜す♡」

「そ、それはッ……♡ や、約束とッッ……♡ ち、ちがっ……♡ あ"ッ♡♡♡」

「じゃあ、このまま止めますよ〜?♡」


──ぬぽっ……♡


「あッ……♡♡♡」


また離れた。

またしても。

唇から離れた肉竿が、外気に晒されて震えている。

温もりが消え、代わりに冷たい空気が張り付く。

限界寸前で止められた刺激。

行き場のない熱が下腹に凝縮され暴れ狂う。

出したい。

今すぐ出したい。


「いや……♡ やめ……♡ やめないで……♡」

「やめないで……?」


「やめないで……くれ……♡」

「ふふっ……♡」


「お義兄さんのちんちんかわいそ~~~♡ 婚約者の妹とデートの約束もさせられちゃったのに、ちんちん中途半端にオアズケされちゃってさ~~~♡ あたしのこと、好き~~って言ってくれたら、気持ちよくしてあげるのに〜♡」


紗良の顔が近づいてくる。

唇が近づいてくる。

再び肉竿の先端へと。


「じゃあ……♡」

「あ"ッ……♡♡」


「あたしがのことが、好き……?♡」

「……♡」


「それとも、やっぱりお姉ちゃん……?♡」

「ッ……♡♡♡」


「どっち……?♡」

「……ッ♡ あ、あやののことはぁ……♡」


──ちゅぅぅぅ……♡


「あ"あ"あ"ッッッ♡♡♡」

「……んはぁ♡ 他の女の名前出さないで♡」


必死にかき集めた理性の欠片も、紗良のリップにひと吸いされただけで霧散する。

綾乃の名を呼ぼうとした瞬間、竿の先端に唇が吸い付き、呼ぶべき人の名を吸い出していく。


「お義兄さんのちんちんは……んちゅっ♡ お姉ちゃんじゃ……れろっ♡ ダメなんでしょ?♡」


──み、見るなっ♡ そ、そんな目で……ッ♡


「だって……んちゅっ♡ あたしのお口で……れろぉ♡ こんなに……♡」


──や、やめろッ……♡ それ以上はッ……♡


「んちゅっ♡ 気持ちよく……れろっ♡ なっちゃってる……れろぉ♡ ん〜♡」


──い、言うな……ッ♡ 俺は……俺は……ッ♡♡♡


何度も何度も裏筋に押し付けられる唇。

そしてその隙間から這い出てきた舌が『ぺろぺろ♡』と敏感な部分を舐め回し、絶妙な刺激を送り続けてくる。


口の中の熱。

唇の感触。

舌の蠢き。


全てが俺の理性を溶かしていく。


「お義兄さん……んちゅっ♡ あたしが……んちゅっ♡ 好き……?♡」


──ちが……♡♡♡


「あたしより……んちゅっ♡ お姉ちゃんが……れろっ♡ 好き……?♡」


──あぁぁぁ……♡♡♡


「答えてくださいよ〜♡ あたしとお姉ちゃん……れろっ♡ でもまあ答えによっちゃ……ちゅっ♡ このまま止めますよ〜♡ ちゅぅぅぅ……んはぁ♡」


だ、ダメだ……♡♡♡ ここで止められたら……♡♡♡

ちが……♡ ちがう……♡ ちがうんだ……♡♡♡

綾乃を愛している……♡ そのはずなのに……♡♡♡

紗良の口の中の熱……♡ 舌の感触……♡ 唇の柔らかさ……♡♡♡

全部が……♡ 全部が……♡♡♡

綾乃とは全く違う……♡♡♡ 全く違う世界の快楽……♡♡♡

紗良はなんでこんなに……♡♡♡ なんでこんなにぃ……♡♡♡

エロいんだよ……♡♡♡

いや、それだけじゃない……♡♡♡

なんでこんなに気持ちいいんだよ……♡♡♡


あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"あ"ッ……♡♡♡


「あ"あ"あ"あ"ッ……♡♡♡」

「んちゅっ♡ どうしたんですか〜?♡」


「やめ……♡ やめないで……♡♡♡」

「え〜?♡」


「いや……♡ やめないで……♡♡♡」

「やめないで? じゃあ……♡」


「さ、紗良のこと……♡♡♡」

「ん〜?」


「すき……♡♡♡」

「えへへ……♡ あたしも大好きです……♡」


──ぢゅぽぉぉぉっっっ……♡♡♡


「ん"ッッ……♡♡♡ あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


一気に根元まで咥え込まれた。

喉の奥の窄まりが亀頭を締め付け、口腔内の粘膜が竿全体に吸い付く。

生温かい唾液が肉竿をコーティングし、べたりと張り付いた舌のざらつきが裏筋を擦り上げる。


一瞬のうちにシンボルを包み込んだ紗良の口内。

奥の奥へと導かれていくあまりにもリアルな感触が、時間差で押し寄せ、視界が白濁し、思考が消し飛んだ。



「んふぅぅぅ……♡」


──ぢゅぽぉぉっっ……♡♡♡


鼻腔から漏れる紗良の吐息。

満足げで、喜びに満ちた音が、耳の奥で反響する。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……ッ♡ あ"ッ……♡」


紗良は答えない。

代わりに、喉の奥でくぐもった声を響かせながら、ゆっくりゆっくり、ぬろぉ〜〜〜と頭を引いていく。

唇の輪が肉竿の凹凸をなぞり、カリの段差を越えるあたりで背筋が痺れるような快感が走る。


──ぬぷぅ……♡ ちゅぽっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


そのまま引っこ抜かれるのかと思いきや。

先端だけを残して唇が離れかけた瞬間、紗良は再び一気に咥え込んだ。


──じゅぷっ……♡♡♡


「お"ッ……♡♡♡」


今度はさっきよりも深く。

喉の奥まで。

先端が喉の奥を押し広げ、食道の入り口が亀頭を締め付ける。

凄まじい圧迫感と、裏腹に腰の奥から突き上げてくる強烈な快感。

一度離れかけた紗良の口内へと再び迎え入れられた悦びとが混ざり合って、涙が出そうになってしまう。


「あ"ッ……♡♡♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


これがフェラチオか。

こんなに気持ちいいのか。

これが紗良の口の中なのか。


その全てが快楽となって肉竿を浸して脳髄へ伝えんと作用する。


今まで体験した口での行為なんてただのお遊びでしかなかったと思わされるくらい。


口で咥え込み扱かれることがここまで凄まじい悦楽を与えられることなど俺は知らなかった。

いや。

俺と綾乃の行為は確かに拙いところもあり、なおかつ安全志向なのが原因なのかもしれないが、それ以上に紗良の男を悦ばせる技術が桁違いだったのだ。


「んふ……♡ おいし〜〜……♡♡♡」


楽しげに笑った紗良が口腔内の壁に亀頭を擦り付けながら、竿の根本から亀頭の先端部に至るまでを口内の往復運動によって刺激し始める。


──ぬぷ……♡ ぬぷ……♡ ぬぷ……♡ ちゅぱっ……♡


紗良の頭が揺れる。

先程までの焦らすような浅いストロークではない。

しっかりと深く沈み込みながら、ねっとりと唾液を纏った唇が肉竿を扱いていく。


──じゅぷっ……♡ じゅぷっ……♡ じゅぷっ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


声が止まらない。

自分でも情けないと思うほど、甘い声が喉から溢れ出る。

紗良の口の中は、綾乃のそれとは比べ物にならないほど、熱く、淫らで、そして何より気持ちが良かった。


──ぬぽっ……♡ ぬぽっ……♡ ぬぽっ……♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡ あ"ッ……♡」


限界だった。


これ以上ないほど焦らされ、寸止めされ、『好き』という言葉まで搾り取られてしまった肉竿がもう耐えられるはずがなかった。

射精したい。

今すぐ。

紗良の口の中で。

熱くてぬるぬゆの粘膜の中で。


「あ"ッ……♡♡♡」


──ぢゅぷっっっ♡♡♡


腰が揺れる。

抑えられない。

紗良の口内へ自ら進んでしまう。

より深く。

より強く。

紗良に気持ちよくしてもらいたいという欲望だけで腰が動く。


「ん〜〜……?♡」


それを見た紗良がシンボルを頬張りながら、上目遣いで俺を見上げてくる。

目尻がかすかに下りて弧を描き、薄く開いた目蓋から覗く瞳は妖しく潤んでいた。


その目だ。

その目で見つめられると体の中心の棒の根元が疼き出す。

心の奥底で燻る欲望の火種が燃え盛り、身体を内側から炙るように熱くする。


紗良の目。

俺の反応を愉しんでいるかのような目。

獲物を狩る獣のような獰猛さではなく、甘く甘く誘い出し、欲に釣られて快楽という沼に嵌っていく愚かな雄の姿を慈しんでいるかのような目。


そんな目に見つめられると、どうしようもなくなっていく。

紗良という存在に振り回されて、破滅の悦びを享受してしまいたくなってしまうのだ。


「あ"ッ……♡♡♡」


紗良の目が笑う。

勝ち誇ったかのように。

そして。


──ぢゅるるっ……♡ ぬぽっ……♡ ぢゅっぢゅっぢゅっ……♡


頭が前後に揺れる。

速い。

さっきまでの緩慢な焦らしとは全く違う、容赦のない動き。

紗良の髪が揺れ、唾液が飛び散り、男性自身が口内で滅茶苦茶に扱き上げられる。


「ん"ッ……♡♡♡ あ"ッ……♡♡♡ お"ッ……♡♡♡」


そして紗良は右手で肉竿の根本を支え、左手で陰嚢を包み込み、ぐにゅぐにゅと揉みしだいていく。

ポンプ代わりとばかりに陰嚢を揉みしだく掌の感触が、腰の奥に溜まった熱を強制的に先端へと送り出していく。


限界だった。


もう何も考えられなかった。


綾乃のことも。

結婚式のことも。

倫理観も。

罪悪感も。


ただただ快楽だけが俺を支配していた。


紗良の口内の熱。

紗良の舌の蠢き。

紗良の喉の奥の締め付け。


それら全てが混ざり合い脳髄を焼き尽くしていく。


「あ"ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡」


呼びかける声にも力が入らない。

ただただ絶頂に向けて突き進む。

いや、己の意思ではなく紗良に導かれ突き進んでいく──他者にコントロールされるということが、あまりにも心地がいい。


──ぢゅぽっ……♡ ちゅぽっ……♡ ちゅぽぽぽっ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡」


もう無理だ。

限界だ。

これ以上耐えられるはずがない。

腰の奥から湧き上がる射精感が、暴走した機関車のように加速していく。

止まらない。

止められない。


「でッ……♡ でるッ……♡ でるぅぅぅッッ……♡♡♡」


──ぢゅぽぽぽぽぽぽっっっ……♡♡♡


紗良は止まらない。

むしろ、俺が限界を告げたことで、さらに激しく頭を振る。

根元まで咥え込み、喉奥で亀頭を締め上げ、激烈な抽挿で搾り上げる。

口内の圧迫感。

逃げ場のない粘膜の檻。

その全てが俺を追い詰め、射精へと突き落とす。




「ん"ッッッ……♡♡♡ あ"あ"あ"あ"あ"ッッッッ……♡♡♡」


──びゅくっっっ……♡♡♡ びゅくっっっ……♡♡♡ びゅるるるるるっっっ……♡♡♡


爆ぜた。

脳が白濁し、視界が明滅する。

身体の芯から全てが絞り出されるような、強烈な射精。

紗良の口の中に、大量の精液が吐き出されていく。


──どぷっ……♡ どぷぷっ……♡ びゅくびゅくっっ……♡♡♡


「ん"ッ……♡ ん"くっ……♡ ん"くくくっ……♡♡♡」


紗良が嬉しそうに喉を鳴らす。

嚥下する音だ。

俺の放った精液を、紗良が喉を鳴らして飲み込んでいるのだ。


生々しい音。

喉の動き。


それが肉竿に伝わる。

口の中の奥の奥へと精を注ぎ込み、紗良はそれを拒絶するでもなく、むしろ喜んで体内へと迎え入れている事実。

綾乃との記念となる場で放出する背徳の悦び。

男としての征服欲と、自分の全てを紗良に受け入れられているという被征服感とが奇妙に混ざり合って頭の芯を痺れさせる。

それらが合わさって、さらなる快感を呼び、射精を長引かせる。


──びゅくっ……♡ びゅくくっ……♡ どぷっ……♡


──ごくっ……♡ ごくっ……♡ んくっ……♡


「ん"ぁ……♡ ん"くっ……♡ ん"くぅぅぅ……♡♡♡」


脈動が止まらない。

身体の奥から最後の一滴まで、放出するそばから紗良の体内へと取り込まれていく。


しかし、それでも紗良は唇を緩めなかった。

喉奥で亀頭を締め上げ、舌で裏筋をなぞり、唇で根元を締め続ける。

徹底的な搾取。

容赦のない吸い上げ。


「ん"ッ……♡ くッ……♡ あ"ッ……♡♡」


……ようやく、脈動が収まった。


肉竿の震えが止まり、脱力した身体が倒れることを紗良の頭に手を置くことでなんとか回避する。


息が荒い。

心臓が早鐘を打っている。

全身の力が抜け、虚脱して天井を見上げる。


──ぬぷっ……♡


だが、紗良の口は、まだ離れてはくれなかった。


「ん"っ……♡」


口の中で舌が動く。

射精後の過敏な肉竿を、舌先が丁寧になぞる。

先走りと精液が混ざった粘り気のある液体を、舌が掬い取るように舐め回す。


──れろっ……♡ れろっ……♡ ちゅぱっ……♡


「ッ……♡ あ"ッ……♡」


再び声が漏れる。

出したばかりなのに──。

それなのに紗良の舌は俺の身体から快楽を完全に奪い去ってはくれない。


むしろ。

さらに敏感になった箇所を舌先で嫐ることで、再び熱を灯そうとしているかのようだった。


──れろぉ……♡ ちゅぱっ……♡ ぬちゅっ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡」


肉竿がまた硬さを取り戻し始める。

紗良の口の中で再び勃起していく。

身体中の血液が股間に集まる感覚。

頭の中がまた白濁し始める。


「んふっ……♡ まだ……出ますよね?♡」


くぐもった声。

口に一杯含んだまま、紗良が俺を見上げる。


妖艶な瞳。

潤んだ目。

頬を汚す唾液。


その全てが、淫らで、美しかった。


「や……♡ さ、紗良……♡ もう……♡」

「んふ……♡ もう……? 何が?♡」


答えられない。

答えさせない。

紗良の口が俺の意思を無に帰す。


──ちゅぽっ……♡


唇が窄められ、強く吸い上げられる。

萎えかけた肉竿に、再び血が流れ込む。

口の中の圧倒的な温もりと粘膜の感触が、俺の身体を無理やり立ち上がらせる。


──ぬぽっ……♡ ちゅぱっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


再び頭が揺れる。

口の中で肉竿が扱かれる。

出したばかりなのに。

硬くなりかけた竿へ、とどめとばかりに咥え直して。


──ぢゅぽっ……♡ ぢゅぽっ……♡ ぢゅぽっ……♡


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡ や、や、……♡ イッたばかり……♡♡♡」

「んふふ……♡ イったばかりだから? だから何ですか?♡」


言葉と共に舌が裏筋をなぞる。

敏感な部分へ的確な刺激。

チロチロと舌先で煽るように舐め上げられれば、肉竿がヒクヒクとそれに応えてしまう。


──れろっ……♡ れろっ……♡ ちゅぱ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡ くぁっ……♡♡♡」


絶頂の余韻に浸る間もなく再び快楽の波が押し寄せてくる。

先ほどの射精で研ぎ澄まされた快楽神経が紗良の舌の動きひとつひとつに反応し、電流のような快感信号が腰から脳天へと突き抜ける。


──ぢゅっぢゅっぢゅっ……♡ ぬぽっ……♡ ちゅぽっ……♡


「ん"あ"あ"あ"ッ……♡♡♡」


紗良の頭が小気味よく前後する。

射精したばかりの肉竿が、みるみるうちに硬さを取り戻し、『出したばかり』という言い訳を反するだけでなく、主人を裏切り紗良の側へと加担する。


──ぢゅぷっ……♡ ぢゅぷっ……♡


「あ"ッ……♡ くッ……♡♡♡」


再び限界が近づいてくる。

さっきよりもはるかに早い。


紗良の口の中は、一度俺の精を受け入れたことでより一層熱を持ち、ぬめりを増していた。

更に粘度を増した唾液が肉竿をコーティングし往復運動の摩擦を減らす代わりに吸い付きを強め、肉竿に絡み付く粘膜の密着度を増幅させて。

純粋な快感のみで言えば、紗良の口の中は最初よりも今の方が遥かに気持ちがいい。


「ん"ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡ ま、また……♡♡♡」


二度目の射精が近い。

一度絶頂を迎えた身体は快楽に順応しやすくなっている。

紗良の与える快楽に対して、身体がもっと欲しいとねだり始めている。


──ぢゅぽっ……♡ ちゅぽっ……♡ ちゅぽっ……♡


紗良は止まらない。

頬を窄め口腔内の圧力を高め吸引しながら亀頭を吸い上げ、真空ポンプのように吸い付いた先端を口腔内の壁に押し付け、ぬるついた粘膜組織を肉竿でこそぎ落とすかの如く頭を振る。


「あ"ッ……♡ くッ……♡ だ、だめ……♡ ま、またッッッ♡♡♡」

「んふっ……♡ だめ? なにが?♡」


口に含んだままの問いかけ。

肉竿に伝わった振動が新たな刺激となり快感を加速させる。


「い、イ"グつッ……♡♡♡ ま、また……♡ イくッ……♡♡♡」


──ぢゅるるるっ……♡ ぢゅるるるるっ……♡


「あ"あ"あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡」


二度目の絶頂。

一度目よりもさらに強く。

さらに深く。

身体の奥底から全てが搾り出されるような感覚が、腰から脳天へと突き抜けていく。


──びゅくっっ……♡ びゅるっっ♡♡ びゅるるるっっっ♡♡♡


またしても紗良の喉奥へ。

吐精させられた欲望の塊に紗良が喉を鳴らす。


──んくっ……♡ んっ……♡ ごくっ……♡


「あ"あ"あ"ぁぁぁ……♡♡♡」


喉奥まで咥え込んだまま、紗良は一切離れようとしない。

口の中で精液を受け止め、嚥下する動きが亀頭を締め上げ、肉竿の先端から精液が送り出される脈動に合わせて紗良は喉を動かす。


逆らえない。

抗えない。


ただただ紗良の口淫に身を委ねるしかない。


「ん"ッ……♡♡♡」


ようやく二度目の脈動が収まる。

だが紗良はまだ唇を離さない。

むしろ射精の余韻に浸る間も与えずに。

口の中で肉竿を愛で始める。


──れろっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅっ……♡


「あ"ッ……♡♡♡」


三度目の硬直が始まろうとしていた。


「んふふ……♡ まだまだ……出ますよね?♡」


頬を窄め紗良が上目遣いで俺を見つめる。


「あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡ さ、紗良……ッ♡ もう無理ッッッ♡♡♡ 何も出ない……ッ♡」


限界だった。

これ以上出るわけがない。

身体の中身が全部抜け落ちてしまいそうだった。


しかし紗良は止まらない。

止まってくれない。


「んふふ……♡ んちゅっ……♡」


──ぢゅろろろろっ……♡♡♡


笑っている。

俺が快楽に喘ぐ様を見て悦んでいる。

そしてその悦びを口の中の動きで表現し、更なる快楽を送り込んでくる。


──れろっ……♡ れろっ……♡ ちゅぱっ……♡ ちゅぱぱぱっ……♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


声が止まらない。

言葉が出ない。

ただ快楽の波に飲み込まれ、紗良の口の中で翻弄される。


「あ"ッ……♡♡♡ さ、紗良……ッ♡♡♡ ま、またッ……♡♡♡」


三度目の勃起。

三度目の限界。


紗良は三度目の吐精を引き出そうと唇の輪で強く締め付け頭を激しく上下させる。



──ぢゅぽっ♡♡♡ ぢゅぽっ♡♡♡ ぢゅぽっ♡♡♡


「ん"お"お"お"お"ッッ……♡♡♡ あ"あ"あ"ぁぁッッ……♡♡♡」


感度が限界突破していた。

ただでさえ2回連続で吐精した直後だというのに、まるで容赦のないピストン運動。

口の中全体で搾り取られ責められ犯される感覚。


頭の中が真っ白になっていく。

綾乃のことなんてどうでもよくなっていく。

ただ紗良の口の中にある快楽だけが全てになっていく。


──紗良……ッ♡ 紗良……ッ♡ 紗良……ッ♡


名前が頭の中を反響する。

快楽と共に刻み込まれていく。

この口の感触。

この舌の蠢き。

この喉奥の窄まり。

そして淫らに嗤う紗良の顔。

全てが脳裏に焼き付いていく。


──びゅくっ……♡


三度目。

最早精液など出るはずもなかった。

それなのに身体は射精の反応を起こし肉竿は痙攣し腰は大きく跳ねた。


出るものがない射精。

迸った快感だけが全身を駆け巡り精神を白濁させていく。


「ん"ッ……♡ ん"ぅぅぅぅぅっっっ……♡♡♡」


紗良はそれすらも飲み込もうとするかのように強く吸引し、決して竿から口を離すことはなかった──。


………

……

…


静寂が訪れる。


激しい動きが止んだ。

紗良の頭の動きが止まる。

ただ口の中に肉竿を含んだまま動かない。


「ん"ッ……♡ はぁ……♡」


荒い息遣いだけが部屋に響く。

俺の息か紗良の息か区別もつかない。


紗良はゆっくりと顔を離していく。

名残惜しむかのように、唇で喰み、舌を這わせて。


──ぬちゃぁ……♡


「ん"ッ……♡」


唇から肉竿が抜かれる音がやけに大きく響く。


「ふぅ……♡」


冷たい空気に晒される肉竿。

ぐったりと力なく首を垂れる惨めな姿。

紗良はそれを見つめながらゆっくりと、自身の唇をひと舐めした。


「ふふっ……♡ いっぱい出ましたね〜♡」


口の端についた液体を指で拭いながら、紗良が囁く。


「お義兄さんのこと……♡ ぜーんぶあたしが吸い取ってあげました……♡」


勝利宣言だった。

完全なる征服宣告だった。


紗良は俺を見上げる。

潤んだ瞳で。

口元には白濁した痕跡が未だに残っていた。


「お掃除……♡ してあげますね?」


そう言うと再び顔を近づける。

だが今度は激しさはない。

ただ優しく労わるように舌先で舐め、舌の腹を押し付ける。


──れろぉ……♡ れろぉ……♡


「あ"ッ……♡♡」


過敏になった肉竿に舌が触れるだけでピクピクと震えてしまう。

だが紗良はそれを押し留めるように手で根本を支え、優しく舐め続ける。


──ぺろぺろ……♡ ぺろ……♡


残滓を舐め取っていく。

優しく丁寧に。

まるで傷口を癒すかのように。

先端から根元へ、根元から先端へ。

舌先で這いずり回り汚れを落としていく。


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん……♡ きれいになりましたよ〜♡」


半勃ちになりかけたところで、紗良の口がゆっくりと離れていく。

そのまま立ち上がった紗良と反対に、支えを失い立っていられなくなった俺は、膝を床につけてしまう。


見上げた紗良の顔が部屋の明かりの逆光でよく見えない。

ただ口元がゆらりと歪み、暗闇の中で艶めく唇がさっきまでそこで何が行われていたのかを物語るようだった。


「あたしのこと……すきって言ってくれましたね〜♡」


囁き。

耳元に吐息がかかる距離。

屈んだ紗良の豊かな胸元が目の前で揺れていた。


「……っ」


答えられない。

言わされたのだ。

好きだと言えば気持ちよくしてくれるから。

射精させてくれるから。

だから言った。


それだけだ。

それだけなのだ。


……そう言い聞かせる。


自分の口から出た言葉ではないかのように。

自分の意思ではないかのように。


けれど身体は正直だった。

紗良の匂いが鼻腔を満たすだけで腰の奥が疼く。

紗良の吐息が耳元を掠めるだけで身体が震える。


ああ。

俺は。

俺は──。


「嬉しかったです……♡ あたしもお義兄さんのこと……♡ すきですよ……♡」


嘘だ。

そんなはずはない。

紗良は俺のことなんて──。

でもその言葉は甘く俺の耳の奥を撫でていった。


「ふふ……♡ あたしとお義兄さんだけの秘密……♡ 大切にしますね……♡」


耳元に寄せられるた唇。

触れそうな距離。

そして囁かれた言葉は、まるで呪いのようだった。


「お姉ちゃんにも……♡ ぜーったい言わないでくださいね?♡」


そう言って紗良は屈んだ腰を上げた。

髪を揺らしスカートの裾を整えながら、何事もなかったかのような顔で笑う。

さっきまで俺の股間に顔を埋めていた女とは思えないほど、涼しい顔。


「ご褒美……♡ これでおしまいです♡」

「さ、紗良……俺は……」


「お義兄さん? 約束守ってくださいね?♡」


指先で唇をなぞりながら悪戯っぽく笑う紗良。

俺の話なんてまるで聞く耳を持っていない。


「デート……♡ ですよ?」


その瞳には確信犯的な色があった。

俺がもう逃げられないことを知っている目。


──ぐいっ。


紗良は俺の手首を掴むと強引に立たせる。


足元がおぼつかない。

膝が笑っている。

まるで生まれたての子鹿のような状態だ。


「ほら♡ 早くズボン履いてください? お姉ちゃん戻ってきちゃいますよ〜?」


その言葉で我に返る。

綾乃だ。

エステが終われば戻ってくる綾乃だ。


慌ててズボンと下着を引き上げファスナーを閉めベルトを締める。

震える手で必死に身なりを整える。


鏡に映った自分は酷い顔だった。

顔は赤く息は荒く目は虚ろ。

とてもじゃないが綾乃と向き合える顔じゃない。


「ふふっ、お義兄さん? お顔がぼろぼろですよ〜」


紗良がハンカチを取り出し俺の顔を拭ってくれる。

そして綺麗に整えてくれた後──。


──ちゅっ♡


唇にキスを落とした。


「なっ……♡」

「今更キスくらいで驚かないでくださいよ〜♡」


冗談めかして笑う紗良。


「お姉ちゃんが戻ってきたら、ちゃんと迎えてあげてくださいね?」


ほんのりと残る紗良の匂い。

唇に残る紗良の感触。


そして深く刻まれた紗良の存在。


俺は。

もう──。


その瞬間扉がノックされた。


『悠真様? 妹の紗良様? エステのお時間が終わりましたのでお迎えに参りました』


スタッフの声だ。


心臓が跳ねる。


バレるだろうか?

汚れは拭えたか?

匂いは残っていないか?


パニックになりかけた俺の耳元に紗良が囁く。


「大丈夫ですよ……♡ 鈍感なお姉ちゃんには絶対にバレませんから……♡」


耳元を掠める吐息だけで腰が砕けそうになる。


「あたし達の秘密……ですからね?♡ ……はーい、今行きまーす!」


紗良はそう言って扉の方へ歩いていく。


俺はその背中を見送りながら深く息を吐いた。


新郎新婦控室──。

永遠を誓う場所で俺は何をしてしまったのか。


綾乃への罪悪感と紗良への背徳的な快楽が入り混じり頭の中はぐちゃぐちゃだ。


だが一つだけ確かなことがあった。


俺はもう、紗良という甘い毒抜きでは生きていけないかもしれないということだ──。

………

……

…

##P14 裏切りのご褒美@密室で玉責め、玉キス、玉舐め、吐息責め、寸止めちんキス、ちんキスをおねだりさせられる、裏筋食み、フェラ誘惑、デートの約束をさせられる代わりに咥えてもらう、焦らしフェラ、好きと言わされる、激しいフェラ抜き、精飲、連続射精、お掃除フェラ、デート確約


平日の午前十時──。

通勤ラッシュを終えた駅の改札口は静かだった。

オフィス街へ向かう人々は既に勤務についている。

仕事場へ向かうでもない俺は、その静かな改札口の前に立っていた。


先日、控室で口約束させられた紗良とのデート。

昨晩綾乃には『急な出張が入った』と嘘をついた。

嘘はあっさりと通った。

綾乃は何も疑わず『そうなの?気をつけて行ってきてね』と、優しく見送ってくれた。

その笑顔を思い出すだけで、胃がキリキリと痛む。

愛する婚約者を騙し、その妹との密会に向かうための嘘。


こんなくだらない約束、反故にしてしまえばいいのに。

仕事だってあるし、急に休むのも変だし、行かなくたっていいはずだ。

それなのに俺は何を律儀に──。


「お義兄さ〜ん!」


改札を出た女の子が小走りで駆け寄ってくる。


「ッ……」


白いオフショルダーのニット生地のトップス。

鎖骨から肩甲骨のラインまで惜しげもなく晒け出し、夏らしく薄めの生地に仕上がっているせいで、下着のラインがくっきりと浮かび上がっていて。

更には小走りで近寄ってくるせいで、豊かな胸元が揺れに揺れ、見え隠れする谷間が強調される。

それに加えて丈の短いデニムのショートパンツから伸びる白くてムチムチとした太もも。

素足に履かれたサンダル。

健康的で肉感的な太ももが動くたびに揺れ、内腿同士で弾け合う。

足元は素足にヒールサンダル。

ペディキュアは今日のために塗り直したのか、鮮やかな桜貝のように艶めいていた。


大人びた容姿に反してあどけなさの残る笑顔。

まるでアイドルのような可愛さ。

それでいて、身体の方は成熟した女を醸し出していた。

道行く男性の誰もが一度は振り向き、二度三度と視線を送ってしまうであろう完成された美貌。



そんな多くの男たちから浴びる羨望の眼差しに全く臆することなく俺の前まで来た紗良は──。


「おはようございま〜す♡ お義兄さ……じゃなかった……えっと……」


一瞬言い淀んだ後、にっこりと笑って。


「悠真♡」


俺の名を呼んだ。


「え……?」


思わず息を呑む。

呼び捨て。

いつも使っていた『お義兄さん』ではなく、綾乃の使う『悠真さん』というわけでもなく、呼び捨ての『悠真』。

固まっている俺に向けて、紗良はもう一度にこりと笑った。


「今日はデートだからね? そういうことでい〜い?」


あどけなさの残る笑顔。

どこか憎めない笑顔。

呼び捨てにされる新鮮な衝撃に心臓が跳ねる。


「……紗良」

「はい?」


「いや……その呼び方は……」

「え〜? ダメですかぁ? 今日はデートなんでしょ〜? デートくらい呼び捨て許してくれてもいいじゃないですか〜」


「そういう問題じゃ……」

「何の問題ですか〜?」


首を傾げる。

肩口で揃えられた黒髪がさらりと揺れる。


「じゃあ、呼び捨てがダメならちゅーしてください。ちゅー。今すぐに、ここで! はいっ……!」

「え……」


「ちゅー。今すぐにこ・こ・で〜〜〜ほら!」

「ちょっ、待て!」


紗良の両手が俺の手首を掴み、自分の方へ引く。

紗良との距離が縮まれば、オフショルダーの首元から紗良の若い肌の匂いがふわりと漂ってくる。

紗良の体臭。

先日、嫌と言うほど嗅がされたカーディガンに染み付いていたものと同じ匂い。


「いや、待て。ここは人前だろ?」

「ん〜? 人前だからダメなんですか? だったら呼び捨てにするしかないですね〜? 悠真〜♡」


ニヤニヤと笑いながら俺の名を呼ばれ、背筋がゾクリと震えた。

何度も名前を呼ばれれば呼ばれるほど心臓の鼓動が速くなる。

どうしても嫌というわけではないのだ。

むしろこんなにも可愛い紗良に、フリだとしても一日恋人同士のような関係をできることに、男としての本能と他者への優越感が刺激されるのは確かで……。


……いや、いかんいかん。

俺は何を考えているんだ。


しかし、これ以上断るためのうまい方便も思いつかず、結局俺は紗良の提案を受け入れざるを得ないのも事実。

なので結局俺は──。


「……わかった。好きにしろ」

「やった〜♡」


紗良は俺の返事を聞いて嬉しそうに笑うと、繋いだ手を離さずに俺の隣へと並ぶ。


「じゃあ行こっか? 悠真♡」


──ぎゅっ♡


するりと自然に腕を絡ませる仕草。

紗良の男慣れした様子に驚く間も無く、至近距離から漂う甘い香りが強くなる。

柔らかな二の腕が触れ、豊かな胸が俺の腕に押し付けられていた。


「紗良……腕を組むのは……」

「ん〜? 腕組むのは〜? だって〜〜?」


上目遣いで見上げてくる。

開放的なトップスの胸元からはためく豊満な胸。

さらに繋いでいない手を口元に添えながら、紗良はふふふと笑った。


「これくらいで驚いてたら今日は大変だよ〜? 悠真♡」

「──ッッ♡」


楽しそうに笑う紗良に釣られて歩き出す俺。

周りの男共から『何見せつけてんだよ』とでも言うような恨みつらみの視線を感じるが……。


わかってくれ、俺も被害者なんだ……。

半分……いや、それよりももっと俺自身のせいかもしれないけど……。


「悠真♡ 今日、仕事お休みしてくれてありがとね〜♡」

「いや……まぁ……有給余ってるから……」


「へぇ〜? 有給余ってるから〜?」


ニヤニヤしながら顔を覗き込んでくる。

更に深くなった胸元を覗きそうになる視線を慌てて逸らす。


「嘘ついてお休みしたんでしょ〜? お姉ちゃんに〜♡」

「……バラすなよ」


「クスクス♡ もちろんバレないようにしましょうね〜? あたしもサボってきたし〜♡」


サボり。

浮気。

今までの生活では考えたこともないような背徳の言葉たち。

その言葉に甘いスリルを感じてしまう自分に嫌気が差す。

なのに腕に感じる紗良の体温と乳房の圧迫感が心地いい。


「ね、ね、今日はどこ行きたい? 悠真♡」

「いきなり言われても……」


「え〜? デートの場所は考えてないの? 男のくせにだらしないな〜♡」

「お前が急に決めたんだろ……」


「んふふ、ごめんごめん♡ じゃあさ〜? あたし水族館にいきたいな〜♡」

「水族館か……」


「いいでしょ〜? 平日だから空いてるし〜♡ 悠真とゆっくり見て回りたいな〜♡」


水族館。

無邪気なデートコース。

ただし今回は浮気……いや、不倫か?


「ま、まぁ水族館なら……」

「えへへ〜♡ じゃあ決まり〜♡」


平日昼間の水族館。

確かに空いているだろう。

平日に仕事を休んで女とデートする男。

『平日だし』と言う紗良の言葉が逆に背徳感を煽る。

仕事に行っているはずの俺が、こんなところにいる。

しかも隣には綾乃の妹。

道行く人々は俺たちをどう見るだろうか。


「ね〜、あたし達ってお似合いのカップルに見えてるかな〜? どう思う? 悠真♡」


──さわっ……♡


腕に抱きついたまま、紗良の指先が手の甲を撫でさする。

腕に押し付けられた豊満な女肉が形を変えて、より密着度を増していく。


「ッ……♡」

「あははっ♡ 何照れてんの〜? 悠真ったら〜♡ あたしと腕組んでその反応? もうそんなことでいちいち緊張するような関係じゃないでしょ〜?♡」


ドキリとする。

そうだ。

俺と紗良はもうそんな関係じゃない。

ただの妹と婚約者という間柄にはない。

あんなことやこんなことまでした仲だ。

俺の肉竿は紗良の手管により、何度も精を吐き出した後……。


なのに今さら腕を組まれたくらいでドキドキするなんて。

これじゃまるで初々しい恋人同士だ。

背徳感と新鮮な高揚感が混ざり合い胸の奥がざわつく。


「……悪い。ちょっと考えてた」

「ん〜? 何を?」


──ぐいぐい……♡


紗良の興味はもうそこにはないようだった。

スマホ片手に地図アプリを起動して、自然な流れで腕を引く。

そして引かれた腕は、これまた自然に胸の方へ。

むにゅりと手の甲が膨らみへと押し付けられる。


「……ッ♡」

「あははっ♡ いっくよ〜? 悠真〜♡」


逃げられない。

逃げようとしない俺の意思の弱さもあるのだろうけれど……。

甘い香りと胸の感触と、いくばくかのスリルに包まれて俺たちは歩き出していた──。


………


駅からバスに乗り水族館へ向かう。

平日昼間のバスの中。

主婦やお年を召した方々が多い車内で、俺たちは一番最後の席の一つ前のシートへと腰掛ける。

もちろん隣には紗良。

狭い二人掛けのシートで、当然のことのように太もも同士がぴったりと触れ合っていた。

肌の露出が多いショートデニム。

柔らかくきめ細かな素肌の感触が、嘘の出張の為に着込んだスーツの生地越しに伝わってくるようだった。


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「……ッ♡」


バスの揺れに合わせて紗良の太ももの肉感が俺の太ももに押し付けられる。

太ももと太ももの境目は生地が隔てているものの、紗良の太ももの柔らかな肉は、まるで俺の脚に絡みつくかのように密着して離れようとしない。


「ねぇ悠真〜? 今日さ〜──」


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「あ、あぁ……♡」


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「水族館の後は〜──」


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「ん、あぁ……♡」


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「──ねぇ、話聞いてる?」


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「んッ……♡ き、きいてる……♡」


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


話なんかまともに聞けるわけがない。

隣に座る紗良の太ももがバスの揺れに合わせて、俺の太ももに擦り付けられているのだ。


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


柔らかく弾力のある肉が擦れるたびに、以前太ももで挟まれ責められた時の記憶が蘇る。


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


あの時の密室での感触、匂い、そしてあの時の快感。

それら全てが脳裏に刻み込まれた甘い甘い背徳の記憶として蘇ってくる。


──むにゅっ……♡ むにゅっ……♡


「……あぁ、そういうことね〜?」


そう囁いた紗良の手がふいに俺の太ももの上に置かれた。


──さわっ……♡


「ちょ、ちょッ……!♡」

「シー……♡」


『しょうがないな〜♡』とでも言うように、悪戯っぽく笑った紗良が、自身の膝の上に乗せていた鞄を俺の方へ移動させてくる。


「なッ、なにを……ッ」

「んふふ〜♡」


その鞄で隠しつつ、股間の上に紗良の手が置かれたのである。

鞄で隠された俺の股間。

誰にも見えず、バレず、狭い二人席の、誰も知らない秘密の空間の出来上がり。


「ねぇ、悠真〜……♡ なんかちょっと硬くなってない〜?♡」

「や、やめっ……♡ ば、バスの中だぞッ……♡」


「そーそー♡ バスの中だから、硬くなんてしてちゃダメなんじゃないかな〜? 変態さん?♡」

「うっ……ぁっ……♡ いやっ……♡」


今日という日に至るまで、紗良に出会ってからというもの、俺は間違いを犯し続けてきたのだ。

そして、間違うたびに快楽という甘い毒を摂取させられ続けてきたペニスは、紗良の掌の感触を思い出して勝手に反応してしまう。

散々気持ちのいいことを学習させられた股間は、紗良の掌が被さってきただけで元気になってしまう。

もはや反射のようなものだった。


「これは確認だからさ〜♡ あたしの彼氏クンが、ところ構わず股間を硬くしちゃうような変態じゃないよね〜? っていうただの確認だからさ〜♡」


その言葉の通り、紗良の手が自ら動くことはなかった。

俺が反応して股間が硬くなったのを確認するために、紗良の手はじっと添えられているだけ。


「……ッ♡ や、やめッ……♡ さ、紗良ッ……ほんとに……ッ♡」

「ふふっ♡ 我慢我慢〜♡」


バスが揺れるたびに、紗良の太ももが俺の太ももに擦り付けられ、その揺れに同調するように紗良の掌も股間の上で揺れて微妙な摩擦を生み出していく。

直接触れているわけではない。

ズボンの生地越しに掌が押し付けられているだけ。

しかし密着きた太ももの感触、耳元で囁かれる甘い声や背徳感、そして何より、女の子の柔らかい掌の感触が合わさり、勃起を促進していく。


「お? ちょ〜っと硬くなってきたかも〜?」

「おッ、おまッッ♡」

『この先、揺れますので──』


「みたいだよ〜? 悠真〜?♡」


クツクツと笑った紗良が、身を寄せてくる。

柔らかな女体。

耳元を撫でる紗良の吐息が伝わってくる。


「どさくさに紛れて、硬くさせちゃお〜かな〜?♡」

「さ、紗良ッ……♡ やめろッ……♡」


俺の耳元で囁かれた紗良の言葉。

それが届いた瞬間に、肉竿は期待で大きく跳ねてしまう。


「ん〜、悠真のコレはあたしにシてほしいって思ってるみたいだけど〜?♡」


手のひら越しに筒抜けの反応。

それを受け取った紗良が耳元で囁いてくる。

その唇は、やれやれと言ったふうに歪んでいた。


──カリカリ……♡


「ぁっ♡ ぁっ♡ ぁっ♡」

「勃起させちゃダメだよ〜?♡」


甘い甘い快楽責めが始まった。

股間の上に被さった掌、鉤状に折り曲げられた指先が、硬くなりかけた竿の裏筋を浅く、優しく、でも執拗かつ確実に責め始めたのだ。


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


「あ"っ♡ さ、紗良……ッ♡ やめろ……ッ♡」

「ダメ〜♡」


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


「ぁぁぁ……♡♡♡」


生地越しに伝わる爪先の刺激。

シャープで鋭利な爪のエッジが敏感な裏筋を掠めるたび、腰の奥に流れる電気信号。

鞄の下でひくつく肉竿は紗良の掌に押さえつけられたまま。

その様子はまるで、紗良の手のひらの上で飼い慣らされたペットが甘えているかのようだった。


「だーめ♡ 勃起はだーめ♡」

「さ、紗良……ッ♡ こんなところで……ッ♡」


「はいはい〜♡」


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


クネクネと蠢く紗良の指先。

俺の股間は紗良の余裕ある指先一つに翻弄されていた。

あの控室で快楽という快楽を紗良に刻み込まれた股間。

少量の刺激で快感を求めて腰が勝手に揺れる。


「あははっ♡ やっぱりダメじゃん〜♡ コレもう完全に勃起してるじゃん〜♡」

「うッ……♡ そ、それは……ッ♡ お前が……ッ♡」


「あたしが? あたしが何した〜? 何もしてないよ〜? ただ手置いただけだけど〜?♡」


──すりっ……♡ すりっ……♡


カリカリと引っ掻いていた指の動きを止めて、今度は硬さを確かめるように掌がゆっくりと前後に動く。


「んっ♡ あッ♡」

「ね? 硬いでしょ〜? コレ〜♡」


──すりっ……♡ すりっ……♡


「あ"ッ♡ さ、紗良ッ♡」

「ふふふっ♡ バスの中でシたいの? 悠真〜?♡」


耳元に熱く湿った吐息がかかる。

背徳的な興奮で全身が火照りだす。


──すりっ……♡ すりっ……♡


「や……ッ♡ そ、そんなわけ……ッ♡」

「そんなわけ〜? じゃあ何〜? この硬くなっちゃったコレは何〜?♡ あたしのお手々に撫でられて、悦んじゃってんじゃないの〜?♡」


──すりっ……♡ すりっ……♡


「ぁぁぁ……♡ さ、紗良ぁ……♡ やめてぇ……♡ 我慢が……我慢がぁ……♡」

「そーそー♡ 我慢しないとだね〜♡ 我慢しないと、このままお手々に捕まっちゃうよ〜? ……さぁ〜ん♡ にぃ〜♡ い〜ち……♡ ぎゅぅぅ〜……♡」


──ぎゅぅぅぅ……♡


「あああぁぁぁ……♡」


紗良の手指がカウントダウンの終焉と共にゆっくりと閉じられる。

細長い指の一本一本が、すっかり硬くなってしまった竿に服の上から巻き付き、締め付けられていく。



強い力ではない。

むしろ加減された力。

なのにまるで猛獣の檻にでも入れられたかのように股間の自由が奪われる心地がした。


「あ〜あ……♡ 捕まっちゃった……♡」


──ぎゅむっ……♡ ぎゅむっ……♡


「あッ……♡」

「じゃ、ここからは目的地に着くまで悠真が射精しちゃわないか……あたしが見張ってなきゃだね〜?♡」


──ぎゅむっ……♡ ぎゅむっ……♡


「ぅっ……♡ くっ……♡」


力を込められ、絞り上げられるようにゆっくりと手が上下に動けば腰の奥からジーンと甘い痺れが搾り出されていく。

柔らかくて、狭い紗良の手の中。

蠕動する手肉。

手中に収められた欲望は簡単に屈服させられ、快楽信号を次々と脳天へ送り続けていく。

揺れるバスの中で人目を盗んで握られ、微動するだけの背徳の手淫。

時折硬さを確かめるように、さわさわと竿の輪郭をなぞる指の動き。

繰り返される刺激は最小限。

なのに竿の中の血液は沸騰しそうなほどの勢いで集まっていき、生地越しの肉竿が紗良の手によってまるで直接握られているかのようだった。


「ねぇ悠真〜♡ きもちぃくて我慢できない〜?♡」


──さわさわ……♡ さわさわ……♡


「あ、あぁ……♡ くッ……♡」

「んふふ……♡ だいじょ〜ぶ……♡ ちんちんよわよわの悠真でも、あたしは大好きだから……♡」


「ぁぁぁ……♡♡」


大好きと囁かれた瞬間、脳の一部が溶け落ちていくような感覚があった。

婚約者の妹に大好きと言われ、手で握られ、公共の場で嫐られる。

真面目な綾乃は絶対にしてくれない背徳の快楽。

早漏という男にとっては情けの無いバッドステータスですらも受け入れられて、それでも好きだと認められることによる倒錯したマゾの快楽が、身体の中でふつふつと湧き上がってくる。

どれもこれも、紗良に見抜かれ、教えられ、更には育まれてしまったマゾ快楽。

綾乃には口が裂けても言えないマゾの性癖。

それを紗良はいとも簡単に満たしてくれて、より刺激的なものへと昇華しながら俺の身体へと刻み込んでいく。


──ぎゅむっ……♡ にぎゅっ……♡


「んッ……♡♡ さ、紗良……ッ♡ も、もう……♡」

「もう? もう何〜?♡」


──さわさわ……♡ さわさわ……♡


「で、で……ッ♡ でそっ……♡ あ"ッ……♡ きもち……♡ よすぎ……ッ♡」


「あははっ♡ ダメだよ〜? バスの中で出しちゃだ〜め♡ まだデートは始まったばかりなのに、そんなことしたら〜……ただの変態さんだよ〜?♡ あたし大好きな悠真が変態さんになっちゃうのやだな〜♡ ほらほら、ぎゅっぎゅはやめて、手加減してちん先カリカリにしてあげるから〜♡ カリカリ〜♡ カリカリ〜♡」


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


「あ"ッ……♡♡ さ、紗良……ッ♡♡ も、もう……ッ♡」


カリカリカリと先端を指の腹で軽く撫で擦られただけ。

ただそれだけなのに限界まで高められた射精感が、ゆっくりと首をもたげてくる。


──指の動きだけなんかで……ッ♡


そう強く念じて我慢を試みようとするものの、紗良の手の中に捕えられた肉竿はピクピクと跳ねるだけ。

しっかり巻き付いた四本の指と、躍動しようとする幹を押さえつける柔らかな掌の肉。

快感を逃す場所を封じられた状態で、裏筋をカリカリと撫で擦る人差し指の腹の摩擦の前に、固く結んだはずの決心はいとも簡単にほどけていく。


「ッ……♡ さ、紗良……ッ♡ なあ……♡ 本当……に……やめ……♡」


「いいよ〜♡ やめてあげるけど、悠真があたしの質問にちゃんと答えてくれたらね〜?♡」


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


「質問……?」

「そう♡ 質問〜♡ あたしと綾乃お姉ちゃん……どっちが好き〜?♡」


「ッ……♡」


その質問は最悪なタイミングだった。

限界まで昂ぶった肉竿。

指の腹で裏筋の敏感な部分をカリカリと撫で擦られながら、紗良か綾乃か選べと迫られているのだ。


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


「さ、紗良……ッ♡ そ、そんなの……ッ♡」

「あ〜、そうそう……♡ もしあたしが思ってない方の答えだったら、悠真のちんちんさん……あたしのお手々でいっぱい気持ちよくしてあげて、バスの中で、どぷどぷぅ〜って出させてあげよっかな〜って……♡」


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


最悪の結末が目に浮かぶ。

バスの中での射精。

衆目に晒される背徳の刻印。

この世の地獄の具現化。

それだけなら、自分の恥で済むものの、警察沙汰や会社の懲戒解雇。

そうなるともちろん綾乃との婚約は……。


それらを回避するためなら──。


「紗良……ッ♡ 紗良が……ッ♡」

「ん〜?」


「紗良の方が……ッ♡ 好き……ッ♡♡♡」

「んふふっ……♡ いいこいいこ……♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


手のひら全体がゆっくり前後に動き出す。


「ぁッ……♡ ぁッ……♡ あぁぁ……♡」


純粋な快楽のみを執拗に与えられていた今までの責めとは一転して、射精感をキープしたまま心地よさのみを身体中に広げる紗良の緩やかな手淫。


「悠真……♡ いい子だね……♡ もっときもちよくなっていいんだよ……♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「あぁ……♡ 紗良ぁ……♡♡」

「あたしが一番大好き……♡ だよね……?♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「あぁ……♡ うん……♡ うん……♡♡♡」


与えられる快楽の心地よさに思考停止する。

身体の中を快楽という名の蜜が巡っていくような心地。

柔らかな手のひらの往復運動が与える刺激は、紗良への素直な気持ちを引き出していく。

『好きと言えば気持ちよくしてもらえる』という条件付きの餌から、『気持ちがいいから好きと言う』へ。

口から紗良への好きが溢れるたびに与えられる手のひらからの心地よさ。

紗良の撫でるような手つきも相まって、紗良への『好き』という感情が膨れ上がっていくような錯覚──。


しかしてそれはもはや錯覚ではなかった。


手のひらの下で、思うがままにピクピクと震える肉竿を利用して、紗良は手淫という形でその好意を植え付けようとしていた。

身体に刻み込んだ反射。

『好き』と『手コキの気持ちよさ』を条件付けで結びつけ、紗良の与える快楽こそが全てなのだと悠真に植え付けていく。


「んふふっ♡ ……あたし、悠真があたしのこと大好きって言ってくれてすごく嬉しいよ〜♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「んっ……♡ さ、紗良……♡ 好きぃ……♡」


耳元で熱っぽく囁かれる言葉。

甘い毒を含んだようなその声が、脳の芯を痺れさせ、俺の口から『好き』という言葉を引き摺り出していく。

これは全て演技で、気持ちよくしてもらうために、こんなところで射精するわけにはいかないために、仕方なく俺は紗良を好きと偽って──。


「でも悠真はあたしとあたしのお姉ちゃんの両方が好きなんだよね?♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「あぁ……♡ うん……♡」

「ちんちんのことなでなでしてあげてるお手々も……好き……?♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「すき……♡」

「悠真はあたしのこと……あたしに気持ちよくシてもらうのが……好き……?♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「あぁ……♡ すき……♡」


『好き』という言葉と快楽を条件付けられた俺は、快楽が与えられるたびに紗良に対して好意を露わにしてしまう。

綾乃のことが好きなのかとまた尋問されるのかと思いきや、むしろそれ以上に紗良への好意を伝えさせられることで、頭の中が紗良のことで埋め尽くされていく。

俺が好きだと言わないと快楽をくれない紗良。

好意を吐き出す度に撫でられ、好意を拒絶すれば社会的に抹殺される。

選択肢など最初から存在しない。


「あたしも〜♡ 悠真が好きだよ〜♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


この甘美で背徳的な最低の行為は、バスが目的の水族館へ辿り着くまで、緩やかに繰り返されていた──。


………


##P15 水族館デート♡@恋人同士のキス、勃起命令、ペアリング購入のため手で誘惑される、カフェデート中の誘惑でラブホへ行こうと言わされる


「ねぇ! 見て見てーー!! これすごい色の魚! きれーーーい!」


水族館に着くと、紗良のテンションは急上昇した。


館内の薄暗い照明に照らされた大きな水槽の前で、はしゃぎながら魚を指差す紗良の姿は、年齢相応の19歳の少女そのものだった。


「へぇ、本当、鮮やかだな」

「悠真も来て! こっちこっち!」


紗良が俺の手を引く。

繋いだ手の温かさ。

柔らかな掌。

普段の振る舞う時とは違い、今日の紗良はどこか浮かれたようだった。


これじゃまるでデート……いや、デートなんだこれは……。

口に出して言えない俺は、水槽の向こうで泳ぐ魚たちと同じように、ただただ状況に流されていく。


「わかった、わかったから。そんな強く引っ張るなって」

「えへへ〜♡ ごめんごめん♡」


俺の文句を笑って流しながらも手を離そうとはしない。

子供のようにはしゃぐその姿は、普段見せる小悪魔的な表情とは少し違って見えた。


「悠真〜♡ こっちの水槽すごいよ〜? クラゲがいっぱい〜♡」


クラゲの水槽の前で紗良が立ち止まる。

青い光に照らされたクラゲがゆらゆらと浮いている。

その淡い光が紗良の顔を照らし、水中の青と肌の白さが混じり合って幻想的な美しさを作り出していた。


「きれいだな……」

「うん……♡」


紗良が見上げる。

青い光の中で潤んだ瞳がこちらを向く。


「悠真も見てよ~? こっち向いて~♡」

「見てるよ」


「えへへ……♡」


握られた手に少しだけ力がこもる。

この瞬間くらいは、綾乃のことを忘れてしまってもいいのではないか。

そう思ってしまう自分がいた。

クラゲの青い光が揺れるたびに、心の中で何かがほどけていくようだった。


「……なぁ」

「ん〜?」


「今日、その……すごく……」

「すごく?」


「……綺麗だなって思って」

「え?」


紗良が目を丸くする。

一瞬の間。

それからゆっくりと口元がほころんでいく。


「なにそれ急に〜♡」

「や、べつに……」


「ふふっ♡ 嬉し〜……♡ 悠真にそう言ってもらえて〜♡」


その笑顔を真正面から見た時、自分の心臓が跳ねるのを感じた。

可愛い。

素直にそう思ったのだ。

婚約者の妹に向けて口にする言葉ではないとわかっていても、綾乃と出会った時のような、あの甘酸っぱい高揚感を紗良に感じてしまう。


──違う。


これは不倫だ。

背信行為。

愛する綾乃を裏切る行為だ。

俺はいったい何を考えているんだ。


「悠真〜♡ 悠真〜♡」

「ん?」


──ちゅっ♡


「ッ……♡」


ふいに唇に触れた柔らかさ。

かと思えばその温もりはすぐ離れていく。

一瞬のキス。



「へへ〜♡」

「なッ……お前……!」


「だって〜? 可愛い悠真にキスしたくなっちゃったから〜♡」

「ここは公共の場だぞ……!」


「え〜? 誰も見てないよ〜?」


キョロキョロと周囲を見渡す紗良。

平日昼間の水族館。

人影はまばらだ。


「ね? 誰も見てないって♡」

「そ、そういう問題じゃ……」


「じゃあ何の問題?」

「……ッ」


「んふふ♡」


答えられない俺に向けて紗良は満足げに微笑む。

その笑顔の破壊力たるや、心臓が締め付けられるような甘酸っぱさが俺を襲う。


「悠真〜♡」

「なんだよ……」


「だーいすき♡」

「ッ……♡」


甘い声。

心の中で何かがこぼれ落ちそうになる。

危険だ。

これは危険だ。

俺は綾乃の婚約者で……。

でも……でも……。


「悠真〜♡」

「なんだよ……」


「大っっっ好き〜♡」

「ッ……♡」


何度も言われる。

耳元で甘く囁かれるたびに思考が溶かされていく。

頭が真っ白になる。

背徳感と罪悪感と高揚感などなど。

様々な感情が複雑に絡まり合って思考がまとまらない。

だが紗良は俺の返事を待たなかった。

紗良は俺の手を引いて歩き出す。


「次! 次どこ行く〜? 悠真♡」

「あ、あぁ……」


俺の思考などお構いなしに紗良は歩き出す。

広い水族館の中を次から次へと案内していく。

その歩く姿の後ろ姿は、あのいつもの小悪魔的な紗良とは似ても似つかないただの楽しそうな19歳の少女だった。

犯してしまった間違い、紗良の寝室や控室での誘惑、バスでの手淫、『好き』という言葉を何度も繰り返させられたこと……。

紗良が頭の中を占める割合が、彼女と出会ってからというもの、右肩上がりに上昇している。

それは罪悪感の裏返しなのかもしれないが……それだけではない気もする。


「あッ……♡」

「ん?」


不意に紗良が足を止めた。

振り返り見上げてくる。

薄暗い青い照明に照らされた横顔。

目が合う。

ドキリとした。


「……何?」

「ん〜〜? 何でもな〜い♡」


悪戯っぽく笑った紗良がまた前を向き歩き出す。

その後ろ姿を見つめながら俺は自分の頬の熱さに気づいた。


俺は今……楽しいと思ってしまっているのか……。


「あ、そうだっ!


またもや紗良が不意に足を止める。


「ねぇ悠真〜? ここでペアリング見ようよ〜♡」

「え……? ペアリング……?」


「そう〜♡ あたし達だけの秘密のペアリング〜♡」

「バレるだろ……?」


「んふふ〜……♡ 大丈夫〜♡ 悠真はお姉ちゃんがいない時だけつけてくれたらいいし〜? あたしがそれを付けてる時は、悠真への合図にしようかな〜って♡」

「合図……?」


「そ♡ 合図〜♡ あたしがこれを付けてる時は〜……♡ お義兄さ……じゃなくて、悠真〜♡ あたしとこっそりえっちなことしよ〜って合図〜♡ クスクス♡」

「ッ……♡」


「ね? それいいと思わな〜い……?♡」

「あっ……い、いや……それは……」


「え〜? 何言ってんの〜? 悠真〜?」


紗良が俺の耳元に寄せてきた。

柔らかい唇が耳たぶに触れそうなほどの距離。


「あたしの太ももで気持ちよくなったくせに〜? あたしのお口でいっぱい出したくせに〜? バスの中でもあたしのお手々でいっぱい気持ちよくなってたくせに〜?」

「あっ……♡ そ、それは……♡」


「あたしとこういうことするの……好きでしょ〜?♡」

「うっ……あっ……いや……でも……」


このラインは超えちゃダメだ。

幾度となく間違いを犯してしまった俺は、精一杯拒絶の意を示す。


「ふーん……じゃあ、しょうがないなぁ〜……」

「あ、ありが……とう……」


その願いが通じたのか、紗良はあっさりと引き下がってくれた……ように思えたのだが。



「勃起しろ……♡」





突如、放たれた言葉。

耳元スレスレまで近づいた唇から発せられた低く甘い声の命令が、鼓膜を震わせた。

唐突かつ冷酷なその命令に俺の身体は即座に反応してしまう。


「……ッ♡♡」


──むくっ……♡


植え付けられた条件付け。

紗良の太ももでの射精。

フェラでの連続射精。

『好き』という言葉と結び付けられた手コキ。

幾度となく紗良に植え付けられた快楽。

その全ての学習の成果が今、一つの命令に応える形となって現れてしまう。


──むくむく……♡


何の抵抗もなく股間に血液が集まっていく。

スーツのズボンの中で、下着に押さえつけられたペニスが瞬く間に硬さを取り戻していく。


「あははっ♡ やっぱり〜?♡ すぐ元気になっちゃった〜♡」

「んッ……♡ くッ……♡」


「ね? これこそ、あたしとこっそりえっちなことしたい〜っていう、悠真の意思表示だってわかるでしょ〜?♡」


勃起=紗良に気持ちよくされたいという合図。

紗良の匂い、身体の柔らかさ、それに度重なる射精と繰り返された寸止め、さらに愛の囁きも相まって、条件付けられた俺の股間は今や紗良の命令ひとつで勃起してしまう都合のいい男性器になっていた。


「……ッ♡ あッ……♡」

「ね? 悠真〜?♡」


──さわっ……♡


紗良の手が膨らんだ股間に触れる。

誰も見ていない薄暗い水族館の通路。

薄暗い一角に追い込まれた俺の股間に、しっとりと汗で湿った紗良の手が置かれていた。


「ペアリング……買おうね……?♡」

「え……あ……♡」


──ぎゅ……♡


払い除ける間も無く、紗良の手指が閉じていく。

耳元で囁かれた言葉を否定しようとするが、紗良の指の動きと共に思考が麻痺していく。


「ペアリング……あたしと悠真だけの合図にしよう……?♡」

「ぁ……ゃ……♡」


──にぎにぎ……♡


「きもちぃ? あたしのお手々……♡」

「う……♡ うん……♡」


──にぎにぎ……♡


「悠真はあたしと……えっちなことしたい……?♡」

「うん……♡」


──にぎにぎ……♡


「大好き……?♡」

「すき……♡」


──にぎにぎ……♡


「あたしのことも……あたしに気持ちよくシてもらうのも……好き……?♡」


──すり……♡ すり……♡ すり……♡


「あぁ……♡ すき……♡」


………


水族館のギフトショップをあとにした俺達は近くのカフェに向かっていた。

青い光に照らされていた水槽の中とは一転、外の光は強く眩しく目を焼いた。


ハッとする。


俺は今、何を考えていたんだろう。

水槽の前で紗良に同意し続けていた記憶。

ペアリングの話。

えっちなことしたいという言葉への同意。

自分の口から出た言葉とは思えない情けの無い、懇願のような言葉たち。

紗良に促されるまま、水族館の暗い水槽の前で、紗良の言うことに同意してしまったのだ。


「ふふっ……♡ これかわい〜……♡」


紗良の細い長い指──右手の薬指に嵌められたシルバーのリングが太陽の光を弾いてキラリと輝いていた。


「これが……合図……」

「そ♡ 合図だよ〜? 悠真♡」


「合図……」

「これをあたしが付けてたら〜……♡ こっそりえっちなことしてあげるから、お部屋においで〜っていう、あたしから悠真への合図〜♡」


「う、うん……」

「ね? 見て見て〜♡」


紗良が右手をひらひらと振る。

指先で揺れるシルバーのリング。

それを目で追った瞬間だった。

脳裏に焼き付き、条件付けられた快楽がフラッシュバックする。


──むくっ……♡


「んふふ〜……♡ やっぱり〜♡」

「うッ……♡」


「かわいい〜……悠真♡」


………


カフェに入店した俺たちは一番奥の席に通された。

平日昼下が

りの店内は落ち着いており客はまばら。

窓際の席からは穏やかな日差しが差し込んでいる。


「わぁ〜♡ おしゃれなお店だね〜♡」

「あぁ……そうだな」


向かいに座った紗良は窓の外を眺めながら嬉しそうに目を細める。

その顔は年齢相応の少女のもの。

しかしその服装は少女のそれではなかった。

白いオフショルダーニットの胸元から覗く谷間。

ショートパンツから伸びる健康的で肉感的な太もも。

その全てが、大人の女として俺を挑発してくる。


「ねぇ、悠真ぁ〜……♡」


向かい側の紗良が身を乗り出してくる。

大きく開いた谷間が揺れて、狭いテーブルの上に巨大な肉の塊が鎮座する。

グラビアアイドル顔負けの身体と美貌。

事実、街を歩いているだけで男の視線を引き寄せ、俺が隣にいるのにも関わらず、スカウトが声をかけてきたほどだ。

俺には勿体ないほどの美貌と女体。

それが今、今日だけは彼女として俺の目の前にいるのだ。

対面の紗良は俺の目の前で胸元を強調し、見えそうで見えない神秘の領域をちらつかせていた。

わざとなのかそうでないのか……反応に困る。


「何だよ……」


俺は必死に目を逸らそうとする。

しかし目は勝手に紗良の谷間を追ってしまう。

バスや水族館で『好き』を刷り込まれた後だからか、紗良を見るだけで身体の芯が熱くなり、何も考えられなくなっていく気がする。


「今日この後どうする〜?」


紗良が小首を傾げて問いかけてくる。

あまりにもわざとらしい仕草。

テーブルの上に乗せた胸。

窓から差し込む陽射しが深い谷間の表面を照らし、そのたおやかな丸みを際立たせていた。

紗良の表情は見えない。

視線は自然と胸元に縫い付けられて、唯一視界には彼女の手元のみが映り込んでいた。


「どうするって……」

「ん〜? あたしはまだ帰りたくないな〜って思ってるけど、悠真は?」


紗良の指先が、先ほど届けられたアイスカフェラテに刺さった赤いストローの先端を弄ぶ。

細くて、長くて、白くて。

綺麗に整えられた爪がついた、しなやかな指先がストローを摘んだまま、口元に運んで。


──ちゅぅ……♡


紗良のピンク色の唇が細い管を咥えた。


「ん〜〜……♡」


窄められた唇と頬。

喉が小さく鳴る音と共に、カフェラテの水位が下がっていく。


「んはぁ……♡」


なんてことのない動作のはずなのに、自分が紗良の口から解放された時の記憶が鮮明に蘇る。

ペニスに吸い付かれ、幾度となく精を啜られたあの時の背徳の記憶。

紗良のたった一つの仕草だけで身体が反応してしまう。

紗良に仕込まれた条件付け。

ダメだダメだと自問しながら、紗良に甘え、流され、紗良を求め続けた弊害。

今にして思えば、全部紗良の計算だったのでは──。

考えても考えても答えは出ないが、股間だけはジンジンと熱を持っていた。


「あたし、まだ悠真と一緒にいたいな〜♡」


ストローから唇を離し、紗良が上目遣いでこちらを見る。

桃色に濡れた唇。

少し開かれた口元から覗く舌先。


「もっと……ゆっくりしたいな〜って♡」


ゆっくり。

その言葉が耳の奥で反響する。


ゆっくり。

二人きりで。

誰にも邪魔されない場所で。


「バスの中も……水族館も……楽しかったけどさ〜♡」


紗良の足先が、テーブルの下で俺の足首に触れる。

素足の感触。

サンダルから解き放たれた足指が、スーツパンツの裾から潜り込み、素肌の部分をゆっくりと撫で上げる。

丸みを帯びた指先はじっとりと汗ばんでいた。


「もっとこう、二人きりでのんびりできるとこがいいな〜……って♡」


のんびり。

休憩。


それはつまり……。


「ッ……♡」


心臓が跳ねる。


「ねぇ……悠真ぁ?」


紗良の左手が右手の薬指を撫でる。

そこにあるのは銀色の指輪。

昼間のカフェの明るい照明を受けて鈍く光る指輪。

先ほど買ったばかりのペアリングだ。


「あたし、足疲れちゃったな〜……♡」


素肌を撫でていた足指が、スーツに沿って登ってくる。

脛をなぞり上げ、ふくらはぎ、膝の裏へと続いていく。

くすぐったいような、それでいて甘い痺れが、紗良の足が這った部分に残っていた。


足。

疲れた。

だから横になりたい。

休みたい。

誰にも邪魔されない場所で──。


紗良の言いたいことはわかる。

痛いほど、わかる。

だが。


「どこか……」


言葉が喉の奥で詰まる。

言ってはいけない。

言ったらもう戻れない。

なのに。


「どこか……?」


紗良が小さく笑う。

足の指が膝の裏から太ももの内側へと滑り込んでくる。


「どこか〜? 悠真はどこに行きたい〜?♡」


誘われているのは明らかだ。

それでも紗良は俺の口から言わせようと、指先と視線と甘い声で追い詰めてくる。


「……のんびり……できるところ……」

「ん〜? のんびりできるところ? それは〜?」


「……誰にも……邪魔されない……ところ……」

「ふふっ……♡」


紗良が嬉しそうに笑った。

弾みでテーブルの上の胸が揺れる。

同時に足の指が太ももの内側で円を描くように蠢く。


「誰にも邪魔されないところ……かぁ〜♡ いいなぁそれ〜♡ 水族館も結構広かったしね〜……?♡ いっぱい歩き回ったもんねぇ〜……?♡」

「あぁ……」


紗良の言葉が俺の思考を蝕んでいく。

決して核心を述べない紗良。

だからこそ自主的に答えを選んでしまう俺。

紗良からではなく俺から──。


「休みたいなぁ〜……?♡ そしたらどこに行く〜……?♡」


足の指先が太ももの内側からゆっくりと奥へ進んでくる。


「どこか〜……ゆっくりできるところ〜……ないかなぁ〜♡」


ゆっくりできるところ。

その言葉の意味を考える前に身体が反応する。

脳裏に浮かぶのは一つの単語。

ホテル。


違う。

休むだけだ。

カラオケボックスでもいい。

ネットカフェでもいい。

でも紗良は『ゆっくり」と言った。

二人きりで。

誰にも邪魔されずに。


「ねぇ〜? 悠真〜?」


──すりっ……♡


太ももの内側を足先が撫で回す。

ぞくりとした感覚が背筋を駆け上がる。

バスの中で散々焦らされた股間が、気持ちよかった記憶を呼び覚ます。

紗良の足。

紗良の太もも。

紗良の手。

紗良の口。

紗良という女──。


「あたし今日は〜……まだ悠真と一緒にいたいな〜♡」


桃色の唇から吐き出された言葉が頭の中で反響する。

まだ一緒にいたい。

それはデートの続きという意味か。

それとも──。


「まだ帰りたくないな〜♡」


──ぎゅ……♡


紗良の両脇を締める。

谷間がいっそう膨らんだ。

露骨なアピールだ。



「ねぇ……悠真……♡」

「……ッ」


「どこ行く?♡」


問われているのは今日の予定だけじゃない。

俺自身の意思だ。

綾乃の婚約者として正しい選択をするのか。

それとも紗良の望むままに溺れていくのか。


足先がさらに奥へと伸びる。

それは硬くなり始めた中心部へと近づいていく。


「あたしは〜、悠真が決めてくれたら〜、どこでもいいよ〜?♡」


甘い声。

可愛らしい音を奏でているのに、責任を押し付けようとする残酷さ。


「でも……」


喉が渇く。

心臓がうるさい。

理性と本能のせめぎ合い。

断れ。

断るんだ。

これ以上間違いを犯すんじゃない。


そう心の内で自らを奮い立たせようとした瞬間──。


──すりっ……♡


紗良の足先が中心部を掠めた。


「ッ……♡」


ごくわずかな接触。

太ももの内側から中心部へと足先が滑り込み、薄い生地越しに隆起した部分を優しく撫でた。

ただ撫でただけ。

それだけのことで、俺の口からはもう言葉が溢れ出てしまっていた。


「ホテル……」

「え?♡」


「ホテル……行くか……」


この時、俺はようやく紗良の顔を直視できた。

潤んだ瞳は細められ、桃色の唇は歪んでいた。

俺の口から出た言葉を待っていた女の顔。


「んふふ……♡ やっと言ってくれたね〜♡」


紗良の足先が中心部をもう一度優しく撫でた。

まるで褒め称えるかのように、ゆっくりと円を描く。


──すりっ……♡


「えっち……♡ 悠真のえっち……♡」



言い返せない。

言い返したくない。

俺は自分の口で選んでしまったのだ。

もう戻れない道を。


「よかった〜♡ あたしも悠真ともっとゆっくりしたかったからさ〜……♡」


──ぎゅ……♡ すりすり……♡


足の裏が幹の輪郭をなぞるようにゆっくり動く。

紗良の柔らかい足裏がもたらす軽い刺激だけで、下腹部は早くも爆発しそうだった。


「あ……♡」

「ふふ……♡ ねぇ〜……ここじゃ人が多いし〜……」


紗良はニコリと笑うと足を引く。


「お会計しよ〜♡」


あまりにあっさりと解放されたことで、逆に名残惜しくなってしまう。

その感情すらも己のものではないように感じる。

紗良という魔性に全てを持っていかれてしまったかのようだ。


「……あぁ」


俺はなんとか頷くと、立ち上がる。

ズボンの中心部が僅かに膨らんでいるのがわかるものの、そんなことに構ってはいられなかった──。


………

##P16 ラブホ♡@エレベーター内好き好きキス責め、太ももリフト


カフェを出た俺たちは駅の近くのホテルへと向かった。

平日昼間。

ラブホテルの前。

昼下がりの街角に似つかわしくない派手な看板。

俺は紗良に手を引かれその入口へと足を踏み入れる。


「ねぇ悠真〜♡」


受付を済ませエレベーターへと向かう俺の耳元で紗良が囁く。


「きょうは……たのしみだね〜♡」


楽しみ。

その言葉が耳の奥で反響する。

楽しみだなんて言えるはずがない。

これは不倫だ。

許されざる行為だ。


「悠真が誘ってくれて嬉しかったな〜♡」


紗良は俺の腕を抱きしめる。

豊満な胸が腕に押し付けられ、柔らかな肉感を存分に感じさせる。

この感触。

この匂い。

この温もり。


──違う。

──俺は……。


思考が混濁する。

エレベーターが上昇するにつれ、腹の底から湧き上がる言いようのない罪悪感と期待感。


「あたし……悠真と一緒にいられて幸せだな〜♡」


紗良の声が耳の奥に直接響く。

それはまるで呪文のように俺の理性を溶かしていく。

婚約者の妹との禁断の関係。


いや、これは仕方がないんだ。

紗良がエロいのが悪いんだ。

俺は何も悪くな──。


──ちゅ……♡


突如唇を奪われる。

二人だけの密室。

誰もいないエレベーターの中で、ふいに紗良が俺の首に腕を回して唇を重ねてきた。


──ちゅぅぅぅ……♡


「好き……♡ 好き……♡」


花びらのような唇が緊張で乾いた唇へと押し付けられる。

そこから時折漏れ出す『好き♡』という言葉が、俺のことを縛り付ける呪詛のように染み込んでくる。


──ぢゅぱっ……♡ ちゅぱっ……♡


「んんっ……♡ さ、紗良……♡」


舌先が唇の隙間から入り込んでくる。

熱くてねっとりと唾液の絡んだ舌。

散々刷り込まれた紗良の味。

毒のような甘さが口腔内を犯していく。


「悠真……♡ 悠真……♡」


紗良が俺の名前を呼ぶたびに胸が締め付けられる。

逃げ惑う俺の舌を追いかけて、紗良の長い舌が這い回るせいで脳内がトロトロに溶かされていく。

エレベーターが到着するまでのほんのわずかな時間。

なのに唇を重ね合わせて舌を絡ませているだけで、それが何倍にも感じられてしまう。


「んむぅ……♡ ちゅぅ……♡ んん……♡ ちゅぱぁ……♡」


首を深く抱き寄せられて。

柔らかい紗良の身体に密着させられて。

股間に差し込まれた太ももで、張り詰めた膨らみの硬さを確かめるように何度も擦り付けられて。


──ぐり……♡ ぐり……♡


「ちゅぱぁ……♡ はぁむ……♡ んはぁ……♡ 好きぃ……♡ 好きぃ……♡ ちゅぅ……♡ ちゅぅぅ……♡」


我慢ができない。

頭の中に残っていた罪悪感が、全て背徳の快楽へと変換されていく。

狭いエレベーターの中の壁に押し付けられて、身動きの取れない中でされるがままに唇を貪られる。

膨らみを右に左にぐりぐりと刺激する太ももの快感も相まって、深い沼の底へと堕ちていく感覚が全身に満ちていく。


「好き……♡ 好き……♡ 好きぃ……♡ ちゅぅ……♡ はぁむ……♡ ちゅぱぁ……♡ ちゅぅぅ……♡」


口内を蹂躙し、吸い上げ、絡め取っていく紗良の深い深い口付けの前に、拒絶の言葉が喉から出てこない。

言葉にするより前に紗良の口の中へと吸い込まれて──。


──ちん……。


「好きぃ……♡ ちゅぅ……♡ んはぁ……♡」

「はぁ……はぁ……はぁ……ッッ♡♡」


エレベーターが到着する頃には息も絶え絶え。

最後にひと舐めとばかりに、長い舌が口内をぐるりと一周。

そして離れゆく紗良の唇に引いた銀糸を呆然と見つめる俺の目の前で、部屋のカードキーを手にした紗良は、嬉しそうに微笑んでいた──。


………


##P17 ラブホで……@キスの後馬乗りに、婚約指輪を口で奪われておっぱいに封印される、抵抗を勃起を握られただけで封じられる、脱衣する紗良の身体、セックスへのいざない、乳首責め、太もも押し付け、ぱふぱふ、呼吸管理、おっぱいフェロモン責め、好き好き囁き洗脳耳舐め手コキ、寸止め、好きと言わされる、スロー手コキ、嘘の『好き』がバレる、挿入誘惑、太ももで挟んで寸止め、挿入懇願、素股、射精命令


「わぁ〜♡ 広いね〜♡」


扉を開けて開口一番、紗良の声が弾む。

部屋の中央に鎮座するキングサイズのベッド。

天蓋から垂れ下がるシースルーのカーテン。

薄暗い間接照明が、甘く湿った空気を醸し出している。


──ガチャ……。


そきて分厚い防音扉が閉まり外界の音が消えた。

日常が切り取られたようだった。

清廉潔白な綾乃とは無縁の世界。


「ねぇ悠真〜♡ あっちも見て〜♡」


紗良が俺の手を引く。

オフショルダーの白い肌が、照明に照らされて艶めいている。


「あぁ……」


俺は引きずられるまま歩く。

頭の中では警鐘が鳴っている。

綾乃への罪悪感。

倫理観。

理性。

それらがぐるぐると回っているのに、足は止まらない。

俺を引っ張る紗良の手の温もりが、現実から引き剥がしていく。


「ふふっ♡ ベッドふかふか〜♡」


紗良がベッドに腰掛け、ボフっと跳ねた。

豊かな胸も同時に揺れる。



──バルンっ♡


その無邪気な姿は歳相応の妹そのもの。

でも、その身体は男を誘う魔性の女そのもの。


「ねぇ悠真も座って〜?」


ポンポンと隣を叩く。

俺は観念して腰を下ろす。

沈み込むような柔らかさ。

紗良の匂いが鼻腔を満たす。


「……なぁ」

「ん〜?」


「俺たちは……」

「ん?」


言葉が続かない。

何を言おうとしているのか自分でもわからない。

ただ、綾乃に謝りたいという気持ちだけが胸の奥で渦を巻いている。

この期に及んで。


「悠真♡」


呼ばれて振り向くと、紗良の顔が目の前にあった。


──ちゅ……♡


唇が重なる。

柔らかく、甘い、キス。


「っぁ……♡」


──ちゅぅ……♡


キスが深くなるにつれ、絡み合う舌。

紗良の唾液の味、鼻から吹き付ける吐息、密着した柔らかさと体温。

全てが俺を飲み込んでいく。


「んふっ……♡ ちゅぱ……♡ ちゅぅ……♡」


理性が溶かされていく。

綾乃。

ごめん。

心の中で謝罪しながら、俺は紗良の背中に手を回していた。


「んちゅっ……♡ はぁむ……♡ ちゅぱっ……♡ んふぅ……♡ ふふっ♡」


キスが終わると、『えいっ』と紗良が短く声を上げた。

俺の胸を押したのだ。


「あっ……」


倒される。

背中がベッドに沈み込む。

見上げた天井。

その視界に、紗良の顔が割り込んでくる。



「ふふっ♡ 悠真、緊張してる〜♡」

「そ、そうか……?」


「うん♡ だって身体硬くなってるもん♡」


間髪入れずに紗良が俺の上に跨ってくる。

太ももの肉感が腰に伝わる。

だが、ふと、紗良の視線が俺の左手薬指に止まる。


「……あ」


小さな声。

金属の光沢。

銀色の指輪。

綾乃と婚約した時に交換した、愛の証。

紗良は俺の左手を両手で包み込むように持ち上げた。


「これが……お姉ちゃんとの……」


囁くような声。

目が細められる。

そこにある感情は、嫉妬か、それとも──。


「ねぇ……♡」


紗良が俺の薬指を顔に近づける。

唇が指輪に触れるか触れないかの距離まで迫る。

綾乃と俺を繋ぐ愛の証をじっと見つめる紗良の瞳には、底知れぬ光が宿っていて──。


「紗良? 何を──」


薬指が紗良の唇に触れる。

柔らかなリップの感触。

そして──。


──ちゅっ……♡


「ぁ……」


キス。

紗良が指輪にキスをした。

いや、違う。

指輪ごと、薬指にキスをしている。


「んちゅっ……♡ ちゅぱ……♡ ちゅぅ……♡」


そのまま唇の隙間から出てきた舌が指の上を這っていく。

指輪の表面を舌先がなぞる。

金属のリングが紗良の唾液で濡れていく。

生温かい舌の感触が、指に伝わってくる。


「ッ……♡ さ、紗良……♡」

「んふふ……♡」


紗良は答えない。

代わりに口を開く。

俺の薬指を口の中へと招き入れようとしているようだった。


「さ、紗良っ……」


──はむっ……♡


「あっ……♡」


一拍遅かった。

紗良の思惑に気づいた頃には、既に指は咥えられていた。


薬指が温かくて湿った口腔に包まれる。

舌表面のつぶつぶが指の根本を這い上がり、舌先が指輪と皮膚の境目に潜り込もうと伺っている。


「んへぇ……♡」


鼻息が指を撫で、粘膜の柔らかさが包み込む。

何故だろう。

指一本のはずなのに。

咥えられているのは指のはずなのに──。

口内の柔らかさに包まれると、股間がピクリと反応してしまった。


紗良の唾液で濡れていく。

綾乃との愛の証が紗良の涎で汚されていく。

紗良の舌先は、指輪と指の隙間をほじくり返すように、何度も行き来していた。


「んぢゅっ……♡ ぢゅぱっ……♡ れろぉ……♡」


次第に紗良の口の端から唾液が溢れてくる。

指輪だけでなく、左手が紗良の唾液でドロドロに濡れていく。

粘度の高い液体が指を伝い、手のひらへと滴り落ちていく。


「あッ……♡ な、何を……♡」

「んちゅっ……♡ れろれろぉ……♡」


紗良は答えない。

ただ執拗に、指輪を舐め続ける。

舌で指輪を押し上げ、唇で挟み込み、吸い上げ、小刻みに前後に顔を揺する。


──ぢゅぷっ♡ ぢゅぷっ♡ ぬぷっ♡


「ん"ッ……♡ くッ……♡」


指輪が動く。

指から抜けていく。

紗良の舌の動きに合わせて、指輪が回転し、指の関節を越えていく。


「あッ……♡ ま、待っ……♡」


その時初めて気がついた。

紗良は俺の指から指輪を抜き取ろうとしているのだと。

しかし、左手を紗良の手から引き抜こうとしたところで、既に指輪は動き始めているのだ。

当然無理やりにでも左手を引っ張れば、すぽっとあっという間に指輪は抜けてしまうだろう。

手を動かすことができない。


「んぢゅっ……♡ れろぉ……♡」


紗良の思うがままに、指輪が動く。

唾液でぬるついた指輪が、紗良の唇と舌によってゆっくりと引き抜かれていく。

指から指輪が離れる瞬間の喪失感と、それを奪われる背徳的な興奮。

そしてとうとう、窄まった唇の内側がリングをゆっくりと啜っていき……口の中で指輪が転がった。


──ぽろっ……。


綾乃との愛の証が、紗良の口内へと奪われてしまったのだ。


「んふっ……♡ 取れちゃった……♡」


妖しく嗤う紗良。

窄めた唇の隙間から、舌の上に鈍く輝く銀のリングが乗っているのが見えた。

取り返さなきゃ。

咄嗟に反対の手を伸ばす。

しかし。


「んむっ……♡」


閉じられた。

紗良の上唇と下唇が拒絶するようにリングを包み隠してしまう。

そして次の瞬間には紗良の頬がもごもごと動き出す。

ゆっくりと舌の上で転がし、奪い取った戦利品を確かめるようにうっとりと目を細めていた。


「んっ……♡」


──こくっ……♡


喉が動く。


「おいっ……!」


まさか飲み込んだのか──しかし、そうではなかった。


「ふふっ♡」


喉の奥から彼女の笑い声が響く。

焦る俺を見下ろしながら、紗良はにっこりと笑うと、口を開いた。



「れぇ〜〜♡」


舌の上に銀色の指輪が乗っていた。

紗良の唾液でべったりと濡れた指輪。

綾乃と俺を繋ぐはずの愛の証が、紗良の舌の上で汚されていた。

一瞬安堵するものの、紗良はひとしきり舌の上に捕らえた獲物を見せびらかした後、唇を尖らせて──。


「ぺっ♡」

「あッ……」


鈍く輝く銀色のリングが紗良の桃色の唇から飛び出した。

鮮やかな放物線を描きながらそれは着地する。

ベッドの上、少し手を伸ばせば届きそうなところに指輪が転がっていく。


「ふふっ♡」

「か、返せっ……!」


大切な婚約指輪を、道端へガムでも吐き捨てるかのように雑に扱われたのだ。

無性に腹が立った。

一刻も早く左手に綾乃を取り戻さなければと思った。

そんな思いで右手を伸ばしたものの、紗良の手は俺とは違う方向へと伸ばされていて──。


──むぎゅっ……♡


「あ"ッッ♡」

「んふふ……♡ どこ行くのかな〜?」


仰向けの俺に跨ったままの紗良。

俺の手が指輪に届くよりも早く、紗良の手は迷うことなくまっすぐに股間へ。

スーツパンツの上から、あろうことか、既に硬く反り返り始めている肉竿を握り締めていた。



「か、返せ……♡」


──にぎにぎ……♡


「はぁ……♡ あ"ッ……♡」


紗良の手のひらが、ズボンの上から硬さを確かめるように肉竿を揉みしだく。

その柔らかい感触が直接的な快楽を次々と与えてくる。


「か、返して……それは……」


──にぎにぎ……♡


「はぁ……♡ あ"ッ……♡」

「……♡」


片手に収めた肉竿を揉み込むことで俺の動きを軽々と封じた紗良が、自由な片手を自分の首元へと伸ばす。


「ッ……? な、何を……」


紗良の細い指がネックレスのチェーンを外し始める。

シンプルな銀のチェーン。

彼女がいつも身につけているもの。


「んふふ……♡」


外したチェーンの留め具を器用に外し、紗良は俺の届かない場所に転がった指輪を悠々と拾い上げ、チェーンに指輪を通す。

銀色のリングが細い銀の鎖にぶら下がる。

最後に留め具を首元で直し、摘み上げたそれをしばらくしげしげと見つめた紗良は──。



胸の谷間へと押し込んでしまった。


──むにゅっ……♡


「これでいいでしょ〜♡」

「なッ……♡」


紗良に奪われた指輪。

細いチェーンにかけられたままゆっくりと谷間の奥へ沈んでいくそれは、白い肌に挟まれつつ、二つの豊かな乳房の隙間へとあっという間に埋もれてしまう。


「お姉ちゃんとの愛の結晶……あたしのおっぱいが預かっておきますね♡」


まるで俺が自らお願いしたかのような物言い。

俺が見ている目の前で、姉の綾乃との愛の証が、妹の紗良の肉欲の証の中に封印されてしまったのだ。


「あっ……♡ あっ……♡ あぁぁぁ……♡」


白く豊かな肉丘に埋もれた銀色の指輪。

それはまさに、綾乃への愛そのものが、紗良の肉欲の中へと飲み込まれてしまったかのような光景だった。

肉欲の沼に沈んだ愛の形。

しかし、俺の目はその残酷で背徳的な光景に釘付けになってしまっていた。

未練がましく、手を伸ばそうと。

だが、紗良の左手が、ズボンの上から硬く張り詰めた俺の欲望を、もう一度『ぎゅっ』と握り直した。


──ぎゅむっ♡


「ん"ッ……♡」


たったそれだけで腰が砕ける。

伸ばしかけた腕が力なく落ちる。

指輪を取り返そうという意思よりも、股間を握られた快感が、俺の身体から力を奪っていく。


「ふふっ♡ だ~め♡ お姉ちゃんとの大切な指輪、無くさないようにココに大事にしまっててあげるからね~♡」


まるで呪いのように響く言葉とぼよんと弾む豊かな胸。


「さ、紗良……」

「ん~?♡」


紗良が俺の上から降りた。

柔らかい太ももの重みが離れ、代わりに彼女がベッドの端に腰掛ける。

続いて俺も起き上がろうとするものの、二度三度と股間を撫でつけられただけで抵抗する意思が霧散する。

まるでペットの犬のようだった。


「今日は暑いですね〜♡」


呑気な声。

のびをするように両腕を上げた紗良が、サマーニットの裾を掴む。

俺の目の前で。


「あっ……」


──するっ……♡


まず現れたのは腰。

裾がくしゅっと持ち上がると同時に、デニムのショートパンツの腰回りとニットの裾の間に隠されていた素肌が露わになった。

服の下に隠れていた白い素肌、しかして、そこにあるのは単に白いだけの平らな面ではなかった。

腰骨の辺りは確かに骨のラインが浮いている。

程よく引き締まった括れ。

脇腹から腰骨へかけての曲線は細く、服の上からではわからなかった上体の絞り具合が、こうして横から見るとはっきりとわかる。


そこでふと、今まで紗良の裸を見たことがなかったことを思い出す。


幾度となく密着され、搾り取られ、異質な関係を築いてきたのに、紗良の女体をついぞ目にすることはなかったのだ。

そう思うと心の奥底に眠っていた羞恥心が首をもたげ、思わず視線を伏せてしまう。


「……ッ♡」


だが、紗良の肉付きの良い身体は俺の視線を先回りしていた。

腰の括れから下、デニムのショーパンに覆われた腰回りへかけてのラインは急激に広がっていたのだ。

座った状態で圧迫された臀部が、ショーパンの布を内側から押し広げ、布に収まりきっていない肉が、ショーパンの丈の境目でほんの僅かにはみ出しているのが見えてしまう。

所詮、視線を落ち着かせる箇所なんてないのだ。

そうなると目線は自然と紗良の動きを追ってしまう。


さらに上昇するニット。

露出する脇腹。

肋骨の輪郭が浮きそうな脇腹にさえ、うっすらと柔らかな肉が乗っている。


引き締まってはいるのだ。

いるのだが、紗良は綾乃とは違い、決して痩せ型ではなかった。

その部位に手を当てれば、指は間違いなく沈み込むだろう。

そんな肌の表面には、珠のような汗が張り付き、ホテルの間接照明を拾って艶めいていた。


「ん~♡ ちょっと汗かいてて蒸れちゃってるかも……♡」


紗良が独り言のように呟きながらニットをさらに上へと引き上げる。

そして、ニットがちょうど胸の下まで上がった時だった。

持ち上げられた布地が、豊かな膨らみの下端に接した瞬間、布に引っ張られて一度持ち上がり、そのままバルンっと落下する二つの肉鞠。


──たぷんッ……♡


「ぁッ……♡」


声が抑えられなかった。

立っている時に見る紗良の胸も確かに豊かであることは間違いなかった。

しかし、ななめ下から見上げることで、ベッドの縁に腰掛けた紗良の胸が、前方に突き出すように存在していることを改めて知覚する。

豊かな厚みの立体を十分に把握できてしまうのだ。

単に大きいのではなかった。

胸の下部から先端に向かって緩やかに、しかし確かに盛り上がる曲線。

所謂お椀型と言われる、形の良い乳房の持ち主であることを改めて認識させられる。

腋から中央にかけて寄り集まる肉の密度。

持ち上がったニットの下で、キャミソールの薄い生地に隠された全容を、紗良の胸は俺に見せつけるようにそこに存在していた。


「やっぱ今日は暑いかも~……♡」


釘付けとなった俺の視線に臆することなく、ニットを脱ぎ捨てた紗良の手が、今度は残されたキャミソールの裾へとかかると、それは躊躇なく捲り上げられた。


──するっ……♡


途端、顕になる白磁の素肌をまじまじと見つめる暇もなく、すぐに双丘が視界をジャックする。


「……ぁ」


紗良の豊かな膨らみを支える桃色の布地。

溢れんばかりにミチミチと詰まった肉が、ブラの境界線上で零れそうになっており。

深くて長いIの字を、一直線に描かれた谷間の上には、先程紗良によって奪い去られた銀色の指輪がかろうじて存在していた。

その一点に視線が釘付けになった俺を見て、紗良はクスリと笑うと、人指し指をピンと立て。



──ずぷずぷずぷ……♡


「あぁッ……」


まるで頭を押さえつけるように、指輪を埋没させてしまう。


「ふふ……♡」


さらに人指し指を沈み込ませる、乳肉の中に指輪を取り込んだままゆっくりと指で掻き回し始めた。

もはや指輪は肉の海に没し、見えはしない。

完全に飲み込まれた形。

綾乃との愛の証が、紗良の肉欲の只中で溺れる。


「悠真のことも……。あたしの中に……はぁ……♡」


吐息を僅かに漏らしながら呟く紗良。

そして彼女はゆっくり人指し指を引き抜くと、肉穴から、ぬぽっと抜ける音が脳内に反響する。


「取れなくなっちゃったかも……♡ だってこの部屋暑くて……♡」


言い訳にもなっていない。

汗ばんで湿った胸元にチェーンが張り付き、さらに密室状態となった谷間の奥へと封印された指輪。


「ふふっ……♡ ブラ、外してくれたら指輪も見つかるかもね……♡」


拒否する間もなく、紗良は背中を向ける。

白い背中。

肩甲骨のライン。

ブラのホックが見えていた。


「……」


手が震える。

指輪を奪われた左手。

その薬指には、まだ紗良の唾液のぬめりが残っていた。

綾乃との誓いが消えた指。

そこに残ったのは、紗良の粘液。


「ん〜? 悠真〜♡ 早く〜♡」


急かすように、紗良が身体をよじらせた。

背中のブラのホックへと手が伸びる。

手先に当たる金属の感触。

そして、カチャリとホックが外れる小さな音がた。


「んふふ♡ ありがと〜♡」


振り返った紗良が笑うと同時に、支えを失ったブラの紐が肩から滑り落ちる。

解放された二つの豊かな膨らみが、ぶるんと揺れながら露わになった。


──ぷるんっ……♡


「ッ……♡♡」


紗良の胸。

豊満で、白くて、柔らかそうで、先端は淡いピンク色の蕾が咲いている。

そして谷間の奥には、銀色の指輪が埋もれていた。


「見ちゃったね〜♡」


紗良がくすくす笑う。


「お姉ちゃんの指輪もあたしのおっぱいの中で気持ちよさそ〜♡」


紗良が胸を両手で押し合わせると、谷間が深くなり指輪がさらに奥へと沈んでいく。


「や、かえし……」

「あ、ダメ♡」


手を伸ばそうとした俺の手首を、紗良が掴んだ。


「悠真はあたしを脱がせてくれるんでしょ~?♡」


掴んだ手首を引き、次に紗良は自分の腰へと導く。

ショーパンの腰の部分に指をかけさせられる。



「……ッ」

「ほら♡」


紗良が腰を少し浮かせた。

ショートデニムのホックが呆気なく外れ、ファスナーまでが肉に押されて降りていき。

やがて膝まで降ろされたそれを、紗良は笑いながら蹴り上げた。

はしたなく映るその行為であったが、それよりも、ショートデニムの下から現れた光景に、俺の目は縫い付けられていた。


残りは下着──パンツのみ。

先日、俺の下半身を取り込んでいた太ももの肉感。

今は面積の小さなピンク色の布一枚を残しただけの彼女の脚として晒されていた。

バスの中で何度も押し付けられた弾力。

その現物。

彼女の下着は白い太ももに食い込み、肉が浮き上がるほどキツく食い込んでいる。

それは決して太っているわけではない。

肉付きがあまりにも良すぎるのだ。

細いウエストを見ればわかる。



扇情的なコントラストは俺の股間をさらに興奮させ、ズボンが中から張り裂けそうな程に膨れ上がっていた。


「ねぇ、悠真も脱いじゃったら?」

「……ぇ」


「あ〜、脱がせてあげよっか?」

「い、いや、ぁ……」


立ち上がろうとした。

いや、逃げようとしたのかもしれない。

しかし、それよりも早く伸びてきた紗良の手がネクタイを掴み、クイっと引っ張った。


「んっ♡」


飛び込んだ先は紗良の唇。

豊満な女体にもたれかかるように、唇同士を重ね合わせながら、ベッドの上へ二人揃って倒れ込む。

至近距離で紗良と見つめ合いながらの情熱的な口付け。

すかさず逃さないとばかりに、紗良は脚を絡ませ、膨らんだ股間の上に太ももを乗せてきた。


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」


もたれかかるように押し付けられた柔らかな乳房。

太ももの肉感。

唇の甘さとねっとりとした舌の感触。


「んふふ……♡ 悠真のちんちん……さっきよりもおっきくなってるね〜♡」

「ッ……♡」


囁く声と同時に、股間を布越しに柔らかな内ももでふにふにと揉み込まれ理性のタガが緩んでいく。

バスの中でもそうだった。

紗良に責められることへの期待と悦び。

背徳的なスリル。

今更ながら身体は正直なのだ。

綾乃に謝りたくて、紗良から逃げたくて、でも身体は紗良に触れられるだけで歓喜の声を上げていた。


「ねぇ……悠真……♡」

「……ッ♡」


「あたしと……えっち、したい……?」


紗良の手はするするとネクタイを解いていく。

拒む間もなく、ワイシャツのボタンを外し始めた。

上から順に、ひとつ、またひとつ。


「やっ……やっ……それはッ……♡」

「だって、いいでしょ? お姉ちゃんの指輪もあたしのおっぱいの中に閉じ込めちゃったことだし」


ボタンが外れていく。

露わになっていく胸元に冷たい空気が触れ、背筋が痺れる。


「今日は、悠真にあたしの裸をたくさん見てほしいな〜って……」

「や、やめ……」


「やめない♡」


鎖骨までボタンが外され、胸板が露わになる。

紗良の指先が素肌をなぞる。

湿った指先。

熱い吐息。


「お姉ちゃんはここも触ってくれなかったでしょ〜?♡」



──すりすり……♡ カリっ……♡


指先が左胸の突起に触れた。

布越しに捏ね回されると、今までにない快楽が身体中を駆け巡る。

とっさに俺は紗良の腕を掴んで動きを止めようとした。

しかし、その腕を掴む手を反対の手で掴むと、紗良は嘲笑うように自分の胸へと導いていく。


「それで抵抗してるつもり〜?♡」

「やッ……♡」


──むにゅっ……♡


「悠真のお手々はこ〜こ……♡」


掌を押し付けた先には、吸い付くような柔らかさと張りがあった。

指が勝手に沈み込む。

止めることなんてできない。

紗良の胸に触れてしまった。

自分から。

拒絶のために動いたはずの手が、あっという間に誘惑を受け入れていた。

最初からそのつもりで紗良の腕を掴んだのではないかというくらいに。


「んふふ……♡ やっぱり悠真はおっぱい好きなんだ〜♡」

「ち、違ッ……!」


「違わないよ♡ だって手、全然離してくれないもん♡ やんっ……♡ えっち〜……♡」


甘い声で耳元で囁かれつつ胸の突起を指先でクニクニと。

感じたことのない刺激に腰が浮く。

太ももに押し潰された肉竿はパンツの中で痛いほど熱く硬くなり、欲望が自分の意志とは別の生き物のようだった。

そうしている間にも、紗良の手がシャツを捲り上げていく。


「ね? もう脱いじゃおうね♡ あたしと悠真、おんなじ裸になろ?♡」


「あ"ッ……♡」


──むにゅっ……♡ にぎゅっ……♡ かりっ……♡


「や、やめ……♡」

「やめない〜♡」


耳元で悪戯っぽく笑った紗良の手がズボンのベルトに触れた。


──カチャ。


金属の音がやけに大きく響く。

ベルトが緩む。

ズボンのボタンが外れ、ファスナーが下ろされる。


「んふふ♡ 今日はいっぱいしてあげるからね♡」


──するっ……♡


ズボンが引き下ろされる。

そして下着。

最後の一枚。


「あ……」


股間が露わになる。

硬く反り返った肉竿が、赤く張り詰め、鈴口から先走りを滲ませながら、天を向き、反り返っていた。


「わぁ〜……♡」


──グニュっ♡


「ん"ッッッ♡♡♡」


感嘆の声を漏らした紗良の太ももが肉竿に圧し掛かり、再度俺に快楽の波が押し寄せる。


「悠真も真っ裸だ♡」

「さ、紗良……ッ♡」


「ん〜♡」


仰向けになった俺の肩に、すっぽりと身体を収めてきた。

素肌と素肌が密着する。


──むにゅっ……♡


豊満な胸が胸板に当たる。

潰れて広がった胸と胸の間から、先ほどの指輪が転がり落ちそうになるものの、しかし俺の思惑に反して紗良に見つかってしまうと、『ふふっ』と小さく笑った紗良がまたもや人差し指で押し戻してしまう。


「これ、あたしのものになっちゃうかもね♡」

「かえせ……♡」


「え〜? それってあたしが悠真のものになるってこと〜?♡ それとも指輪のこと〜?♡」

「ふ、ふざけっ……! ゆ、指輪に決まって……ッ♡」


「ふーん、つまんないなぁ〜……。じゃあ、またあとでね?♡」


耳元での囁きと共に耳に唇が触れる。

怒気を込めた俺の反論は、耳元の甘い声にかき消された。


──ちゅ……♡ ちゅぱ……♡ れろぉ……♡


「ん"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「んふふ……♡」


耳元での甘い囁きと密着した身体の温もり。

紗良は自分の身体を俺の右腕に巻き付け、豊満な胸を俺の胸板に押し付けながら耳元で囁く。


「悠真……♡ きもちぃ?♡」

「ッ……♡」


答えられない。

気持ちがいいに決まっている。

紗良の柔らかくて温かい身体に包まれているのだ。

肌と肌の触れ合い。

密着した乳房の感触。

絡みつく太ももの肉感。

鼻腔を満たす甘い匂い。

鼓膜を震わせる囁き声。


全てが快楽として俺を包み込んでいた。

綾乃との行為とは違う。

もっと生々しくて、甘くて、背徳的で。

そして何より──。


「ねぇ……悠真……♡」

「ッ……♡」


「あたしの身体……好き?♡」

「ッ……♡」


「お姉ちゃんのより……きもちいい?♡」

「ッ……♡♡♡」


その問いかけに身体が震える。

答えろと言うのか。

そんなの──比べるなんて──でも──。


「んふふ……♡ おちんちんはあたしの方が好きだってさ〜……?♡」


紗良の視線が下へ向く。

その先にあるのは太ももの柔肉で押し潰されて、ピクピクと小刻みに震える肉竿。

紗良という女体に絡み付かれて、助けを求めているかのようにも見えた。


「……ッ♡ なに勝手に……」

「悠真のココは悠真よりよっぽど正直だもんね〜♡ ず〜っとあたしの太ももに好き好き〜って……ね〜♡」


──むにゅっ……♡ すりすり……♡


太ももがゆっくりと上下に動き、肉竿に刺激を与える。

張り詰めた竿の浮いた血管を押し潰しながら、内ももの柔肉が行き来すれば、情けないことに鼻から甘い吐息が漏れてしまう。


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡」

「声、堪えてる〜♡ かわい〜……♡ ほら、好き好き〜って大きい声で言ってごらん?♡」


ダメだ。

負ける。

そう思うのに。

紗良の身体の温もりが、匂いが、心臓の鼓動が、俺を浮かび上がらせていく。


「さ、紗良……♡」

「ん〜?♡」


「ち、近い……♡」

「近い? 今更でしょ♡ それに……♡」


──ぎゅむっ……♡


もっと近づいてきた。

全裸の紗良が、自らの乳房を押し付けながら、俺の体の上に覆い被さってくる。

鼻先が触れるほどの距離。

髪が頬を撫でる。


「ね? これで抵抗とかやめよ?♡」

「やっ……そのっ……♡」


「もっと気持ちいいことしてあげるから♡」


後頭部に回された手。

引き寄せられ、顔が胸へと導かれる。

真っ白な谷間が迫る景色がスローモーションで流れていく。

視界が最後に捉えたのは、谷間の奥で鈍く光る銀色のリングだった。



「ん"ッッ♡♡♡」


顔が柔らかな胸の中に埋もれる。

甘い匂いが充満し、温かい肉の感触が顔を包み込む。

やわらかく、優しく、それでいて息ができない程の圧力。


「ん"ッッ♡♡♡ ん"ッッ♡♡♡」


声を出そうとも吸い込まれる。

股間には相変わらず太ももの重みがあり思考がまとまらない。


いい匂い。

柔らかい。

なんだろう、これ……頭の中が白くなっていく。

気持ちいい。

気持ちがいい……。


「ふふ……♡ あたしのおっぱいに窒息させられそうになってる……♡ 悠真、かわい〜……♡」

「ん"ッ……♡ ん"っ……♡」


空気を求めて顔を離そうと首を動かしても、後頭部を抱き締めた腕がそれを許さない。

呼吸をするたび鼻を甘い香りが突き抜けていく。

肺胞のひとつひとつ、隅々にまで紗良の甘い匂いが染み込んでいく。

酸素を求めるたびに、匂いが染み込んでいく。


「はい、深呼吸して〜♡ す〜〜は〜〜♡」

「ん"ッ……♡ ん"ッ……♡」


──すぅ〜〜〜♡♡♡


深呼吸をした途端に鼻腔いっぱいに広がった甘美なる芳香。

以前嗅がされたカーディガンに染み付いていた匂いの数倍濃い匂い。

汗ばんだ素肌の匂いに胸の谷間に溜まった熱気。

そこに、紗良のおっぱい特有の甘ったるい匂いが混じり合い、脳髄まで痺れさせていく。


耳元で甘く囁く声。

胸の柔らかさと体温。

太ももの肉感。

鼻から抜ける匂い。

全身が紗良という女に押し潰されて……それが何よりも心地よくて──。


「〜〜〜♡♡♡」


目眩がした。

脳の奥がピンク色に、紗良一色に染まっていく心地。

全身が痺れる。


抵抗できない。

いや。

したくない。


紗良の胸に顔を埋めさせられ、紗良の太ももで股間を押し潰され、紗良の匂いを肺の奥底まで吸い込んでいる今の俺に……もう言葉はいらなかった。


もう。

何も。

考えられない。


ただ──。


「んふふ……♡ 悠真……♡ 好き♡」

「〜〜〜♡♡♡」


耳元で紗良が囁く。

紗良の太ももがゆっくりと動く。

紗良の手が全身を弄ると同時に、手のひらが這った跡がぞわぞわと疼き出す。


「好き……♡ 好き……♡ 好き……♡」


一貫して好意を伝えてくれる紗良。

鼓膜を震わせる『好き♡』という言葉が脳神経を犯していく。



「好き……♡ 好き……♡ 好き……♡」


洗脳されている。

その自覚はあった。

『好き♡』という言葉と女体の快楽。

それが結びついてしまう、強烈な洗脳だ。


「好き……♡ 好き……♡ 好き……♡」


だがそれがどうしたというのか。

洗脳だと自覚したところで止められない。

彼女に触れられれば快楽が与えられ、同時に耳元で囁かれる。

これが彼女の思い通りなんだとわかっていても、全身を弄る彼女にどんどん開発されたとしても、身体は正直だった。

快楽は全てにおいて優先される。

理性より本能が勝る。


「んぁッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん〜♡ 好き……♡」


胸の中でどれだけ彼女へ訴えかけようとも、押さえ込まれて耳元でそれ以上の愛を囁かれる。


「んふふ……♡ あたしが、一番……♡」

「ん"ッ……♡♡♡」


愛する綾乃の顔が頭から離れていく。

代わりに今、脳裏に浮かんでいるのは、俺の頭を抱える紗良の恍惚とした顔。

指輪を奪われ、紗良の胸の中に閉じ込められ、紗良の太ももの柔らかさに圧迫され、紗良の胸の感触と匂いで思考は停止、理性のタガはとっくに外れていた。


「好き……♡ 好き……♡ 好き……♡」


──にちゃ……♡ にちゃ……♡ にちゃ……♡


耳元で絶え間なく囁き続けられる『好き♡』という言葉。

それだけでなく、次第に耳の穴にも舌先を侵入させられ、脳に直接快楽信号が送り込まれてくる。

抵抗も言い訳も。

愛する綾乃への想いも。

全てが、紗良の甘い快楽で押し流されていく。


「お手々で、シてあげるね? 悠真、これ好きだもんね♡」

「ん"ッ……♡♡♡」


──にぎにぎ……♡ にぎにぎ……♡ にぎにぎ……♡


太ももの拘束から解放された肉竿に、紗良の右手が包み被さった。

直接の接触。

柔らかい掌の感触。

包み込む指先の微細な動き。

指の腹がそれぞれバラバラに動き、裏筋をなぞり、カリの裏を撫で回しながら先端をくすぐり上げる。

何度体感させられたかわからない、紗良の手淫。

俺の弱点を知り尽くした極上の手管。

与えられるのは、ただただ己が敗北を知るための快楽だった。


──すりすり……♡ すりすり……♡ くちゅくちゅくちゅ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"ぁ……♡」

「ふふっ♡ イイ声だね〜♡ もっと聞かせて?♡」


──にちゅ……♡ にちゅ……♡ にちゅ……♡


手のひらの肉づきが、限界まで張り詰めた肉竿の凹凸を味わい尽くすように扱かれる。


「ん"ッ♡ ん"ぉ♡」


口元を埋められたまま襲いくる快楽に、呼吸困難に陥っていく。

胸の重みで目が回る。

くらくらする。

鼻から吸い込む空気は甘く熱く、酸素が足りない。

それなのに、股間から流れ込む快楽が俺の全身をビクビクさせて、血中の酸素の無駄遣いを促していく。


「んふふ……♡ 悠真のちんちん、もっと大きくなった〜♡」


手の中で暴れる肉竿が、紗良の掌を堪能しようと大きくなっていく。

今の俺は紗良の手の中に収められた肉竿そのものだった。


──すりすり……♡ にぎにぎ……♡ くちゅくちゅくちゅ……♡


「あ"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


紗良の舌が耳の穴の中を掻き回す音と、肉竿が扱かれる音が頭蓋の奥で響き渡る。

我慢なんてできるはずがなかった。

腰の奥からふつふつと湧き上がる射精感が、暴走した機関車のように加速していく。

止まらない。

止められない。

俺は、俺は、俺は──ッッ♡♡♡


「──は~い、ぴゅっぴゅはダメですよ〜♡」

「ん"ッ……♡」


──すっ♡


「あぁぁ……♡♡♡」


紗良の手が止まり、肉竿から離される。

行き場を失った快楽が腰の奥で暴れ出す。


「あぁ……♡ あぁぁ……♡」


なんで。

なんで止める。

なんで止めるんだ。

あと少し。

あとほんの少しで──。


「今勝手にイこうとしたでしょ~?♡ ダメだよ~? 勝手しちゃ……♡ 悠真のおちんちんの射精のタイミング、悠真以上に把握しちゃってるんだからね~?」


ケラケラと笑う声。

掌から伝わっていたはずの温もりは遠く、しかして昇り詰めた射精感が引くことはなかった。

股の間に差し込まれた太ももが、睾丸の表面のみを絶妙に撫でていたのだ。

だからこそ、根元から湧き上がる射精感が収まることなく、ただ行き場を失くして下腹部を彷徨っていた。


「ん"ぁ……♡」


紗良の胸に押し潰されたまま、脳裏に浮かぶのは射精の二文字。

言葉を奪われ懇願することすら許されぬまま、紗良の胸という極上の揺り籠の中で、紗良という存在のみを刷り込まれていく。


「悠真~……♡」


甘く名前を呼ばれる。

顔面に押し付けられた胸が少しだけ持ち上がる。


目の前には紗良の顔があった。

至近距離、垂れ下がる前髪、潤んだ瞳と歪んだ唇。

俺を見下ろす紗良の表情はひどく淫靡だった。


「あたしのこと、好き~……?♡」

「……ッ♡」


ここで答えを間違えるわけにはいかなかった。

この前の式場の下見の時のように、ただただ言葉で伝えればいいだけ。

それが本心でなくとも、とにかくこの場は──ッッ♡


「す、好き……♡」


答えた。

紗良の望む通りに答えたんだ。

だから、だから、射精を、一刻も早く、射精を、──ッッッ♡♡♡


「──しょうがないな〜♡」


そう囁いた紗良の一本の指の腹が竿の根元に触れた。


「ん"ッッッ♡♡♡」


それだけなのに、一度寸止めされ射精をお預けにされた肉竿がビクンっと大きく脈打った。


「ひとぉ〜つ♡ ふたぁ〜つ♡ みぃ〜っつ♡ ………♡」


揶揄うような紗良の声と共に、細長い指が一本一本巻き付いていく。

一本また一本と指が増えるたびに肉竿への圧迫は強まり、これ以上ない程に高まった射精感が、指の締め付けと共に一点へと絞り上げられていく。


「いつ〜つ……♡」


──ぎゅむっっっ……♡♡♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


射精させてらえる──。

そう思っただけで、快感が倍増し肉竿の震えが止まらない。

紗良の手の中で脈打つ肉竿は既に限界まで高まっていた。


「ゆぅ〜っくり……ゆぅ〜っくりね〜……♡」


──にゅくっ……♡ にゅくっ……♡


聞き分けのない子どもへとまるで言い聞かせるように、小さく小さく囁いた紗良の手が、上下に動き出す。

上へと引き絞るような動きと共に、ほどよく調整された握力が手の中の柔らかさと凹凸を強調し、下へとくだっていく際には締め付けを緩めて開放感を与えつつ、睾丸の奥底で爆ぜる精子の通り道を作っていく。

男の生理現象の制御を奪い取っていくよう俺専用に形作られた手淫。

肉竿の限界点を狙い澄ましたかのような的確なストローク。


堪えようとしても言葉にならない。

手のひらに蓄えられた温もり、ゆったりと扱かれるリズム、絡み付いてくる指先の動き。

気持ちがいいというそれだけが頭の中を支配する。

心臓がはち切れんばかりに強く脈打ち、紗良に押し潰された全身がビクビクと震えていた。



「んふふ……♡ イク〜?♡」


──にゅくっ♡ にゅくっ♡ にゅくっ♡


「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ さ、紗良……ッ♡♡」


射精の瞬間が近づいている。

全身が強張り、指の先端までが痙攣する。

その様子を目を細めた紗良にじっと見下ろされ、散々に植え付けられたマゾ快楽を呼び起こされて。

俺は……俺は……もう……ッッ──♡♡♡


──すっ……♡


紗良の手が、離れた。

寸前。

放物線の頂点から射出されるまさにその寸前で、ゆっくり扱き上げた紗良の手が肉竿から抜けていったのだ。


「ん"お"ッッ♡♡♡」


身体は射精の衝動を求めて、勝手に腰を浮かし、肉竿が紗良の手を追いかける。

そんな俺の情け無い姿を見て、紗良が笑う。

くすくすと、天使のように朗らかに。


「な、なんっ……なんでッッ……♡♡♡」

「なんでって……さぁ〜……?」


紗良の顔が近づいてくる。

視界の端に映るたわわに実った乳房の谷間。

その奥で鈍く光る銀の指輪が溢れそうになっていて。


「悠真が勝手に射精しようとしたからだよ〜?」

「ち、ちがッ……! さ、紗良が……♡ 紗良が、イかせてくれるって……♡」


「はいはい、そうでしたね〜♡ でもさ〜?」


──さわさわ……♡ さわさわ……♡


紗良の掌が、張り詰めた肉竿の表面を優しく、軽く、羽毛で撫でるかのように触れ始めた。


「あたしが『イカせてあげる』って言ったのは……悠真があたしのこと『好き』って言ったからだよね〜?」

「う、うん……♡」


「じゃあ、悠真は……さっきの『好き』は本心?」

「そ、それは……♡」


「ふふっ♡ 答えられないんだ〜♡ やっぱり嘘だったんだ〜♡」

「ち、違ッ……! 違うッ! 嘘じゃ……ッ♡」


「じゃあ、何?」

「ほ、本当に……♡ 紗良のこと……好きだって……♡」


震える声で紗良に告げた。

『嘘じゃない』と。

すると、嬉しそうに微笑んだ紗良が耳元に唇を寄せてくる。

熱っぽい吐息が耳の穴を撫でる。


「……嘘つき♡」



薄っすらと、しかし、ハッキリとそう告げられた──。


怒られるでもなく否定されるでもなく、面白がられるでもなく……ただただ見抜かれていた。

男の見苦しい命乞いのように、股間をヒクつかせながら媚びへつらい、安い口約束を交わしたことが白日のもとへ晒された。

彼女は俺を理解した上で、俺のその薄っぺらい口車を『嘘つき♡』の一言で嘲笑って見せたのだ。


「嘘じゃッッ……♡」


あまりに残酷なその一言に胸がギリギリと締め付けられ、視界が歪む。

最後に見えた紗良の口元の笑みが断頭台のギロチンのように見えたのは、きっと俺の被害妄想などではなく、現実に彼女は俺という人間の浅ましさを断罪したのだ。


「ん"ッ……♡ くッ……♡」


無意識のうちに俺は顔を背けようとしていた。

だが後頭部を抱えていた紗良の手がそれを許さない。

そのまま耳元に紗良の唇が触れる。

あたたかく湿った吐息が触れる。


「悠真……♡ 悠真は嘘つきだね♡」


「あたしのこと好きって言ってたのに……♡」

「ッ……♡」


「でも……♡」


紗良の声は少しだけ低くなった。

耳元で囁かれるその声は甘く湿っていて……頭の芯を直接揺さぶる響きを持っていた。


「あたしは悠真のこと……大好きだよ♡」

「〜〜〜ッッ♡♡♡」


真っ白になる頭の中。

そして、耳元で囁かれた『大好き♡』という言葉と同時に──。


──にぎゅぅぅぅっ……♡♡♡


「あ"あ"あ"ぁぁぁ……♡♡♡」

「好き……♡ 好き……♡ 好きだよ♡」


──にゅくっ……♡ にゅっ……♡ ぬちゅっ……♡


紗良の唇が俺の耳元で好意を囁き続けながら、緩やかな手淫を再開させたのだ。

強弱のない一定のリズムで上下にゆっくりと扱かれる肉竿。

耳元で囁かれる好意。

全身を包み込む紗良の体温と匂い。

全てが同時に与えられ脳の処理が追いつかなくなっていく。

頭の中が紗良の色へと染められていく。


「〜〜〜ッッ♡♡♡」

「ふふっ……♡ ダメだよ〜? 勝手に出そうとしちゃぁ〜……♡」


しかして、絶頂の間近でまた紗良の手は離れていく。

寸止め。

何度目だろうか。

限界まで高められた射精感が行き場を失い下腹部を彷徨う。

もうどうにでもなれ。

もうどうでもいい。

早く出させてくれ。

そう思っていると──。


「ねぇ……悠真……♡」

「ッ……♡」


耳元の声。

ただならぬ響き。


「あたしの中に……挿れたい……?♡」

「ッッッ!?♡♡♡」


心臓が止まるかと思った。

挿れたい。

挿れたいに決まっている。

今日はこの日まで、紗良によって散々開発された身体は、紗良に許されればすぐにでも限界に達してしまう状況にまで陥っていた。

その紗良が『挿れたい?』と聞いてきたのだ。

挿れる、それ即ち射精のこと。

そんなのもちろん挿れたいに決まっている。

俺の身体は紗良の命令ひとつで勃起し、紗良の言葉ひとつで射精を求める機械になってしまっているのだから。


しかし一方で綾乃の顔が脳裏をよぎる。

綾乃と結んだ堅い約束。

婚約の契り。

『挿れてしまう』ということは、明らかな不貞行為だ。

そうならないよう……せめて最後の一線は越えないよう、自らに誓ったはずだった。

なのに──。


「あたしの中に……挿れたい……?♡」


甘く、たおやかな声が脳裏を焼き尽くしていく。


「ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん〜?♡」


紗良の顔が近づいてくる。

潤んだ瞳。

桃色の唇。


「ねぇ……悠真……♡」


「あたしのおまんこに……挿れたい……?♡」


答えられない。

答えられないのに身体は正直だ。

肉竿は痛いほどに脈打ち、紗良の秘裂に触れたいと、先走りを垂らしながら震えている。

紗良の中に入りたい。

紗良のぬくもりに包まれたい。

紗良の深い深い場所で射精したい。


だが……だが……だが……ッッッ♡♡♡


「──じゃあこのままずぅ〜っと、寸止め〜♡」

「あ"ッッ♡♡♡ 待っっっ──♡♡♡」


──むにゅぅぅぅ……♡♡♡


楽しそうに笑った紗良が突如、上半身を倒したことによって、顔面に覆い被さった豊満な乳房が俺から発言の機会を奪い去る。

同時に肉竿が温かくて柔らかい肉に包まれていくのがわかった。

体勢を変え俺に乗り上がった紗良が足を伸ばし、今度は太ももで竿を挟み込んだのだとわかったのは、柔らかな肉が微動し始めたからだった。


──むにゅ……♡ すり……♡ むにゅ……♡ すり……♡


「〜〜〜ッッ♡♡♡」


顔面はおっぱいに埋もれ、股間は太ももに包まれている。

太ももで責められているのだとわかっているのに、酸素が十分に行き渡らない脳内では、紗良の膣内に挿れられているという錯覚が起こっていた。

性交と見分けがつかないほどの密着感。

濡れそぼった秘裂が肉竿の上側に密着し、布地一枚を隔てて、しかして確実に熱が伝わってくる。

それが熱く濡れた狭い場所へと誘われているようで、まだ見ぬ快楽への渇望が脳内で花開く。


しかして紗良は、その自らの豊満な巨峰で俺から発言の機会を奪ったまま、女体で押し潰した獲物の耳元でただただ愛を囁き続けるのみで。

紗良の唇から何度も繰り返される『好き♡』という言葉と、太ももの隙間で擦り潰すように捏ね回される肉竿への快楽とが、一緒くたになって脳内を満たしていく。


──紗良……♡ 出るっ……♡ 出るッッ♡♡♡


封じられた口の代わりに脳内で必死に訴えたところで、返ってくるのは無慈悲な寸止め。

どういうわけか絶頂のタイミングを完璧に把握している紗良は、本当にその間際のところで太ももの締め付けを緩めてしまう。

ならばと抗議と嘆願の意味を込めて腰を突き出してみるものの、肉の海を突き進む竿が少しでも絶頂の気を見せれば、すかさず圧迫は緩められ、耳元からクスクスと小馬鹿にしたような笑い声が響いてくる。


「あ〜あ……♡ また勝手にイこうとしたね〜?♡」

「〜〜〜ッッ♡♡♡」


耳元の声。

甘く、柔らかく、そして残酷な声。

紗良の太ももで包み込まれた肉竿は、限界をとうに超えているはずなのに、紗良から射精の許可が下りない限り、どんなに快感が高まろうと決して自ら吐き出すことはできなかった。

紗良の掌の中でたっぷりと焦らされ、紗良の太ももの隙間で存分に煽られた末に、幾度となく寸止めの限界に達してしまった肉竿は、紗良の太ももの少しの動きに合わせて小刻みに震え、射精の衝動を紗良に訴え続けていた。

それに加えて耳元で囁かれる愛の言葉がぐるぐると脳内を駆け巡り、いよいよ頭がおかしくなっていく。

それもそのはず、この状態でたっぷりと1時間。

いや、俺はいつからいつまで紗良の下敷きになっているのか、もはや自分ではわからないほど。

快楽によって空っぽになった頭の中に注がれていく紗良の言葉、紗良の愛。

半ば洗脳じみた行為によって、ひたすらに刷り込まれ続けた偽りの愛が、踏み越えてはいけない一線を、今踏み越えさせようとしていた。


──挿れたい挿れたい挿れたい♡♡♡


脳裏で呪詛のように反響する『挿れたい♡』という言葉。

何も考えられない。

射精を延々とお預けにされて、ただ挿れたいという欲望だけが俺を埋め尽くしていく。

綾乃への愛。

倫理観。

罪悪感。

そんなものはもうとっくに──。


「〜〜〜ッッ♡♡♡」


「んふふ……♡ じゃ、そろそろもう一回聞いてあげよっかな〜♡」


太ももの締め付けが緩む。

代わりに紗良の上半身が起き上がり、顔面を埋めていたおっぱいが離れ、紗良の顔が見えるようになる。

相変わらずの潤んだ瞳と歪んだ笑み。


「あたしの中に……挿れたい……?♡」


紗良の問いかけ。

それはまるで、暗闇の真っ只中に垂らし堕とされた救いの糸のようだった。


「ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん〜♡?」


「……挿れたい……♡」


紗良の顔が歪む、歪む、歪む。

極上の笑み。


「もっと……♡」

「え……♡」


「もっとちゃんと言って♡ あたしの中に挿れたいって♡」

「……紗良の中に……♡」


「うん♡」

「挿れたい……♡」


「あたしのどこに?♡」

「……紗良の……♡ おまんこに……♡」


「ふふっ♡」


紗良の目と口が三日月のように細められる。

獲物を見下ろす捕食者の目。

いやむしろ、迷い込んだ仔羊を愛玩する魔性の笑みというべきか。


「じゃあ……♡」


──むにゅり……♡


紗良が体重をかけてくる。

柔らかな胸と腹とが押し付けられて、汗とそれ以外の体液とが混ざったぬるぬるの太ももが股間を撫でる。

秘裂の熱が肉竿の付け根に触れたかと思うと紗良はそのまま俺に覆いかぶさるようにして耳元で囁いてきた。



「お姉ちゃんの婚約者のおちんちんを〜……♡ お姉ちゃんの妹のおまんこに挿れて欲しいんだぁ〜……?♡」



「──ッッッ♡♡♡」


肌という肌がゾワゾワと粟立った。

耳元で囁かれた背徳の言葉は俺の理性を完全に焼き尽くし、脳内の倫理観を粉々に砕いたのだ。

紗良の言葉は甘く、そして毒のように俺を犯す。

この上ない背徳感に身体が震え、性欲という原始的な衝動が俺の全てを支配していく。

もはや限界だった。

もうどうでもよかった。

ただ、ただ紗良の中へ──。


「お願い……♡ 挿れて……♡ 紗良の中に……♡」

「あたしの……おまんこに……♡」


「あぁ……♡ 紗良のおまんこに……♡ 挿れたい……♡♡♡」


限界まで焦らされ、寸止めを繰り返され、心身ともに疲弊した俺の口から紗良が待ち望んだ言葉が溢れ出る。

紗良は満足そうに笑うと、ゆっくり腰を浮かせ、人差し指で下着をずらした。

そこから溢れた蜜が糸を引く。

そして紗良は俺の上に跨ったまま、秘裂が肉竿の上に触れる位置へと腰を下ろしていき──。


「〜〜〜ッッ♡♡♡」


──むにゅ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」

「んふふ……♡ 挿れるかと思った〜?♡」


──すりっ……♡ すりっ……♡


紗良の濡れた秘裂が肉竿に直接触れる。

熱と湿り気とぬめり。

が、しかし違うのだ。

これではないのだ。

挿入と見分けがつかないほどの密着度なのに、肉竿は決してぬかるみに包まれることはなく。

所謂、素股と呼ばれる行為。

ぬちぬちと紗良の入り口が肉竿の表面を舐めしゃぶる癖に、その中へと導かれることはなく、太ももの肉と肉の隙間でゆっくりと擦り上げられる。



「あたしの中には挿れてあげないよ〜♡」

「あ"ッッ♡♡♡ う、嘘……♡ さらぁッッ♡♡♡ いれてくれるってぇッッ♡♡♡」


──ぬちっ♡ ぬちっ♡ ぬちっ♡


「ふふっ♡ だってよく考えたらこのまま挿れたら赤ちゃんできちゃうかもだし〜? そもそもえっちなんかしちゃったら、完全に浮気だしね〜? それにぃ、お義兄さんはお姉ちゃんのこと愛してるんでしょ〜?♡」

「〜〜〜ッッ♡♡♡」


残酷な、それでいて矛盾した言葉。

今更何を言っているんだ??

ここまで俺を追い詰め寸止めにして散々焦らした上に、懇願までさせておきながら挿れさせてくれないなんて。

あまりにも無慈悲で残酷で、崖から突き落とされた心地に陥るものの、言い返せない俺がいた。

事実挿入してしまえば完全な不貞行為だ。

素股だって不貞行為であることには変わりない。

しかしどうしてもその一線だけは越えられない心の壁がある。

だがしかし、それをやっとのことで踏み越えた俺は……紗良の巧みな誘導によって踏み越えさせられた俺は……俺は……俺はぁ……ッッ♡♡♡


「あははっ♡ あと一時間このまま射精我慢できたら今度はマジで挿れてあげてもいいよ〜?♡」

「あ"ッ……♡ い、いい、一時間!?」


「そ〜♡ 一時間♡ このまま悠真のちんちんあたしの太ももで挟んで、えっちするみたいに、ぱんっ、ぱんっ、ぱんって叩きつけてあげながら〜♡ 耳元であたしが悠真のこと好き〜♡って言い続けてる間〜♡ 我慢できたらあたしの中に挿れてあげてもいいよ〜♡」


──ぬちっ♡ ぬちっ♡ ぬちっ♡


紗良の素股の動きが加速する。

秘裂の熱とぬめりが肉竿のカリを執拗に擦り上げていく。


「あ"ッ……♡ あ"あ"ッ……♡♡♡」


無理だ、耐えられるはずがない。

事実、今の状態ですら既に精は溢れかけている。

睾丸の奥底でグツグツと煮えたぎったマグマのような白濁が、放出を今か今かと待ち望んでいる。

それを今から一時間も我慢しろというのだ。

今の今まで寸止めを繰り返し限界まで高められた肉体には到底無理な話だ。


「さ、紗良……♡ お、おねがい……♡」

「ん〜?♡ 何〜?♡」


「い、挿れて……♡ お願いだ……♡」

「え〜? さっき言ったじゃん? あと一時間我慢できたら挿れてあげるって〜♡」


「そ、そんなの無理だ……♡ もう……もう限界だ……♡」

「ん〜……じゃあ……♡」


紗良の動きが止まる。

素股の摩擦が消え、反対にゆっくりと締め上げられて。

近づいてくる紗良の顔。

潤んだ瞳に見下ろされ、歪んだ唇から甘い吐息が吹きつけられる。






「イケよ♡」

「──ッッ♡♡♡」


──びゅくッ……♡ びゅくッ……♡ びゅるるるッ♡♡♡


呆気ないほど一瞬だった。

甘く囁かれた禁忌の言葉に、身体は従うしかなかった。

張り詰めた肉竿から今まで我慢してきた白濁が一気に噴き上がる。

何度も出された。

どくどくと脈打つ肉竿から堰を切ったように大量の精液が溢れ出ては紗良の太ももを伝い、シーツを汚していく。


「ん"ッッ♡♡♡ あ"ッ……♡ あ"あ"ッッ♡♡♡」

「んふふ……♡ やっぱり出しちゃいましたね〜♡ じゃあ、このまま……♡」


──むぎゅぅぅぅ〜〜〜♡


「〜〜〜ッッッ♡♡♡」


全身にのし掛かってくる紗良の女体。

太ももと太ももの間で、肉竿はほどよく締め付けられ──。


「イケ♡ 好き♡ イケ♡ 好き♡ イケ♡ 好きぃ……♡ イケっ……♡」


耳元で囁き続けられるイケと好きの二重奏。

好きという言葉と共に射精の命令を注ぎ込まれ、身体は従順に反応してしまう。

脳内が紗良に書き換えられていく。

自らの意思で紗良と身体を重ねるかのような錯覚を植え付けられ、思考回路を紗良の色へと染め上げられていく。


──紗良ッッッ♡♡♡


──びゅるるるッッ♡♡♡ どぷどぷどぷッッ♡♡♡


紗良の太ももの隙間で一度漏れ出し始めた精液はとどまる気配がなかった。

何度出しても少しも穏やかになっていく気配はなく、むしろ身体の奥からより強い快楽がせり上がってくる。

助けを求めて身をよじろうとも、紗良の女体に圧し潰された身体は彼女の下から脱する力を既に失っていた。

時折力を込めてみるものの、ふふっと笑った紗良によって太ももと太ももの隙間を少し狭められ、そのまま二度三度と腰を叩きつけられてしまえば俺の身体はあっさりと屈服する。


──ばちゅッ♡ ばちゅっ♡ ばちゅッ♡


「〜〜〜ッッ♡♡♡」


紗良が耳元で囁きながら腰を動かすたびに肉竿が擦れ、肉竿から放たれた精液と汗と紗良の蜜とが混ざり合い卑猥な水音を奏でていた。

精液を吐き出し続け疲弊しきっているはずなのに、紗良の太ももが動くたびに強烈な快楽が走り射精の衝動が止まらない。

もう出るはずがないのに出る。

出たばかりなのにまだ出る。

異常なほどの連続射精。

身体の中身が全部抜け落ちてしまいそうだった。


「自分で腰振ってもいいよ~♡ あたしはこうして好き好きって囁き続けててあげるから~♡」


紗良の言葉に反射的に腰が動いていた。

自ら紗良の太ももの間に肉竿を擦り付けていく。

今まで紗良が与えてくれた快楽を、今度は自分から求めてしまう。


──ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡


「んふふ……♡ こうしてると、ほんとにえっちしてるみたいだね~♡」


紗良の太ももの肉感と熱。

秘裂の湿り気。

耳元で囁き続けられる好意。

全てが混ざり合い、快楽の波が押し寄せる。

もう止まらないし止められない。

俺は自ら腰を振り、紗良の太ももに擦り付けて射精を求めているのだ。

紗良の中へと挿れたくて、挿れたくて。

だけれども最も距離の近い太ももの隙間で精を吐き出す。


──びゅくっ♡ びゅくッ♡ どびゅるッッ♡♡♡


「好き……♡ 好き……♡ 好き……♡」

「〜〜〜ッッ♡♡♡」


耳元で囁かれる『好き♡』という言葉と共に、射精の衝動が波のように押し寄せては引いていく。

紗良の太ももに腰を打ち付けるたびに、脳内の綾乃の顔が薄れ紗良の顔が重なっていく。


「好き好き好きぃ~……♡ んふふ……♡ 大好きぃ~♡」


打ち付ける腰が一向に止まらないのを見て、紗良が笑う。

もはや自分が何をしているのかさえ曖昧だった。

ただただ、紗良にしがみつき、腰を振る。

これ以上離れたくないとばかりに両手に力が籠ってしまう。

全身を包む紗良の肌は暖かく、口から吐き出される好意は甘く──。

紗良の柔らかさ、温もり、匂い、好意。

全てが混ざり合って、頭の中を完全に埋め尽くしていく。


──好き……♡ 好き……♡ 好き……♡


耳元で囁かれるたびに快楽の波が押し寄せ射精を繰り返す。

もう何も考えられない。

綾乃への愛も、罪悪感も、倫理観も。

全てが紗良の快楽という甘い毒で溶かされていく。


──〜〜〜ッッ♡♡♡


目の前がチカチカして光の粒が見えるようになる。

限界を超えた快楽を摂取し続けた結果、意識はふいに途切れていったのだった──。


………

……

…

##P18 ペアリングの影響@サク抜き手コキ


紗良とのデートの後、どう帰ったのか、いつ帰ったのか……全く記憶には残っていなかった。


その代わり残っていたのは紗良との濃密な接触。

事後もなお、紗良は動けない状態の俺の上に跨り、あろうことか69の体勢に。

そのまま睾丸を揉み解しながら竿に吸い付き、一滴も残さんとばかりに精を啜り上げていったのだ。

何が何だかわからないまま、ふと意識が戻ったのは自宅のベッドの上だった。


そんなラブホデートから数日後。

俺は自宅のバスルームで鏡に映る自分の姿を見ながら深い溜め息を吐いた。

目の下の隈。

明らかに浮ついた足取り。

心配する綾乃には『仕事で疲れているんだ』という嘘の言い訳をするばかり。

当然、罪悪感で押し潰されそうになる。

会社でも仕事が手につかず、打ち合わせ中に何度も上の空に。思い出すのは紗良の太ももに挟まれながら射精し続けた時の快楽。


『悠真……♡』


あの舌足らずな声で名前を呼ばれるたびに、背筋に電流が走るのを感じていた。


……ダメだ。

これじゃダメなんだ。


俺の心を埋め尽くす紗良の残り香に、綾乃への愛が圧し潰されてしまうようで。

逃げ出すようにバスルームの扉を開け、廊下へと出ていく。


(紗良……のせいで……)


心の中で紗良を責める言葉はすでに砂上の楼閣も同然であると気づきながらリビングへと足を向ければ、ソファに座っていたのは綾乃ではなく──。


「んふふ♡」


お風呂上がりのラフな格好のまま、右手の薬指につけたペアリングをいじりながら俺を見つめる妹の姿があった。

それを見て急速に思い出す。

あの時取り付けられた約束を。

紗良がペアリングを嵌めていれば、それは『淫らなことをしてあげる♡』という隠された合図であったことを。

全身を紗良のフェロモンに犯され尽くした今、その条件付けはもはや本能と言っても差し支えのないものへと昇華されていた。


──むくっ……♡


「あははっ♡ やっぱり〜♡」

「さ、紗良……お前……」


「あたし、見てわかるよ~? お義兄さん、元気になっちゃってる〜って♡」

「〜〜〜ッ♡♡♡」


条件付けの完成だ。

紗良の指先でキラリと光る銀色のリングが俺の瞳に映ったその瞬間、俺の身体は即座に反応を示してしまったのだ。

洗い流したはずのホテルでの淫らな記憶。

そこで紗良の口から聞いた甘い言葉の数々。

ペアリングを見るだけで脳内で紗良の身体の感触が蘇り、股間が熱く疼き出す。


──むくむく……♡


「あ〜あ〜、この前あれだけ搾り取ってあげたのに、お義兄さんはまーたおっきくして~……♡ お姉ちゃんが居ない間に、あたしのこと襲っちゃう気ですか~?♡」

「そ、そんなわけ……ッ♡」


「ん~? じゃあなんでおっきくしてるんですか~?」


紗良の視線が股間に向けられる。

さっきまでの無邪気な妹の顔から、俺を値踏みするような艶めいた女の顔つきへと変わっていく。


「ち、ちがっ……こ、これはぁ……ッ♡」

「へぇ〜〜? 違うんですかぁ〜?」


紗良がソファから立ち上がり、ゆっくりと近づいてくる。

バスルームから出たばかりの俺はバスタオル一枚の頼りない姿。

上背は俺の方が高いはずなのに、こちらへと歩み寄る紗良からは圧倒的な圧迫感が放たれていた。


「あたしのコレ、見えちゃいましたか〜?♡」


紗良の右手が顔の前へと持ち上げられる。

そこには確かに銀色のリングが輝いていた。


「あたし言いましたもんね~♡ これ着けてるときは悠真のこといっぱい気持ちよくしてあげるって♡」

「……っ♡」


──むくっ……♡


「あははっ♡ もう硬くなっちゃった♡ やっぱり効いてるね~あたしの合図♡」

「さ、紗良……やめ……♡」


「やめないよ~♡ だって……♡」


──さわっ……♡


「あ"ッッ♡♡♡」


紗良の掌がバスタオル越しに硬くなった肉竿に触れる。

さわさわと数度撫でつけられるだけで、あっという間に腰が引けてしまうものの、紗良の掌はピタリと吸い付いたかのように離れてはくれなかった。

逃げ惑う俺の意志に反して身体は正直。

紗良の手の温もりと優しい手つき、そして指先が硬くなった竿の形を確かめるように輪郭をなぞり、亀頭の裏側の裏筋部分をカリカリと引っ掻くだけで、腰の奥から痺れるような快感が込み上げてくる。


──カリカリ……♡ カリカリ……♡


「あ"ッ……♡ さ、紗良……やめ……♡」

「やめない♡」


紗良の顔が近づいてくる。

延々と見下され続けたあの至近距離。

潤んだ瞳は弧を描き、桃色の唇は艷やかに湿っていて。

そして、そのまま通り過ぎた紗良は耳元に唇を寄せ、柔らかな吐息を吹き込んでくる。


「悠真……♡ あたしのこと……好き?♡」

「〜〜〜ッッ♡♡♡」


その言葉が引き金だった。

ホテルで刷り込まれた『好き』と『イケ』という条件付け。

その条件付けの意味を持つ『好き』という言葉が耳元で響いた瞬間、身体中の血液が股間に集中し、肉竿が脈動し始める。

そして、それは到底止められるようなものではなかった。




「あ~……♡ きもちぃねぇ~……♡」


──どぷっ♡ どぷっ♡ どぷぷぷっ……♡


紗良の言葉に導かれるように、早々に白旗を上げる股間。

バスタオルの上から数度揉み込まれただけで、先端からは白濁が漏れ出していた。


「こんなんでお姉ちゃんとえっちできるのかな~」


冗談めいた口調のクスクス笑い。

とぷとぷとお漏らしのような射精が止まらない股間をじっと見下され、我慢が効かなくなった俺はついつい腰を突き出してしまう。

紗良の手に向かって甘えるように、もっと強く触れてほしいとねだるように。


「あははっ♡ 自分から腰振っちゃって~♡」


しかし紗良の手は無情にも、俺の腰の動きに併せて引いていく。

追いかけても追いつけない。

触れたいのに触れられない。

もっと触れてほしいのに自分だけが勝手に腰を振っている惨めな男の姿。

そして数度ばかり、そんな不毛な攻防を続けたところで──。


「くすっ♡」


──ぎゅぅぅぅぅぅ……♡♡♡


「~~~ッッッ♡♡♡」


今度は反対に、紗良の掌が肉竿に吸い付いた。

着地点のないフラフラとした腰の動きに飽き飽きした彼女による一撃。

俺の敗北を決定づけるべく、バスタオルの上から亀頭と裏筋をしっかり握り込み、肉竿を締め上げる。

指の一本一本まで余すところなく肉竿に絡み付いた極上の圧迫が、あっという間に下腹部に快楽を溜め込ませていく。


「はいは~い……♡ ちょ~っとだけだよ♡」

「ん"ッ……♡ あ"ッ……♡ ん"ぁ……♡」


──にゅちっ……♡ ぬちぅっ……♡ にちゅ……♡


右手のリングが、その動きに合わせてキラキラと光を放つ。

それを見るたびに、ホテルで『好き好き』と囁かれながら搾り取られた記憶がフラッシュバックし、身体の奥底からぞくぞくと快楽がせり上がってくる。

射精しようとしまいと、紗良の意思一つで簡単に射精へと近づいていく肉体。

堕ちるところまで堕ちた醜態を、紗良は嬉しそうに見上げながら手を動かし続けた。


「ほらほら~♡ きもちぃ? 今さっき出したばっかだけど、もう出せそ?♡」

「〜〜〜ッッ♡♡♡」


──にゅちっ……♡ ぬちゅっ……♡ にちゅ……♡


「あははっ♡ もう我慢できないんでしょ?♡ あたしのお手々の気持ちよさに逆らえないんでしょ?♡」


羞恥と屈辱と快楽が同時に脳を焼き尽くしていく。

言葉も意思も、何もかも紗良の手に刈り取られていく。

そして紗良の意思一つで射精をし続けるだけの──。


「んふふ……♡ じゃあ……イッちゃっていいよ〜♡」

「あ"ッッ♡♡♡』


──びゅくっ♡ どぷっ♡ どぷっ♡ どぷぷぷっ……♡


許可が下りたその瞬間に、再び肉竿が脈打ち、どぷどぷと精液が溢れ出す。

紗良はその様子を笑いながら見つめ、最後の一滴まで絞り取るかのように手の動きを緩めなかった。


──にちゅぅ……♡


──びゅくぅッ♡♡♡


「はいはい……♡ いい子いい子♡ いっぱい出ましたね〜♡」


ようやく最後の一滴が飛び出したころには、バスタオルの内側はドロドロ。

風呂に入ったばかりの俺は再び風呂に入るハメに。


「あははっ♡ お姉ちゃんが帰ってくる前にお風呂入り直さないと、ニオイとかやばいですよ~」


ケラケラと笑った紗良が、手をひらひらとさせ、リビングへと消えていく。

その手には銀色のペアリングが鈍い光を放っていて。

浴室へと再度飛び込んだ俺は、精液を洗い流し、再び身体を清めながら、深い深い溜め息を吐くのだった──。


………

……

…

##P19 ペアリングの呪い@ダイジェスト(手コキ、フェラ、足責め、太ももセックス)、綾乃との行為の最中に紗良を思い出してしまう、綾乃との行為の後トイレに駆け込んでしまう


ホテルでの背徳デートから半月が過ぎた。

紗良との行為は、すっかり日常の隙間へと浸食してしまっていた──。


ある時は手で。

背後から抱きつかれ、脇腹の方から伸びてきた掌のなすがまま。

あの白く柔らかな手が下着の中へ滑り込み、俺の分身を包み込むかと思うだけで、背筋に甘い痺れが走り出す。

『今日はいっぱい出るかな~?♡』

耳元で囁かれる声だけで腰が砕け、結局紗良が満足するまで何度も精を吐き出してしまう。




ある時は口で。

廊下の壁に俺を磔にしたまま、膝を曲げてしゃがみ込んだ紗良がパクリと逸物を咥え込む。

『ん~~~♡』と喉を鳴らしながら、亀頭を喉奥深くまで飲み込み、唇の輪で締め上げながら頭を前後に振りしだけば、脳が溶けるような快楽に頭が真っ白になっていく。

精を吐き出す間際に乳首を何度も摘み上げられたせいで、すっかり新たな弱点となっていた。





ある時は足で。

ソファに座る紗良の足元に這いつくばって、大学から帰ってきた紗良の足置きとして奉仕をさせられる。

顔面に置かれた生足の蒸れた匂いを必死に嗅ぎ取り、汚れを舐め取っていく。

年頃の女の子の生の体臭──それも足の匂いという強烈な匂い──に始めは嫌悪感を抱いたものの、舌を這わせるごとに竿を擦り上げる反対の足の前に飼いならされた身体はあっという間に陥落。

射精をさせてもらった後には、むしろ自ら進んで足に顔を埋めようとしていた。

紗良の足の匂いは当然として、精液の匂いが混じる生足の匂いを嗅ぐだけで勃起するようになってしまった俺の身体。

もはや人間としての尊厳も何もあったものではなかった。





当然太ももでの搾精も行われた。

『あたしの太ももでえっちの練習もしておかないと、お姉ちゃんとえっちする時困るでしょ~?♡』という口実の元、太ももの隙間に向かってピストン運動。

無論長く持つはずもなく、ものの数往復で精を吐き出し白旗を上げてしまう。

だが紗良はそこで許してはくれずに太ももを閉じたままさらにピストンを強要してくるのだ。

『お姉ちゃんはそんなんじゃきっと満足できないよ~? いいの~? 悠真がつよぉ~いオスなんだって証明できなくても……?♡』

ただの太ももコキのはずなのに、綾乃との行為以上に昂りを感じてしまう俺。

もはや射精をしていようとお構いなしの連続ピストンに背を反らし、死に物狂いで彼女の腰にしがみつくことしかできなかった。

そう、まるで紗良の言いなりになる快楽の奴隷として──。



………


紗良にされるがままになってからというもの自慰ですら彼女の許可が必要で。

『お姉ちゃんがいるからいいでしょ〜?』と呆れられつつも結局部屋に連れて行かれいつもの如く手や足や口で抜かれる日々。

紗良という存在なしでは性処理を完了できない男。

紗良は俺のセックスライフを完全に掌握していたのだ。


………


一方で、綾乃との関係はどんどんぎこちなくなっていく。

結婚式の準備は進んでいるのに、俺はいつもどこか上の空。

以前からは考えられないほど夜の回数も減り、行為の質も低下の一途。


「悠真さん……♡」


綾乃が身を委ねてくる。

いつもの優しいキスに正常位。

そして控えめな喘ぎ声。

実に綾乃らしい男を立てる性行為。


──ずぷっ……。


「ん……♡ 悠真さん……好き……♡」


綾乃の中は温かいぬかるみで満たされていた。

柔らかく、優しく包み込まれるような。

それは間違いなく心地いいはずなのに──。


(紗良……)


脳裏に浮かぶのはクスクスと笑う紗良の顔。


『あ~♡ もうイキそうになってる~♡」


紗良の手や足、ぬるついた口内や、太ももの肉と肉に挟まれた時の感触。

そして耳元で囁かれる揶揄うような言葉。

マゾの男性を知り尽くし、男を手玉に取る魔性──。


「悠真さん……?」


気がつけば綾乃が不思議そうに俺を見ていた。


「大丈夫?」

「あ、あぁ……大丈夫だ……」


嘘だ。

綾乃の中にいるのに、感じるのは紗良のこと。

綾乃の優しい声が、紗良の甘い囁きに変換されて脳内に響く。


(紗良だったら……)


紗良だったらどうするか。

上に乗って太ももで挟み込み、何度も寸止めをして快楽に喘ぐ俺を見下ろしながら、最後は笑って射精の命令を下す。


(あ……紗良……♡)


妄想の中の紗良が、俺の上に跨ってくる。

豊満な胸が揺れる、太ももが腰に絡み付く。

どう頑張っても逃げられない体勢。


『悠真~♡ 好きぃ♡ ……イ~~~ケ♡』


「ん"ッ……♡♡♡」

「──ゆ、悠真さん……? こんなに硬く……♡」


綾乃が驚いた声を上げた。

突然中で竿が硬くなったのだ。

妄想の中の紗良の命令で、限界が近づいていく。


『あ~あ……♡ お姉ちゃんとえっちしてるのに、お姉ちゃんじゃなくて妹のあたしのこと思い出しちゃってんだ~?♡」


紗良の声が脳内で響いた。

ふと綾乃の顔を見下ろせば、紗良の笑顔が重なるように映っていた。

目を細めニヤニヤと笑う小悪魔じみた表情。

姉妹ということもあり、どこか綾乃に似た……見た目は似ているのに、その性格はまるで真逆の紗良が、頭の奥で短く呟いた。


『……イ・ケ♡』

「ん"ッ……♡♡♡ あ"……♡」


──びゅくっっ♡♡♡ びゅるるっ……♡♡ どぷっ……♡


綾乃の中に精を吐く。

しかし頭の中にあるのは紗良だけ。

綾乃の中に包まれたまま、その妹の紗良の命令で射精する。

愛する綾乃との性行為が、ひとりの妹によって完璧に支配されてしまっていた。

どれほど惨めで、それでいてどれほど心地よいのだろうか。


「ぁっ……♡ いっぱい出してぇ……♡」


何も知らない綾乃が嬉しそうに微笑んだ。

その笑顔が胸に刺さる。

自分の中に吐き出された精液が、妹への想いと共に放たれたことを、綾乃は知りようがないのだ。


「ふふ……♡ 悠真さん、今日すごく元気だったね♡」

「あ、あぁ……」


嘘で塗り固められた夜。

綾乃が満足して眠りについた後、俺は静かに寝室を抜け出し、トイレへと飛び込んでいた。


──がちゃっ……。


鍵をかけて便座に座り、スマホの画面を点灯させると、即座にメッセージアプリを開き、紗良へと打ち込む。


『紗良……』


キーを打つ指先が震える。

たった今しがた精を注ぎ込んだ綾乃を裏切り、綾乃の妹へと深夜にメッセージを打つ背徳行為。

顔が熱い。

心臓がうるさい。

鍵をかけているのに誰かが入ってくる妄想をしてしまう。


『悠真~♡ 返事くれたんだ〜♡』


数秒で返信が来た。

まるで待っていたかのように。


『ね? 今なにしてるの〜?♡』

『トイレで……スマホ……』


『ねぇ、お姉ちゃんは~?♡ ついさっきまでよろしくヤってたじゃ~ん?♡』

『……寝てる』


『あははっ♡ 寝ちゃったんだ〜♡ じゃあ今は悠真ひとりぼっち〜?♡』

『あぁ……』


『あたしとチャットしてるのも、な~んかえっちだね〜♡』

『……ッ♡』


『ね? またあたしのこと考えちゃってた?♡』


そのメッセージとともに添えられた画像。

筒状に握られた紗良の右手。

薬指には当然のように銀色のリングが光っていた。

それをまじまじと見ていると、続けてボイスメッセージが送られてくる。


「勃起しろ……♡」

「~~~ッ♡♡♡」


ボイスメッセージはたった一言。

紗良があの夜そうしたように、ただ『勃起しろ……♡』と命じた一言。

その一言だけで、俺は便座の上で、自分のそれを勃たせてしまっていたのだ。


脳内に響く紗良の声。

夜の闇に光るスマホの画面。

便器の上で勃起した男の姿。

深夜のトイレという状況全てが──。


『あ~あ、勃起しちゃった……♡』


『えらいえらい〜♡』


『じゃあ、今からこっそり抜いてあげようか〜?♡』


『お姉ちゃん寝てるし……♡』


『トイレの鍵あけといてよ~♡ あたしもすぐ行くからさ~♡』


「……ッ♡」


返信を打とうとしたところで、トイレのドアをノックする音が響いた。

控えめな音だが間違いない。

俺は鍵を開け、ドアノブに手をかける。

そこには……。


「ふふっ♡」


パジャマ姿の紗良がいた。

右手の薬指には、あの銀色のリング。

そして俺の顔を見るなり、にやりと笑った紗良が口を開く。


「勃起してるんでしょ〜?♡」


──むくっ……♡


「あははっ♡ やっぱり〜♡」


──さわっ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」


トイレという狭い空間になだれ込んでくる紗良の匂い。


「玉の中、からっからになるまで搾り取ってあげて~……♡ あ、そうだ、お姉ちゃんとのえっちした記憶も、あたしのきもちぃのでしっかり上書きしてあげるからね~♡ クスっ♡」


後ろ手に鍵をかけトイレの中に座り込もうとする紗良を止めるだけの力はもう俺には残されていなかった──。



………

……

…

##P20 快楽の果てに@二人でお留守番、急に冷たい紗良、唾吐き、紗良を求めてしまう、土下座、後頭部踏みつけ、二人の部屋で浮気、だいしゅきホールドされてキス責め、騎乗位ストリップショー、騎乗位挿入、動かない名器責め、中出し誘惑、中出し


そして今日。

綾乃が急遽実家へ一泊で帰るという日。

朝の支度を終えた綾乃は、玄関先で振り返りながら笑顔で。


「悠真さん。紗良のことお願いね?」

「あぁ……任せてくれ」


「ふふっ。じゃあ行ってきま~す」

「いってらっしゃい」


何食わぬ顔で挨拶を交わした俺の股間は期待で既に硬くなっていた。

今夜、綾乃は帰ってこないのだ──。


「ん? もう硬くしてんの?」

「や、ぁ……そ、そういうわけじゃ……」


一緒に手を振っていた紗良が呆れたように呟いた。


「まぁいいけど……じゃ、お義兄さんは全裸ね」

「は……?」


「全裸。全部脱いで」

「……正気か?」


「嫌なら別にいいですけど?」


──カチャリ。


玄関のドアの鍵を締める音が響く。

益々世間から隔絶された心持ちになっていく。


「で、どうするんです? 脱ぐの? やめるの?」


煮え切らない俺を見て、紗良が短く息を吐いた。

その足は廊下の方へと向いている。


「……ッッ♡ ……ぬ、脱ぐ…………」

「なんて?」


紗良の足は止まらない。

俺を置いて廊下の奥へと行こうとしていた。


「脱ぐからッ……!」


叫んだ俺の声に紗良の足が止まる。


「はいはい。じゃあ全部脱いでね?」


しかし紗良は少し立ち止まり、短く言い残しただけで俺に背を向けたまま自室へ向かって歩き出す。


「ちょっ……まっ……!」


俺は言われた通り、急いでパジャマを脱ぎ捨て全裸になる。

冷たい空気が肌に触れ、ピンと勃ち上がったペニスがパンツに引っかかるものの、そんな俺を見ることもなく紗良は自室へと消えてしまった。


「ぁ……」


──もっと早く従っておけば。


後悔が先に立つ。

廊下には俺という全裸の男性。

それも婚約者の妹に命令されて。

従う義理もないはずなのに、期待に震える肉竿のせいで身体の制御が効かない。

何をしているんだ俺は……。

情けなさと背徳感と、それでも湧き上がる興奮。

どうしても期待してしまうのだ。

紗良が自室から出て時、全裸のまま廊下に放置された自分を見て、何をするのか──。


「……」


時間が経つ。

5分。

いや、10分だろうか。

廊下の冷たい空気が肌を冷やしていく。

ペニスの硬さは変わらない。

いや、むしろ硬くなっている気がする。

ドキドキが止まないのだ。

紗良が自室から出てくるのを待って。


「紗良……?」


小さく呼んでみた。

反応はない。


「ねぇ……」


もう一度。

反応はない。

裸のまま廊下に立ち尽くす。

何とも情けない姿だ。

26歳の社会人が全裸で廊下に立ち、19歳の女の子が出てくるのを待っている。

それも婚約者の妹だ。

背徳的なシチュエーションにペニスは更に硬度を増す。


「紗良……?」


三度目の呼びかけ。

すると紗良の部屋のドアが開く。


「ん〜? 何か呼んだ?」


部屋から出てきた彼女は着替えていた。

淡いピンク色のルームウェア。

ゆるいTシャツとショートパンツ。

寝巻き姿から変えたものの、生足を晒し、胸元の谷間が見え隠れする露出多めな部屋着姿。

肉感の詰まった豊満な女体がそこにあるものの、その右手の薬指にペアリングは嵌められていなかった。



「あ、あの……」

「ん〜? 何?」


紗良は何事もないかのように、トイレの方へ歩いていく。

全裸の俺の横を通り過ぎようとする。


「な……っ」


驚きと困惑と、何より……失望。

せっかく脱いだのに紗良は何もしてくれないのか?

渦巻く欲望と期待に対して得られた快楽は何一つなく、ただただ紗良の反応が胸の奥を締め付ける。

だから手を伸ばそうとした。

立ち去ろうとする紗良に向かって手を伸ばそうとしたのだが──。


「正座ね」


ピシャリと紗良は言い放った。

それこそ有無を言わさぬ命令。

その声は普段の甘い声色とは全く異なり、人を小馬鹿にしたような冷ややかな響きを持っていた。

当然紗良は振り向きすらしてくれない。


──い、いやだ……。


この胸の奥に沸いた感情はなんなのか?


──そんなのいやだ……。


命令への拒絶か?

それとも服従への拒絶か?

いや、そうではなくて──。


──す、捨てられるのは……ッ♡♡


そう頭に過った瞬間、膝が勝手に折れ始める。

冷たい廊下の床に膝をつき、その膝の上に両手を揃え、正座の形へ。

『屈辱的な命令に従うな』という克己心よりも、『紗良に捨てられるかもしれない』という恐怖の方が勝ってしまった結果の行動。

紗良がいつもの快楽を与えてくれなくなるかもしれないという下卑た思考。


──こんなことさせられて……ッ♡♡


紗良なしでは性処理すらままならない身体。

ペアリングを見るだけで勃起する条件付け。

紗良によって何度も射精させられた肉竿。

そんな身体に開発され、紗良の命令を待ち望むことしかしない男が、もし唯一の存在に見捨てられたら──。


「あ"ッ……♡ さ、紗良……♡」

「ん〜? 何?」


紗良が振り返る。

その瞳に映るのは、全裸の男が廊下に正座している姿。

しかしてその表情は相変わらず無であった。


「だからぁ~……何してるんですかって?」

「……ッ♡」


何をしているんだ俺は……。

全裸で廊下に正座し、婚約者の妹の言葉を待っている。

何とも情けない姿。

しかし──。


「い……いえ……何も……」


『紗良がしろと言ったんだろ!』などという威勢の良い言葉は出てこなかった。

命令を下した紗良の冷たい視線に晒され、必死に口を開いたはいいものの、頭の中は快楽への期待と絶望的なまでの従順さでいっぱいだった。


紗良の機嫌を損ねてはいけない。

紗良に捨てられるわけにはいかない。


そんな思考が頭の中を埋め尽くし、口はパクパクと繰り返すのみ。


紗良の視線が下に向く。

正座した膝の上に載せられた両手。

その向こうにある、張り詰めた股間。


──ぁっ……み、見られて……ッ♡


──バタン。


しかしそれ以上何も言わず、紗良はトイレの向こうへと消えていってしまった。


廊下の静寂。

トイレから聞こえるかすかな水音。

全裸の身体に冷たい空気が当たる。

剥き出しの肌が粟立ち、肉竿が小刻みに震える。


「うぅ……♡」


惨めだった。

だがそんな惨めな気持ちにも関わらず、股間は未だ熱く硬いまま。

それどころか先端には先走りすら滲んでくる始末。


──なんで……ッ♡


そう自問するものの、この状況自体が、惨めさを凌駕する興奮を生んでいるのだ。

いや、この状況すらも興奮の燃料となっているかもしれない。

事実、紗良によって暴かれたマゾという性癖のせいで、この上ない興奮となって身体の中へと流れ込んでくる。

廊下に放置され、与えられる快楽の到達を待つのみの状態。


──ガチャ。


その暫くのち、トイレから出てきた紗良は再び無言のまま、全裸の俺の前を通り過ぎていく。

しかし今度は俺の前で立ち止まり、見下ろすように首を傾け少しの間だけ無表情で股間を眺めていた。


ぺニスがビクビクと震える。

期待と緊張と不安……そして興奮。

あまりの緊張に射精しそうになる自分の分身を必死に宥める俺の前で、紗良の唇がもごもごと動く。

とうとう何か命令をくれるのだ。

そう思った瞬間──。


──ぺっ…………ぬちゃっ♡


「──ッッッ♡♡♡」


ガムでも吐き捨てるような無造作さで。

尖った唇の先端から、飛び出した唾の塊が空中に放物線を描き、真っ赤に充血した亀頭にべちゃりと直撃したのだ。

ぺっと吐き捨てられた粘度の高い唾液が、亀頭の表面を伝い、裏筋に沿って根元まで滑り落ちていく。

冷たい感触と共に、熱く張り詰めたペニスがビクンと跳ねる。


「んぁッッ♡♡♡」


しかし、紗良はそれ以上は何もしてくれなかった。

『ふん』と鼻で笑い、再び廊下を歩き出し今度はリビングへと消えていく。

その片手にはスマホが握られていた。


──ビクンッ♡ ビクンッ♡


こんな仕打ちをされて……こんな酷い仕打ちをされているのに、竿の表面をぬらぬらと伝い落ちる唾液の前に、自分は射精を堪えるので精一杯だった

許しを待ちわびるペニスにぶっかけられた蔑み。

それだけで狂いそうな快楽が背筋を這い上がる。

全身がぞくぞくと粟立ち、淫らな期待感で頭がいっぱいになってしまう。


──なぜッッ♡♡♡ なぜッッ♡♡♡


しかしどうしようもないのだ。

快楽という餌を取り上げられたはずなのに、取り上げるという行為そのものに興奮し、脳内からは快楽物質が溢れてくる。


悔しい。

悔しいのに、気持ちがいいのだ。


──紗良ぁッッ♡♡♡


リビングの方からテレビの音が聞こえてくる。

脳裏に浮かぶのは、リビングでくつろいでいるであろう彼女の姿。

シャツの胸元をはだけさせ、生足を組み替えながら見えそうで見えないパンツを意識させられる格好。

扇情的な肢体。

そんな紗良の姿と、冷たい視線で全裸の自分を見下ろし、罪人の如く廊下に正座させられた己の姿を比較してしまう。

とんでもない格差だった。


「ぁっ……♡」


だが今の俺には何もできない。

全裸の男が立ち上がる勇気すら持てずに正座した状態。

尻が床に密着し、全身が汗ばんでくる。

血管が浮き出るほどに硬くなったペニス。

唾を吐かれたそれは膨らみを抑えきれずヒクヒクと震え、先端からは先走りが唾液に混じって雫のように滴り落ちてしまう。


そんな惨めな俺に紗良が接触してきたのはお昼も過ぎた頃だった。


「──服、着てもいいですよ」

「ぇ……」


「服着ていいですよって言ったんです」


何事もなかったかのようにリビングから出てきた紗良が、俺の前に立って言い放ったのだ。

その手には今日洗濯したであろう、昨日着た俺の服が畳まれた状態で

抱えられていた。


「えっと……あの……」

「何ですか?」


「こ……これ……終わり……?」

「終わりって? 何がですか?」


紗良は小首を傾げる。

その表情は出会ったばかりの頃と似通っていた。


「……あ…いや……」

「服着てください。風邪ひいちゃいますよ?」


そう言って紗良は俺の目の前に服を置く。


「……」


俺は無言で服を着るのだった──。


………


昼以降、紗良は何もしてくれなかった。

何もしない……本当に何も。

ただそこにいて、日常生活を送るだけ。

朝の一件など何事もなかったかのように、リビングのソファでテレビを見て、お菓子を食べて、スマホをいじる。

俺の方を見ることもなければ、合図を送ることもない。

廊下に正座させられ、唾を吐きかけられ、それでも勃起し続けた惨めな記憶は何事もなかったかのように。

前日までの出来事がまるで全て夢であったかのように。

俺はといえばソファの反対側に座り、ただただ紗良の様子を伺うのみ。


一時間。

二時間。


時間は過ぎていく。

やがて日が傾き始めた。


紗良はよくできたただの妹だった。

姉の綾乃の代わりに部屋を掃除し、日常の家事をテキパキとこなしていく。

時折くつろいでゆっくりしているものの、何かしら見つけては台所に立ち、食器を片付け落ち着かない。


俺はといえば、ソファに座ったまま無為な時間を過ごしていた。

当然スマホをいじる気になどなれやしない。

いつもは早く感じる休日が永遠にも等しい苦痛として俺を苛んでいく。


──紗良……。


心の中で彼女の名前を呼ぶこと数百回。

それでも彼女は一度たりとも俺を見ようとしなかった。

俺の期待などまるで知らんぷり。

俺が望んでいることを知っていて知らん顔をしているのか、それとも別の理由があるのか……。

紗良に捨てられてしまったのかと思うと、胸中がぐちゃぐちゃに渦巻いていくが、それを確かめる術はない。


何せ紗良とて、いつもの調子──それこそ部屋に転がり込んできた時分と同じ調子──で会話をするものだから、そもそもそんな野暮なことを確認するのも憚られたのだ。

会話も当然他愛のないもの。

テレビの話題だったり昼飯は何を食べるかだったり、とりとめのないこと。

そこにはあの甘く囁くような色気も、淫らで甘美な快楽への誘いもない。

ただただ、姉の婚約者とその妹という当たり前の関係が存在するだけ。

朝の全裸命令や唾液での接触ですら、今ではすっかり遠い過去のようだった。


夕方になり、陽が落ちる頃俺はソファに座ったまま、ぼんやりとテレビを見ていた。

気づけば、無意識のうちに薬指へと目をやっている。

あの日ラブホテルで奪われた指輪。

今は元の持ち主に戻され、まるで何事もなかったかのように銀色の輝きを放っている。

綾乃との愛の証。


しかし、反対に俺の視線はちらちらとテレビから紗良の指へ流れていくものの、そこに銀色のリングが嵌められることはなく。

紗良がお手洗いなどで少し外して戻ってきた際には、そこに指輪が嵌められてないか、一瞬期待してしまう自分がいるものの。


──……やっぱり、何もないのか。


収穫は何もない。

心のどこかで期待している自分がいることに情けなくて悔しくて消えてしまいたいのに、身体は正直だったのだ。

あの、甘く淫蕩の日々を追い求めて何度も何度も、視線を走らせてしまう。

無駄だということはわかっている。

しかし意識はどうしてもあの指へ向いてしまう。


──だけど今日は何もないんだ。


そう思っていた矢先。

紗良が『あ、そうだ』と小さく呟いたかと思うと唐突に俺の視界に指輪が現れた。


「──ッ♡♡♡」

「……これ?」


紗良が小首を傾げつつ、左手から取り出した指輪を右手の薬指に嵌めようとする。

その光を放つ銀色の輝きを見て、俺の股間は一瞬で熱く硬くなり始める。

呼吸が浅くなる。

心臓の鼓動が速くなる。

だが──。


「……今日は別にいいかな」


言いながら紗良はリングを指から外し。


「え……?」


──コトっ……。


テーブルの上に置いてしまった。


「────ッ♡♡♡」


全身の血圧が下がり、冷や汗が流れた。

同時に心臓がきゅうと縮む。

苦しい。

何かが、終わってしまったような気がした。


「……ちょうどいいしね」

「え……?」


「お姉ちゃんもいないし。ゆっくりする?」


何もかも、儚い夢だったのだと、俺はその時気づいたのだった──。


………

……

…


夜になった。

リビングでテレビを見ながら時間を過ごしたものの、心ここにあらずの俺はずっと上の空。

紗良はというと、テレビを見たりスマホを触ったり……。

お風呂へ入る際もこれと言っての誘惑はなく、むしろ一切の隙を見せないように、念入りに確認する始末。

これじゃ真っ赤な他人同士じゃないかと愚痴りたくなるような距離感。

いつもの彼女なら、隙を見ては俺に触れ、耳元で甘く囁き、ペアリングの合図を送ってくれるはずなのだ。

だが今日の紗良にはそれが一切ない。

ただの妹として、当たり障りのない生活を送っているだけ。

当然と言えば当然なのだが、俺は既に気が気ではなかった。

そして、日もすっかり暮れた頃。


「──じゃ、お義兄さん、おやすみなさい」


続けて『テレビ消しときます?』などと聞かれてしまえば、それこそ俺の割って入る隙はなかった。

テレビのリモコンをポチッと押し下した紗良が立ち上がり、スタスタと自室へと向かっていた。

踵を返し廊下の奥へと歩いていく彼女の背中は、俺がよく知る小悪魔的な妹の背中ではなかった。

ただただ綾乃の妹としての、ありふれた背中。

俺はと言えば一瞬何かを言いかけたものの……。


──終わ、り……?


急速に全身が冷えていく。

紗良が何もしてくれないことへの失望と喪失感。

紗良の特別な扱いが、今日を境に終わってしまうかもしれないという恐怖。


──やっぱり……やっぱり俺は……。


俺は……期待していたのだ。

今日は紗良と二人きり。

綾乃が一晩中帰ってこない。

だから、きっと紗良が何かしてくれるはずだと。

あの甘い快楽を与えてくれるはずだと。


──最低だ……でも……でも……ッッ♡♡♡


そう自覚した瞬間、何かが外れた。


「──紗良ッ……!」


呼び止める声は震えていた。

廊下の暗闇に吸い込まれそうなほど弱々しい声。

しかしその声は届いたようだった。


紗良の足が止まり、振り返る。

廊下の奥から見返す瞳は、いつもの悪戯っぽい光を宿してはいなかった。

ただ静かに、俺を見ている。

見ている、だけ。


「……何ですか?」


静かだった。

他になんの音もないくらいの静寂の中、紗良の静かな声がすっと通る。

いつもの甘くねばつくよつな響きはなかった。

唾を飲み込む。


「あ、その……」


言葉が出てこない。

何を言えばいい?

『何もしてくれないのか?』と聞くのか?

『もっと何かしてくれ』と懇願するのか?


それを口にした瞬間、俺は自ら──。


唇が震える。

喉が詰まる。

しかし紗良は待ってはくれなかった。

『はぁ』と溜息をついた後、『おやすみなさい』と告げて、踵を返し廊下へと歩き出す。


「……ッ♡」


違う。

違うんだ。

俺はまだ……このままじゃ……このまま、どうして終わってしまうんだ。


「──紗良……ッ!」


立ち上がった。

無意識だった。

気づけば体が、口が動いていた。


「……紗良の……」


廊下を歩く少女が、足を止め、振り返る。

無表情のまま、瞬きすらない目の光が全身に突き刺さる。

胸が焼けそうなくらいに締め付けられる中、俺は立っていた。

そしてじっと見つめていた。


「……リング、見せてませんよ?」


冷たい声色だった。

その声だけで。


──むくっ……♡


「あ"ッ……♡」


俺の身体は、紗良の機嫌などお構いなしにこれ以上ないほど反応してしまっていた。


「お義兄さんもちらちら見てたでしょ? あたしの指、何もつけてなかったですよね?」

「っ……」


俯く。

言い返せない。


「あの、だから……」

「何ですか?」


「……まっ……待って……」

「……で?」


自分の口から紗良を求めて『待って』なんて言葉が出るなんて思わなかった。

しかし思わず口から出てしまった『待って』に対する返しは、紗良のあまりにも素っ気ない声だった。


「……ッ」


──ガクッ……。


自然と膝が折れていく。

苦しい。

口がパクパクと動く。

それでも言葉が出てこない。


紗良は廊下の奥から静かに見ている。

ただ見ている。

膝をついた男の哀れな姿を見下ろしている。

光の加減でその表情はよく見えない。


──助けてくれ……頼むから……あの声で……あの手で……。


──紗良……お前の手が……お前の口が……お前の身体が……ッッ♡♡♡


膝が折れ、冷たい廊下の床に手をつく。

心臓が痛い。

苦しい。

寂しい。

急いで服を脱いで……俺は……俺は……。


「──どうしたんですか? ……素っ裸で土下座なんかしちゃって」


紗良の声が、足音が、遠くの方から近づいてくる。

『ギシリ、ギシリ』と、フローリングを踏み締める音がどんどん大きくなってくる。

そしてとうとう、紗良の足の指の爪の先が、床に伏せた俺の視界の端に映り込む。

桜貝のように艶やかなペディキュア。

ふっくらとした肉付きの良い足の指先。



「あっ……あのっ……そのぉ……」


床に向かって小さく呟いた俺であったが、視界の端に映り込んだ紗良の足先は微動だにしない。

ただ冷ややかにそこに在るのみ。


「い、今までみたいにぃ……き、気持ちよくぅ……してほしい……かも……」


だがそれでも紗良の足先は微動だにしなかった。

言葉足らずの俺の言葉など届くはずもなく……いや届いているはずなのに反応してくれないのだ。

冷たい。

ただただ冷たい。


「……あたし、指輪つけてないですよ?」

「っ……」


紗良の指輪。

二人だけの合図であるペアリング。


「だから今日は……何もしてないですよね?」

「……うん」


「合図もなしに……何を期待してるんですか?」

「……」


答えられない。

その通りなのだ。

紗良がペアリングをつけたら淫らなことをするという合図。

その合図がなければ何もしないという逆もまた然り。

このルールを決めたのは他ならぬ紗良と俺だ。

俺の方はともかく紗良は律儀にこのルールを守っているだけなのだ。

だから今日は……本当は……。


「──あたしに何かしてほしいんですか?」


紗良の声が上から降ってくる。

冷ややかで、静かな声。

頭を上げられない。


「……したい」

「何を?」


「……紗良と……えっち……したい……」


言ってしまった。

とうとう言ってしまった。

決して踏み越えてはならない一線。

それを俺は自ら──。


「あたしと?」

「……あぁ」


「お姉ちゃんは?」

「っ……」


「あたしじゃなくて、お姉ちゃんとえっちすればいいんじゃないですか?」


──違う……違うんだ……。


心の中で否定の言葉が渦巻く。

俺は綾乃と結婚する。

愛する婚約者と、一生を共にする。

それは確かなんだ。

確かなんだから、こんなことを紗良にお願いするのはおかしいんだ。


「あたしは……お姉ちゃんの代わりになんかなりませんよ?」

「紗良……ッッ♡♡♡」


違う。

違うんだ。

俺が求めてるのは、紗良との蕩けるような蜜月の──。


彼女の顔が見たい。

しかしどうしても顔を上げられなかった。

怖かったのだ。

紗良の表情を見てしまうのが。

冷ややかに見下ろされているだけと確認するのが。


紗良のその瞳には今、俺はどう映っているのだろうか。

情けないだろうか。

惨めだろうか。

それとも──。


「お姉ちゃんの……綾乃の代わりなんかじゃ……ない……ッ……」


震える声で、なんとか言葉を紡ぐ。

きっともう、俺は泣きそうな顔をしていた。

そんな顔をしながら、精一杯声を上げる。

まるで足に向かって祈りを捧げているようだった。


「紗良じゃなきゃ……紗良がいいん、だ……ッ♡♡♡」


沈黙。

頭上から女神の神託は降ってこない。

代わりに見えるのは、紗良の生足。

だが……だがしかし──。


──ずしっ……。


「ッッッ♡♡♡」


後頭部にかかる圧力。

それが紗良の足だとわかるまで、そう時間はかからなかった。

そして、紗良が俺の後頭部を踏み締めているのだと理解した瞬間。


「ん"ぅッッッ♡♡♡」


勃起。

肉竿が限界まで張り詰め、先端からは先走りが滲み出てくる。

頭を床に押し付けられているというのに、その屈辱感すらも快楽に変換されていく。



「……なんでしょう?」


頭上から降ってくる紗良の声。

冷ややかで、静かで、どこまでも残酷な声。

まさしく女神様の御神託。


「あ"……あ"……紗良……あ"……♡」

「ちゃんと言葉にして?」


足の裏が後頭部をグリグリと押し回す。

指先の柔らかな感触が後頭部の上で捻られる度に、脳が痺れるような快感が走る。


「ん"ッ……♡ お、おねがい……♡」

「何を?」


「き、きもちよく……して……♡」

「お姉ちゃんとじゃダメなの?」


「紗良じゃ……ないと……ッ♡♡♡」

「ふーん?」


──ぐりっ♡


「ん"ッッ♡♡♡」


後頭部を踏む足の力が強くなる。

同時に、脳裏に焼き付いた条件付けが作動する。


「ん"お"ッッ♡♡♡ き、きもひ……♡ ぃぃ……♡♡♡」

「お姉ちゃんとじゃ、得られない?」


「ん"ッ♡ あ"ッ♡ あひゃのと……♡ ほの……♡ とくべちゅ……♡♡♡」


踏み潰された頭では口がろくに回らない。

それでも紗良は足の指を後頭部で何度も伸び縮みさせ、俺に答えさせるよう促してくる。


「あ"ぁ♡ さら……♡ ひゃらひゃなきゃ……♡ いきれない……♡♡♡ おねがいひゃからぁ……♡♡♡ ひゃらの……おまんこ……♡♡♡ ほしい……♡♡♡」


紗良の足が止まった。

そしてゆっくりと足を下ろす。


「……じゃあ、連れてって?」

「ん"ぁッ♡♡ はっ♡♡♡」


まるで犬のようだった。

一挙手一投足が紗良に見下ろされていることも気にもせず、這いつくばりながら俺は廊下の奥を目指していた。

股間を腫らし、一心不乱に。

そしてその後をヒタヒタとついてくる紗良。

もしもこの場に傍観者がいたのなら、なんとも奇妙な光景だと言わざるを得ないだろう。

四つん這いで先導する俺。

そしてその後を悠々とついてくる紗良。

存在しない首輪が繋がっているみたいだった。

そこに繋がれた手綱はもちろん紗良の手中に収められているのだ。


床に這いつくばってのたうち回る俺の痴態をじっくりと見つめているようだった。

快楽に全身を支配された情けのないオスの無様な姿を、その目に焼き付けるように。



廊下のど真ん中をじりじりと這っていく。

手と膝が痛むのも気にならず、限界寸前まで膨らんだ股間からはとろりと先走りが垂れ落ちていた。


そんあ俺のすぐ後ろには、ピンク色のルームウェアを纏った一人の女。

プールサイドを歩くモデルのようなスラリとした脚線美を惜しみなく披露しながら、俺の後をゆっくりと歩いてくる。

その美脚をひたと地につけ、まるでご主人様のような振る舞いをしながら。


「ぁ……ぁぁぁ……♡」


自分でもふざけていると……いやはや狂っているとしか言いようがなかった。

恥ずかしさに死にたくなりながら、欲情のあまり這うことを選んでしまう。

そして、俺はとうとう目的の場所へと着いてしまう。


「──ここ?」

「ぁ……は、はい……♡」


止まったのは綾乃と俺が毎晩共に寝起きを共にしている寝室。

その扉の前。


「ここでいいんですか?」

「あ……あぁ……♡」


綾乃の匂いが残るベッド。

二人で選んだ家具やレイアウト。

俺と綾乃との生活の空間。


そんな大切な寝室のドアを俺が開けると、紗良が俺より先に敷居を跨いだ。

まるで自分の部屋かのように自然な足取りで、一歩また一歩と部屋の奥へと進んでいく。


「へぇ……すごく綺麗にしてるんですね」

「あ、あぁ……綾乃がぁぁ……♡♡♡」


自分でも何を言っているのかわからない。

何を話せばいいのかもわからない。

ただ、綾乃の残り香が漂う空間の中を、妹の紗良に進まれることが異常な光景で、そして目を離せないくらい艶めかしかった。


「どこで寝てたんですか?」

「……え?」


「お姉ちゃんはどこで寝てたの」

「……ッ♡」


「どこですか〜?」

「……奥の……右側……ッ♡♡♡」


「ふ〜ん……」


そう呟いた紗良はゆったりとした足取りで、綾乃が普段寝ている場所へと向かう。

そして、綾乃の使っている枕をまじまじと見つめていたかと思うと、ゆっくりとベッドへと乗り上がった。


「ふふっ……奪っちゃった……♡」


その言葉は一体誰に向けられたものなのか──。

まるで部屋の空気に溶けるように響き、そしてベッドの上で姉の綾乃の定位置を占領した妹の紗良が俺の方を振り向いたところで視線が交錯する。



「おいで……♡」

「……ッ♡」


軽く首を傾げ、手招きする紗良。

それはかつての何気ない仕草よりもずっと、俺の理性を掻き乱す力を持っていた。

俺は夢遊病者のようにふらふらとベッドへ近寄ると、誘われるがままに紗良の顔の真上に覆い被さるように手をつく。

ベッドがぎしりと軋む音を聞いた時、もう逃げられないと確信した。


「…………」


この期に及んで、逆に俺の理性は逃げようとしていた。

ここで押し倒してしまえば、もう本当に後戻りできなくなってしまう。

最後の最後でそんなことを考えたのだ。

しかし、それを嘲笑うかのように引き寄せてきたのは紗良の方だった。


──ガシっ♡


「カニバサミって言うらしいですよ~、こうやって脚で腰を引き寄せて……えいっ♡」


言うが早いか、俺の腰にしなやかな両脚が絡みついてきた。

離してなるものかとばかりに引き寄せられ、すぐには放さぬとばかりに強く締め上げられる。

骨盤と骨盤が丁度重なるような体勢に固定され、二人のオスとメスとの触れ合いが、否が応でも意識させられる。


俺の左手は、いつの間にか紗良の頭の横のシーツを掴んでいた。

心臓が早鐘を打つ。

サラサラの黒髪が白いシーツに広がり美しく、しかし何よりも匂い立つような肉欲を感じさせる光景だった。

綾乃の香りが染み付いたベッドに広がる紗良の黒髪。

それだけでもう、俺の身体は言うことを利かなくなる。


「うぁ……っ♡」


あろうことか自分から腰を、紗良に押し付けてしまっていた。

紗良の脚の締め付けに応えるように、密着した下半身をグッと押し付け、俺自身の熱と硬さが、紗良の柔らかい部分へと埋まっていくようだった。



「だめでしょ? 逃げちゃ……♡」


逃げようにも逃げられない体勢。

まるで彼女の身体に吸い寄せられるかのように腰がぐいぐい沈み込むと同時に、下半身に巻き付けられた長い脚の締め付けも強くなる。

『ふふっ♡』と小さく笑った紗良の両腕が背中へと回され、そのまま首を抱き寄せられれば、抵抗なんてできるはずがなかった。

紗良という女に絡め取られた全身。

細長い手足に巻き付かれて、今にも唇が触れ合ってしまいそうなほどの至近距離でじっと見つめられ、少しでも動けば柔らかな唇と接触してしま──。


「んっ……♡」


──ちゅ……♡


触れたかどうか、ギリギリの軽いキス。

俺を試すかのような──。


──ちゅっ……♡


もう一度。

紗良は少し尖らせた唇を突き出し、押し当てては啄むように離れていくバードキス。

このもどかしい触れ合いに、心臓がうるさくなっていく。


「待って……まだ……」


──ちゅ……♡


今度は思わず漏らした俺の口を塞ぐように、紗良が下から唇を押し付けてきた。

ぬるついた唇の感触、湿った呼気、そして甘い紗良の匂い。

俺をゆっくりと取り込んでいく。



「んちゅぅ……♡」


──ぬりゅぅ……♡


口の中に侵入してきたのは、熱くぬめった舌。

硬く閉じたはずの唇の隙間をゆっくりとこじ開け、その身を軽く揺すりながら口腔内の奥深くへと伸びていく。

歯の裏側や歯茎はもちろん、頬の内側を丁寧になぞり、舌先で上顎をくすぐりながら、俺の口腔内をしゃぶり尽くすかの如く、紗良の舌が這いずり回る。


「んはぁっ……♡ ぢゅぅ……♡ はぁむ……♡ ぢゅっ……♡ ぢゅぱぁ……♡」


──にゅるっ……♡ にゅるるっ……♡


綾乃のそれとは全く異なる感触。

もっと熱くて生々しくて深くて……そして淫らな接吻。

がっしりと後頭部を掴まれ、口内を縦横無尽に舐め回す舌ベロに、脳が喉奥から掻き混ぜられているような心地へと陥っていく。


「──ぢゅるるっ♡ はむっ……♡ んちゅぱぁっ♡」


──ちゅぱっ……♡ ぢゅるっ……♡ ちゅぱっ……♡


口腔内で行われる濃厚な粘膜の接触。

熱い舌と舌が絡み合う水音が、頭蓋骨の内側で反響し脳髄を振動させる。

それは恋人同士の甘いキスではなく、相手の全てを味わい尽くし、余すことなく啜り尽くそうとするような口づけだった。


その一方で、俺の腰をガッチリとホールドしている両脚は緩む気配すらない。

俺の上半身を抱き寄せながら、下半身をガッチリとホールドし、逃げられない体勢を維持し続けられて。


「ぢゅぱっ……♡ んふっ……♡」


長い接吻が終わり、ようやく唇が離れたところで、二人の間に銀の橋が架かる。


「ぁ……ッ♡ さ、紗良ぁ……♡♡♡」

「あたしとシたいんだ……?♡」


白い頬を朱に染めた紗良の口からもたらされた言葉に、股間のボルテージがまた一段上がった気がする。

事実として、紗良が誘うように腰を右に左にと、ゆっくりくねらせれば、密着した下半身から伝わる女の感触が俺の腰を砕いていく。


「……あぁ……ッ♡ したい……♡♡♡」

「綾乃お姉ちゃんじゃ……ダメ……?♡」


「……ッ♡♡♡」


甘く濡れた声が鼓膜を震わせる。

耳元で囁かれる姉の名前。

それが逆に背徳のスパイスとなり俺を焚き付ける。


「だめ……だ……ッ♡ 紗良じゃなきゃ……♡♡♡」


唇が触れそうで触れず、しかして熱い吐息が触れ合う距離。

その距離でじっと見つめられ、はっきりと裏切りの言葉を引き摺り出されてしまえばもう他に何も言えなくなる。


「……あたしが……いい……?♡」

「あぁ……♡♡♡」


「あたしと……えっちしたい……?♡」

「したい……♡♡♡」


「じゃあ……♡」


紗良の脚が緩んだ。

と同時に、紗良の身体がぐるりと回転。

その動きに巻き込まれる形で、俺と紗良の場所が入れ替わる。

それはこの前のホテルと同じ、紗良が上に跨る騎乗位の形。


上下逆転した視界。

見上げた先にいるのは紛れもない俺の婚約者、白百合綾乃の妹、白百合紗良。

本当は、こんなところにいてはいけない人物。


「欲しいんでしょ……?♡ あたしのこと……♡」


その下に押し潰した硬さを味わうように、パジャマの上から下腹部を股間へと擦り付けられる。



「欲しいなら……悠真の口で……ここで言って……♡」


紗良の手が、俺の手首を取り自分の胸に押し当てた。

跳ねる鼓動が伝わってくる。

パジャマの上からでも分かるほどに熱く、柔らかい。


「あたしのおまんこに、どうしてほしい……?♡」


目を見開く。

ついに来てしまったのだ。

ホテルでは拒まれたことを。


「……挿れたいッ♡」

「なにを?」


「ちんぽを……ッ♡」

「どこに?」


「紗良のおまんこに……ッ♡♡♡」

「へぇ〜……?」


紗良が降ってくる。

さっきとは真逆。

見上げる先に紗良。

綾乃とは違って短い髪の毛先が顔をくすぐる。

至近距離。

とにかく近い。

紗良は出会った時から俺との距離が近く、そしてその揶揄うような笑みでじっと俺を見下ろしていた。

ゆっくりと、糸を引くように目が細められていく。


「あたしのおまんこに、挿れたいんだ〜……?」

「──ッッッ♡♡♡」


「あはっ……♡ またおっきくなったかも……♡」


──ぎゅぅぅぅ……♡♡♡


改めて言い直されたことで、いよいよその時が近づいていることを悟った肉竿は、より一層充血しビクンビクンと大きくいななくようだった。

それを見てクスリと笑った紗良が、ゆっくりと腰を降ろし聞かん坊を自らの股間で押さえつけた後、二度三度グリグリと前後に揺する。

その瞬間、今まで何の刺激も与えられず放置を続けられていた全身に、雷が落ちたような快楽が迸った。

ビクンビクンと全身が脈動する。

その様子をじっと見つめられる。


「脱がなきゃね〜……♡」


張り詰めた股間を下敷きにしたまま、ゆっくりと上体を起こした紗良が、自らの寝巻きを脱ぎ始めた。

するすると肌から離れていく布地。

ピンク色のルームウェアがするりと剥かれ、ふっくらとした白い鎖骨と肩のラインが露わになっていく。

そして──。


──パサっ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」


ブラジャーも何もしていない。

紗良の上半身の剥き出しとなった素肌が、寝室に差し込む月明かりの下に晒された。

丸みを帯びた肩、鎖骨のライン、その下に迫り出す豊かな膨らみ。

そしてその中心に色づく淡いピンク色の蕾。

白磁のように滑らかな素肌の一部に、上気した朱色が混じり合い、まるで桜の花びらが散りばめられたような美しい色合いとなっている。

月光に照らされたその肌はどこまでも白く、そしてどこまでも艶めかしく。

それを目にした瞬間、俺の股間の熱は限界をどんどん超えていく。


──むくむくむくっ……♡♡♡


すでに硬くなってはずの肉竿が、紗良の裸肌を見た瞬間、より一層驚異的な硬さとなり、紗良によって幾度となく繰り返された条件付けが紗良の美しい裸体と結びつき、脳内で快楽の回路が一斉に点火する。


「……ふふっ♡ やっぱりもっと元気になっちゃった……♡」



だがしかし、肝心の紗良は嗤いながら、やはり勿体ぶっていた。

ピクピクと物欲しそうに震える肉竿を見下ろしながら口元には笑みを浮かべたまま、むしろ見せつけるように、腰をグイッと前に突き出しながら、ルームウェアの腰ゴムに指をかけ、ゆっくりとずらしていく。


俺はゴクリと息を呑み、紗良が織りなす淫らなストリップショーに釘付けになっていた。

やはり紗良という女は、男心を嫌というほどわかっているのだ。

もしこれが綾乃であれば、脱げと言えば即座に脱いで、布団を被り、恥ずかしがりながら目を逸らすことだろう。


だが紗良は違う。

羞恥心などないかのように堂々と、しかし勿体ぶって、ゆっくりと。

悩ましげに腰をくねらせながら脱ぐその姿は、淫らなストリップショーそのもの。

それも決して高級店で見られるような芸術性の高いものではなく、もっと俗悪で、もっと欲望を煽るような、安っぽく、しかし背徳的な、だからこそ男を狂わせるような。

月光に照らされ白く輝く素肌が、紗良の手指に剥かれるにしたがって次第に露わになっていく。


動きに合わせて『ばるんっ♡』と揺れる巨乳。

しっかりとくびれた細い腰付きの癖に、その下に広がる肉付きの良い臀部が、実に女らしい太ももの曲線へと繋がっていて。

そして最後まで残った下着は、紫色のレースで彩られた極小面積のショーツ。

未だ少し幼さの残る顔立ちの紗良が、男の欲を煽り立てる為としか思えないくらいの扇情的な下着を身に付けているという事実が脳天を直撃する。


──ギシリ……パサっ……♡


俺の上に跨ったまま自ら下着を脱ぎ捨てた紗良は無言のまま。

ようやく最後の一枚を足首から外すと放り投げるように下着を放った。


──むわっ……♡


まず、布地から解放されたのは紗良の蒸せ返るような濃厚な女の香。

男を嗅覚から虜にしてしまえるのではと言っても過言ではないほどの濃い雌の香りが部屋中に溢れていく。

大人の女性特有の甘くて少し鼻にくるような、熟れた果実のような芳醇な香りと、若く瑞々しい女の匂い。

かつてカーディガン越しに嗅がされた匂いとは比べ物にならない濃密さで、その香りを長く嗅げば嗅ぐほどに脳の奥底を痺れさせるようだった。

沸き立った血液が下半身に流れ込み、ペニスを強張らせ、何度も何度も紗良に射精させられた身体にとっては、この匂いはただのフェロモンであり、淫香と呼ぶべき類の匂いであった。

紗良の生々しい女の匂いを嗅ぐだけで理性が飛び、性欲という動物的な衝動だけが頭を支配していく。


「全部脱いじゃった……♡」


全裸。

一糸纏わぬ姿となった紗良。

月光に照らされたその肢体は、美しくも淫猥で、まるで女神と悪魔を足して二で割ったような存在感を放っていた。

紗良は俺の上に跨ったまま、全裸となった自分の身体を両手で隠すことなく、むしろ堂々と見せつけるように、自らの豊満な女体を誇示するかのように。

だがしかし、そんな紗良の裸体以上に俺の気を引いてやまないのは、彼女の下腹部に存在する紗良自身の女性の丘。

同じ向き、秘密の花園の縦筋に沿うように薄く生え揃った毛で彩られた恥丘の中心からは、うっすらと蜜が滴っているようだった。



「ふぅ〜〜〜……♡」


一息つき、ゆっくりと腰を降ろし始めた紗良。

仰向けの俺の太ももの上に自らの太ももを重ね合わせるよに体重をかけていけば、紗良の動きに合わせてベッドがギシリと悲鳴をあげる。

そうして紗良は俺に跨ったまま、視線は俺の顔から流れるように股間へ。

ヒクヒクと涙を流す肉竿を一瞥したところで、『ふっ』と鼻で笑った後、そのまま視線は自らの股間へと。

最後に、再び視線が顔に戻ってきたところで、ニヤリと口元を歪めた。


「あたしがいいんでしょ……?♡」


紗良の指が自らの土手の中心を指差し、俺の視線を自分の股間へと向くよう促してくる。

月明かりに照らされた恥丘。

うっすらと蜜が滲む秘裂。

これからそこへ呑み込まれることをまざまざと意識させられたことで、余計に肉竿がいきり立つ。


「ぁぁぁ……ッ♡♡♡ はやくっ……♡♡♡ もう……ッ♡ もうッ……♡」

「ん~~~……?♡」


しかし、紗良は目を細めたまま、上体を曲げ俺に顔を近づけてくる。

俺の切羽詰まった声に反応するでもなく、むしろ、余裕綽々とばかりに彼女の唇は俺の耳元へと寄せられた。


「ねぇお義兄さん……♡」


吐息が耳の窪みを這い、背筋を震わせる。


「あたし、今日は一度も、ペアリングつけてないですよ?♡」

「~~~~ッッッ♡♡♡」


心臓が止まったかと思った。

その言葉の意味は明白だ。

あの合図がなく、それでも俺は自ら紗良を求め、あまつさえ寝室へまで連れて行き、そして今、全裸で紗良の下になっている。


「合図してないのに、あたしのこと、そんなに欲しいんですか……?♡」


耳元で囁かれたその言葉は、これまで俺が使ってきた全ての言い訳を打ち砕くものだった。

紗良に仕掛けられたから。

リングを見せられたから。

合図があったから。

そういった自分を正当化する類の言葉は、全て紗良によって取り上げられていく。


「お、お、俺はぁ……ッッ♡♡♡」

「ん~~~……?♡」


──むにゅぅぅぅ……♡


紗良がより上体を倒したことで、豊満な乳房が胸板に押し付けられ、淫らに潰れる。

仰向けの俺の上から覆いかぶさる紗良。

全身が密着し、女の体温が肌を通して伝わってくる。

紗良の重みと柔らかさと熱。

全てが俺を包み込み逃さないと言わんばかりの圧迫感。


「あたしが欲しいんでしょ……?♡」


「紗良……ッ♡ 紗良……ッ♡♡♡」

「言って……♡ ちゃんと……♡」


「紗良が……ッ♡ 欲しい……ッ♡♡♡」

「んふふ……♡ いい子……♡」


「紗良のおまんこに、 挿れたい……ッ♡♡♡」


紗良の吐息が震える。

言わせた答えに喜悦したような。

そして紗良はゆっくりと腰を浮かせるとその指先で自らの秘裂を広げた。


「……あ♡」


露わになった秘裂。

すでに濡れそぼっているそこは、月光を反射して妖しげな光を放っていた。

溢れた蜜が糸を引き、ぽとりと股間付近に落ちてくる。

もう一瞬たりとも我慢することなんかできなかった。

その期待に応えてくれるかのうように、紗良がゆっくりと腰を下ろし始める。

月明かりに照らされた豊満な裸体が俺に重なり合って、紗良という女に包み込まれていく。


──ぬちゅ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」


紗良の秘部が肉竿の先端に触れた。


熱い。

熱すぎる。

今までの太ももや手や口の中で与えられていた快楽とは全く違う、生々しい熱。

これが女の膣内だ。

紗良の膣内なのだと言わんばかりの、熱。

そしてこの時、綾乃の顔が一瞬だけ脳裏をよぎった。

綾乃の笑顔が紗良の顔に重なり、綾乃の優しい声が紗良の淫靡な囁きに変わり、綾乃の存在が紗良によって上書きされていく。

もう止まれない。

紗良の腰がゆっくりと下りてくるにつれ、俺の中にいた綾乃がぐずぐずに溶かされていく。


「ん"あ"ッッ……♡♡♡」

「んふっ……♡」


──ぬぷぬぷぬぷ……♡


秘裂の熱に触れた先端が、紗良の身体の重みでゆっくりと押し込まれていく。

亀頭が紗良の狭まった内部をこじ開け、窄まりにびっしりと敷き詰められた肉襞が先端を解きほぐしながら飲み込んでいく。

ぬるりとした粘液とひくひくと蠢く肉の壁に歓待されつつ、ペニスが深く深く呑み込まれてしまう。


「あ"あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡」


これまでの全ての行為が予習だったのだ。

手コキ、足コキ、フェラ、太もも、素股──全ては今日のための準備。

素股で味わった秘裂の温度が、ついに肉竿を包み込む。

焦らされ、学習させられ、開発され尽くされた身体の全てが、この瞬間に統合される呑み込まれて──。


そしてとうとう、紗良の腰が俺の腰の上に着地する。


──にゅぷんっ……♡♡♡


「あ~あ……♡ ぜぇ~んぶ入っちゃったね~……♡」


肉竿の根元まで全部。

全部が紗良の膣内に埋まっている。

熱く、狭く、そしてとろけるように柔らかい。



「あ"ッ……♡♡♡ さ、紗良……♡♡♡」


心地が良すぎる。

あまりにも良すぎる。

良すぎるせいで、精が腹の底から湧き出してきそうだった。


「だーめ♡」

「~~~ッッッ♡♡♡」


しかし、今にも暴発してしまいそうな俺とは違い、紗良のこの余裕っぷりはどうだ。

あろうことか紗良は腰を下ろして自身へ迎え入れて以降、一瞬たりとも動かず、深く飲み込んだ肉竿をただただ膣内に据えたまま、俺を見下ろし、じっくりと味わっているようだった。


「これはもう……“浮気”……だよねぇ~……?♡」

「ぁ……ぁ……あああぁぁぁぁ……♡♡♡」


今まで散々、『浮気』だと指摘されるチャンスはいくらでもあったはずだった。

それなのに、紗良は、紗良は……よりによってこのタイミングで、わざわざ“浮気”と口に出してきたのだ。

浮気の事実に焦る俺の姿を楽しむように、ニヤニヤと見下ろしながら。


「お義兄さん? あたしとえっちするってことは、れっきとした“浮気”だって……わかってますよね~……?♡」

「ん"ぅ……♡♡♡」


紗良の声はやけに艶めかしく鼓膜を揺らし、反対に心臓を強く締め付ける。

浮気という事実を指摘されるたびに、背徳的な快楽と後悔が交互に襲ってきて、目の前が白やんでいく。

しかし反対に、紗良の膣内は……ただただ包まれているだけだというのに……今まで感じたことのない、とてつもない快楽を生み出していた。

背徳ごと肉竿を包み込むぬくもり。


これが……女の中だ……。

紗良の……女の……中だ……。


頭の中が真っ白になっていく。

綾乃の顔が一瞬だけ脳裏をよぎる。

その笑顔が歪み、紗良の顔に重なっていく。


「んふふ……♡ きもちぃね……♡」

「あ"あ"あ"あ"……♡♡♡」


動いていないのに気持ちが良かった。

入っているだけなのに気持ちが良かった。

とにかく気持ちがいいのだ。


紗良の太ももや太ももの肉に挟まれた時に感じた快感とは比べ物にならなかった。

膣内にびっしりと敷き詰められた柔らかな肉襞が、粘膜を纏いながらねっとりと絡みついてくる。

その一つ一つが竿に隙間なく密着し微弱に蠢いているだけで、周期的で不規則な、バチバチと火花が弾けるような快楽が全身を飲み込もうとしているようだった。


「“浮気”えっち……♡ どう? お姉ちゃんのおまんこじゃ絶対こんなきもちよくないもんね♡」


腰をどっしりと下ろしたまま、紗良は動かず。

ただ膣内の肉の圧迫感と蠕動だけで、紗良は俺の全てを掌握しているようだった。

腰を揺することすらせず、俺を完全に包み込んだ膣内の窄まり。

上下に大きく動くことのない膣壁内部の肉の微弱なうねりが、俺の脳内に快楽の信号を送り続けていた。

移動を伴わない快楽。

ピストン運動を必要としない快感。

これまでの俺にはなかった体験。

綾乃とのセックスでは絶対に得られない。

そう確信できるほどに圧倒的な快楽が、下半身を中心に全身へと広がっていく。

そして、紗良が微笑む。

勝利を確信したかのような、優しく残酷な笑み。


「このままじゃ出しちゃうね……♡ あたしのナカに……♡」


そう囁かれた瞬間、自分が犯そうとしている罪の深さにようやく気付く。

中で出してはいけない。

当然だ。

二人とも既にいい大人で、そのいい大人が避妊具もなしに交わるなんて、無責任以前の問題である。

ましてや相手は婚約者の妹。

どれだけ紗良の快楽に流されていたとしても、さすがに中に出してはいけないという理性が俺の中には残されていた。


「さ、紗良……♡ 外に……外に出して……♡」

「え~……? せっかくきもちぃのに……♡」


「だ、だめだ……♡ それはさすがにだめだ……♡♡♡」

「ん~……じゃあ……♡」


紗良の腰がゆっくりと動き始めた。


──にゅぷぷぷっ……♡


「ん"ッッ……♡♡♡」

「んふふ……♡ ん〜〜〜……♡ 悠真の、ちょっといいかも……♡」


ゆっくりと。

本当にゆっくりと。

上に乗った紗良が、腰をゆっくり上げていく。

さすがに紗良も大人なのだ。

いくらなんでも生で中出しをされるわけにはいかないと考えているのだろう。

深く咥え込んでいたペニスを、名残惜しむかの如く、ゆっくりと身体を持ち上げていく。


──にゅぷっ……ぬぷっ……にゅりゅっ……♡


「ん"ぉ"ッッッ♡♡♡ お"ッッ♡♡♡ おぉぉぉッッ♡♡♡」


全身全霊をかけて、我慢する。

精子を吐き出してしまわないように、腹の底に力を込めて。

紗良の膣内が蠢き、肉竿を搾り上げようとするのを必死に耐え抜く。


後少し、後もう僅かなのだ。


持ち上がった紗良の太ももと俺の太ももの隙間から向こう側の景色が見えてくる。

月光に照らされた豊満な裸体。

巨大な大きな乳房。

グラビアアイドル顔負けのプロポーションに汗ばんだ肌も艶めかしい。


そしてとうとう、紗良が腰を完全に持ち上げようとしたその時だった。


「……♡」


紗良が悪戯っぽく笑う。

そして──。


──ずぷっ♡♡♡


「あ"ッッッッッ……♡♡♡♡♡♡」


落としたのだ。

勢いよく腰を、一気に根元まで。

完全に俺のモノを咥え込み、再び全てを呑み込んでしまった。


「んふふっ……♡ やっぱりやーめた♡」

「あ"あ"あ"あ"ぁぁ……♡♡♡♡♡♡」


なんてことだ。

一気に根元まで呑み込まれた衝撃が背骨を突き抜け、全身の骨が砕け散ったかのような快楽が脳天へと直撃する。

ぬるりと滑って根元まで一気に。

亀頭が紗良の奥の奥、子宮口を突く。


「だ、だめっ……♡ さ、紗良……♡ 外に……♡ 外に……♡」

「ん〜……? 何を……♡」


「ちんぽを……♡ 外に出して……♡ お願いだ……♡♡♡」

「え~……? きもちぃのにぃ~……?♡ せっかくあたしもきもちいとこに入ってるのに……♡ はぁ〜……♡」


──にゅっぷぷぷっ……♡


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡♡♡♡」


紗良がゆっくりと腰を動かし始めたのだ。

今度は俺の意志に反して、俺の要請を無視して。

深く咥え込んだ肉竿をゆっくりと締め付けながら、精をねだるように膣内の肉壁を蠕動させる。


「さ、紗良……♡ やめっ……♡ やめてくれ……♡ 外に……♡ 外に出させてくれ……♡♡♡」

「やめない……♡ もっときもちいとこ、いっぱい擦ってあげるから~……♡」


──ぬちゅっ♡ ぬぷっ♡ ぬぷぷっ♡


「あ"お"ッッ……♡♡♡♡♡♡ や、やめ……♡ やめ……♡♡♡」


俺の訴えは届かない。

むしろ紗良の動きは加速していく。

上下のピストン運動。

紗良は自らの腰を浮かしては落とす。

その動きに合わせて、豊満な胸が揺れる。


──ぱるんっ♡ ぱるんっ♡


太ももが俺の腰を挟み込む。

全裸の紗良の全身が、俺の上で躍動する。


「紗良っっ♡♡♡ だ、だめぇッ……♡♡♡」


紗良の動きを止めようと、太ももに手を伸ばす。

しかし、柔らかな太ももの肉を鷲掴みにした瞬間、逆に指先が沈み込む柔らかな肉感に、それだけで俺の身体からは力が抜けていってしまう。

太ももの肉感。

胸の揺れ。

紗良の体温。

汗ばんだ素肌の匂い。

二人の寝室中に響き渡る喘ぎ声。


「あ"あ"あ"あ"あ"ッッ……♡♡♡♡♡♡」


脳が焼き切れる。

何もかもが濃すぎる。

紗良の全てが俺を包み込んで、その全てが快楽として襲い掛かってくる。


──ばちゅッッ♡♡♡ ばちゅッッ♡♡♡ ばちゅッッ♡♡♡


紗良が腰を打ち付けるたびに、脳裏でバチバチと火花が散る。

そして──。


「あたしの中に……♡ 全部出して……♡」


耳元で囁かれた言葉。

それが最後の引き金となった。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッッ♡♡♡♡♡♡♡♡」


──びゅくッッ♡♡♡ びゅるるるるるるッッ♡♡♡


爆ぜた。

何もかもが快楽の前に吹き飛んでいく。

意識が白濁し、視界が明滅する。

身体の芯から全身の快楽神経を扱き上げられていくようだった。


──どぷッッ♡♡♡ ぶぴゅッッ♡♡♡ びゅるるッッ♡♡♡


紗良の膣内に、紗良の奥へ、何度も何度も精を吐き出し、それでも紗良は動きを止めない。

むしろ射精の脈動に合わせて、腰を前後に動かし、搾り取ろうと、俺に跨ったまま淫らなダンスを踊り続けていた。


お互いの肉欲のままに、獣欲のままに。


快楽の波が引いては打ち寄せ、引いては打ち寄せ。

俺の身体はもう、紗良の意志一つでどうにでもなる状態だった。

紗良が望めば、何度でも精を吐き出し、紗良が望めば、どんな声でも出す。

紗良が望めば、どんな言葉でも口にする。

紗良が望めば──。


──どくっ♡ どくっ♡ どくっ♡


翌朝になっても、淫らな狂宴は続いてた。

紗良の欲は留まるところを知らず、それに引きずられるように、俺も何度も何度も、吐精を重ねていた。

ありとあらゆる体位で、綾乃とは知らない未知の天国の快楽に溺れ続けた。


そして最後の最後。

射精の瞬間、脳裏を綾乃の笑顔がよぎる。

そしてその笑顔の上に、紗良の恍惚とした表情が重なる。

二人の姉妹が脳内で重なり合う。

それがこの物語の静かなクライマックスであった──。


──びゅぷッッッ♡♡♡ びゅくッッ♡♡♡ びゅるるるるるッッ♡♡♡


「……お姉ちゃんから奪っちゃった♡」


………

……

…

##P21 エピローグ@結局どうなったか


結論から話そう。

俺と綾乃との関係は、“あの後”もいたって良好だった。

紗良と関係を持ってしまった後も、紗良の快楽に溺れた後も、紗良と生中出しえっちを繰り返してしまった後も、綾乃との関係は相変わらず良好であったのだ。

それはひとえに、紗良がそう望んだからであった。

いくら身体を重ねようが、姉にはバレたくない。

姉の幸せを壊したくはない。

それがわがままであり、また俺にとっても都合のいい二股状態が続いている理由であった。

一つの器に収まる幸福。

二つの女に跨る背徳。

二兎を追う者は一兎をも得ず、という言葉があるが、今のところは二兎ともすくすくと育っているように見えた。

あまりにも都合が良すぎて、本当に現実なのか思うのだが……。


結婚式は予定通りに進み、半年後には白いチャペルで、紗良の見守る中、俺と綾乃は結婚式を挙げることになるだろう。


一生の誓いのキス。

純白のドレスを纏った綾乃。

参列者の祝福。

教会の鐘の音。

全てが理想通り。


ただ一つだけ異なっているのは、紗良がすぐそばにいるということだけだった。



………


余談だが、紗良はまだ時折あのペアリングを右手の薬指にはめていた。

無論その度に俺は硬くなり、二人で秘密のえっちを楽しむことになる。

当然おかしいことだとは思った。

だが紗良がそれを嵌めている限り、俺は──俺の身体は──快楽への渇望を禁じ得ることができず。

紗良と別れることなんて、とてもではないが考えることはできなかった。




俺と綾乃は結婚し、紗良はずっとそばにいる。

表向きは仲のよい姉妹と夫。

裏では決して消えない快楽の呪縛に囚われた都合のいい関係。


それが俺たち三人の秘密の関係で、誰も不幸にならない最良の関係であった──。


誰がなんと言おうとも。


【終わり】


………

……

…

##P21 エピローグその後@いつものリビングで


「──声出したらお姉ちゃん起きてきちゃうかもね?」


深夜一時過ぎ。


日中、むざむざとペアリングを見せつけられた俺は、リビングの狭いソファの上で、紗良に圧し潰されていた。


「今あたしがおっきい声出したら……どうなると思う?♡」


──ぐりっ……♡


紗良の肉感的な太ももが股の間に割って入ってくる。

そのまま太ももが小さく揺すられる。


「たとえばさ……おねえちゃーんって、大きい声出したり……♡」


反射的に紗良の口を塞いでしまった。

いつもの冗談とは到底思えなかった。


「この手は何? お義兄さん♡?」


俺がこうするのをわかっていて、紗良は楽しんでいるようだった。

手に触れた唇がやらしく弧を描くのがわかった。


「今大きい声出したら、あたしが襲われてるって思われちゃうかな?」

「……ッ、だから! 誰が、そんな……っ!」


「嘘つき。ココ、こんなに熱くなってるのに」


紗良の柔らかい太ももが持ち上がる。

今度は確実に、股間の竿を狙い澄まして、グイっと押し付けられた。


「ん……ッ」

「ほら、やっぱり固くなってる。ね? 脚で触ってるだけでわかるよ? いつもすぐこんな風にしちゃうんだもん……お義兄さん、我慢できないんだね?」


彼女がそっと腰を上下に揺する。

あの日、初めて中で搾り取られた記憶が脳裏をよぎる。


「ぅ……あ……っ!!」


全身に走る甘い痺れ。

浮いた腰は彼女を求めるようにカクついてしまう。


「声出さないでって言ってんじゃん。バレちゃうよ?♡」

「ん〜……やっぱすごい固い……お義兄さん、溜まってたんだね?」


クスリと笑う紗良に向かって、思わず口走ってしまうが、自分でも何を言っているかはわからなかった。

しかし、紗良は俺の抵抗を喜んでいるようだった。

なんでも思い通りにしたがる癖に、そこに障壁があると燃える困った性癖なのだと、俺はいつからか薄々感づき始めていた。

俺のマゾという性癖と同じで一生治ることのない、淫らなサディズムの持ち主なのだ。


「やーだ。だってもう止めらんないし。ほら、もっと気持ちよくしてあげるね」


俺の反論に気を良くしたのだろう。

嬉しそうに囁いた紗良が、腰を僅かに浮かせたまま、内ももで円を描くように膨らみを撫でる。

何度経験しても紗良の素肌での愛撫に慣れることはなかった。

剥き出しの柔らかい太もも肉に擦られて、射精の欲求が募っていく。

前回出させてもらえたのはいつだったか──。


「ぅあ……♡ 紗良……♡」

「お義兄さん、かーわいい♡ 気持ちいいんだぁ? ホント敏感なんだねぇ? ……ま、こんだけあたしが開発してあげたんだから当然なんだけどさ?♡ ……ねぇ、手じゃなくて唇で塞いでよ? じゃないともっと大きい声出ちゃうかも……」


キスの要求。

裏切りの、背徳のキス。

深夜のリビング。

隣の寝室では綾乃が眠っている。

しかし、射精を人質にされた俺が。

紗良の中にすら精を注いだ俺が、今更キスの一つを拒むことなど不可能だった。

顔を近づけ、唇を合わせる。

紗良の唇は、見た目以上に分厚く感じられた。

上も下も厚みがあり弾力に溢れていて。

そこに紗良のキステクニックが加わるのだ。

一度でもこの唇を味わってしまえば、他の唇で満足することは難しかった。


──ちゅぅ……♡ ちゅっ……♡ ちゅぅぅ……♡


「んふっ……♡ かわい……♡ もっと……♡」


紗良が口を開くと、そこから這い出てきた赤い舌が俺の薄い唇をこじ開ける。

ぬるついた筋繊維の塊が、その身を揺らしながら口腔内へ侵入し、我が物顔で暴れ始める。

逃げる俺の舌を追いかけ回し、締め上げて。

ベロベロと動いている間に、上顎を舐め、歯の裏や頬の内側までをくすぐっていき、そして最後はまた俺の舌を絡め取り、唇全体でむしゃぶりつくすように啜り上げていく。


──にゅるるっ……♡ にゅるっ……♡ ぢゅぅぅぅぅ……♡


「ん"あ"ッ……♡♡♡ ん"お"ッ……♡♡♡」


情熱的で生々しい接吻。

口腔内で繰り広げられる熱烈なハグ。

粘つく音が深夜の静寂に響く。

隣の寝室に綾乃がいることなど忘れてしまう。

キス一つに意識が持っていかれ、このままキスだけでイカされてしまうかのようだった。

下は未だに太ももで擦られ続けていて、もう射精寸前。

だが射精の許可は下りていない。

自然と腰が浮き、悲痛な声を漏らしてしまう。


「ん〜……? もうイキたいのかな〜?♡」


満足そうにキスの嵐を止めた紗良が、ぬらぬらと糸を引く唇で無防備に晒された首筋へと吸い付いてきた。

そのまま唇を滑らせながら、胸の頂点へ。

開発されてすっかり膨れ上がった胸の突起に、紗良の肉厚な唇が吸い付いてくる。


──ちゅぱぁっ……♡


「あ"ッッ……♡♡♡」


何度も何度も唇で啄まれ、舌先でピンピンっと弾かれる。

更に手指の先が、硬く張り詰めた股間のテントをカリカリと引っ掻き回す。

上下同時の責め。

今までの数々の行為で紗良の手に堕ちてしまった俺の性感帯を的確に刺激する二重の快楽攻め。

気持ちが良すぎて、目頭が熱くなり、脳から何か変な汁が出てくる。

隣に眠る綾乃が起きてしまうかもしれないという恐怖と背徳感が逆に快楽を増幅させていた。


「んふふ……♡ お義兄さん……♡ もう限界じゃない?♡」

「さ、紗良……♡ もう……♡ だめ……♡♡♡」


──カリカリ……♡ カリカリ……♡ カリカリ……♡


「お義兄さんのココ……♡ もうこんなに濡れてる……♡」


指先がテントの天井をカリカリと擦る。

先走りの染みが股間に広がっていく。


「ねぇ……♡ お義兄さん……♡ イキたい?♡」

「イキたい……ッ♡ イキたいよ……ッ♡♡♡」


「んふふ~……♡」


しかし、ニヤニヤと嗤う紗良は、あいも変わらず乳首に吸い付き、股間の上をカリカリと引っ掻いていく。

裏筋の上でクネクネと淫らなダンスを披露する指先の動きに導かれるように、竿の内部をどくどくと脈打つ精子が駆け上がり先端へと殺到していく。

それに合わせて俺の腰は勝手にヘコヘコと揺れ始める。


「……お姉ちゃんに内緒だよ?♡」

「~~~ッッ♡♡♡」


その言葉がとどめを刺した。

背徳感と興奮が入り混じった甘い毒が心臓を直撃する。

脳裏に浮かぶのは隣の寝室で眠る綾乃の顔。

その優しい笑顔が歪み、紗良の恍惚とした表情に上書きされて──。


──んちゅぅぅぅ……♡♡♡


重ね合わされた唇同士。

恍惚とした紗良の右手が自らの股間へと伸びていて、左手の指先は裏筋の辺りを小刻みに掠めていた。

併せて太ももも膨らみを下から持ち上げるように圧迫し、貧乏ゆすりの如く揺すり上げて。

上下からの二重の責め苦、密着愛撫。


未だ許可など出てはいない。

ただ紗良の『お姉ちゃんに内緒だよ?♡』という一言が最後のスパイスとなって射精を促していく。


「ん"ん"ん"ッッ……♡♡♡♡♡♡」


──びゅくッッ……♡♡♡ びゅるるるッッ……♡♡♡


深夜のリビング。

隣の寝室で眠る婚約者の存在など忘れたかのように。

俺は紗良の指先に導かれるように、太ももに圧迫されながらパンツの中へと射精した。

紗良との口づけの最中だった。


「ぷはぁ……♡ あ~あ……♡ こりゃお仕置きだね~……♡」


言葉とは裏腹に、その声音には喜悦の色しか孕んでいなかった。

キスの合間に許可もなく勝手に果ててしまった俺への罰という体裁で、今夜の搾取が決定づけられる。

太ももに圧し潰された肉竿は射精の余韻に浸る間もなく、紗良の手の中へと引っ張り出されてしまう。

精液に塗れている、なんてことは紗良にとってはほんの些細なことのようだった。


「出したばっかりなのに、まだかったぁ~い……♡ この“浮気”モノ♡」

「やっ……♡ もう出ないよ……っ♡ さすがに……ッッ♡」


──にゅくにゅくぅ~……♡


出したばかりだというのに、紗良は俺のそれを握り込み、にちにちと卑猥な音を立てて、先程の精液を塗り込むように、ゆっくりゆっくりとしごきあげる。

ぬるぬるの精液が潤滑油の代わりになってしまい、敏感な竿の表面を紗良の指がぬるぬると滑る。

気持ちがいいところを的確に扱き上げながら、締付けの強弱を自在に操る紗良の手管に溺れていく。



「ん"ッ……♡ っ、やめ……♡ もう……♡ 無理……♡♡♡」

「出ない? んなわけないじゃ~ん……♡ まだまだいっぱい出るよね? せっかくお姉ちゃんと結婚したってのに……“浮気”の罪は重いんだからね? 責任取ってもらうよ~?」


紗良の豊満な女体に圧し潰されながら、俺は背徳の快楽に塗れていく。


「お義兄さんが婚約したのはお姉ちゃんだけど……お義兄さんのちんちんはあたしのお手々と結婚したがってるみたいだよ~?♡ クスっ……♡」


二人の姉妹の間に挟まれた不埒な夜はまだまだ続く。

そしてそれは、深く、より長くなっていくばかりであった──。


【終わり】



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Comments

アイギス

逆NTR好きなので今作品最高でした しかも騎乗位でヒロインにいいように責められるシーン好みなので本当にエロく満足出来る作品でした! 本当にあひる様の小説好きでこれからも応援しております。 リクエスト再開もお待ちしております。

あひるだったもの

アイギスさん、いつもありがとうございます!! なんとか完結まで漕ぎ着けられて、またご満足いただけて感激です😭 リクエストもそう遠くないうちに開くことができればと思ってますので、今しばらくお待ちくださいませ!